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幕間 キサラギ亜人王国の日常
ファムランドとレオノルの休日
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バニスターとの戦争も無事終了し、SAMASも日々の訓練をするだけになっていたある日、隊長であるファムランドと副長であるレオノルは、同じ日に休めることとなった。
「おまたせしました……」
隊員たちに直接は聞いていないが、隊員たちの配慮によって責任者である2人は同じ日に休暇を取れたことは2人ともなんとなく察しがついていたので、2人はその気遣いを無駄にしないようにと、初めてのデートをすることになった。
というのは、2人が気恥ずかしさをごまかすための言い訳で、2人とも本心ではデートがしたいだけなのだが、2人にそんなことを言っても認めようとはしないだろう。
「俺が早く来すぎただけだから気にすんなって。それにしても……」
「ど、どうしました?」
待ち合わせ場所にやってきたレオノルを見て、言葉を途中で止めてしまったファムランドに、レオノルは少し不安になる。
レオノルは意識しすぎるのも変かと思い、いつも来ている闇色のローブと同じくレースで飾られた色違いの白いローブを着てきていた。
もしかしてそれが似合っていないのかと思い、レオノルは自分の体を見下ろす。
(ううっ、やっぱり似合っていないのでしょうか? 今まで魅了の魔法で男の人を操っていたので、自分にどんな服が似合うかよくわからないんですよね……)
ファムランドの無言にレオノルはどんどんと不安になっていく。
しかしながら、それはレオノルの杞憂のようだった。
「レオノル、お前さん前々から美人で何でも似合うだろうなとは思ってたが、本当に何着ても綺麗だな」
ファムランドの言葉に、レオノルは思わず片手で口を抑えて言葉に、詰まってしまう。
その顔はピンッと伸びる耳の先まで真っ赤に染まっていた。
「……っ!? そ、そうですか?」
「ああ、本当に綺麗だ。ははっ……まさかこんな美人が俺の彼女だとは、まだ信じられねえな」
ファムランドは嬉しさと気恥ずかしさが入り混じった表情ではにかむと、少しうつむき加減で後頭部をかいた。
普段あまりしない表情を浮かべるファムランドに、レオノルは思わず見入ってしまう。
「ファムランドさんって、意外と可愛いですよね」
小さな声でつぶやかれた言葉に、今後はファムランドの頬に少し朱がさした。
「なっ!? 突然何言ってやがるレオノル!」
「えっ!? あっ、いえ、その、ごめんなさい……」
思わず怒鳴ってしまったファムランドに、レオノルはしゅんと肩を落としてしまう。
それを見たファムランドは、しまったと思った。
「いや、その、悪かった……別に怒ったわけじゃねーんだ……。その、恥ずかしくてな」
「そうですか……良かったあ……ファムランドさんに嫌われたら、私死んでしまいます」
ほっと胸をなでおろしながらとんでもないことを言うレオノルに、ファムランドは少し呆れてしまう。
「…………お前さん、そういうことを平然と言うやつだったか?」
と、口ではそんなこと言っているが、ファムランドの顔は先程とは比べられない程に真っ赤だった。
「あっ……その……もうっ! 後で覚えていてくださいよ、陛下!」
レオノルはマヤの強化魔法の効果でまたファムランドに本心とはいえ爆弾発言をしてしまったことに気がついて、ここにはいないマヤに恨み言を叫んでしまう。
「マヤのやつがどうかしたのか?」
「いえ、何でもありません。そ、それじゃあ、早速行きましょうか、その、デート、に……」
やはりまだデートと言うのはどこか恥ずかしいのか、最後の方にいくにつれてレオノルの声は小さくなっていった。
「お、おう。行こうぜ、デートに、よ」
基本的に物怖じしない性格のファムランドだが、レオノルに引っ張られる形で恥ずかしくなってしまったのか、デートという言葉だけ少し声が小さかった。
「ほれ」
ファムランドはどこかそっけなく、レオノルに腕を差し出す。
「はい……」
レオノルはその腕を自分の腕を回すと、そっと抱え込んだ。
(男性と腕を組んだことなんて、それこそ数え切れないほどあるのに、どうして今はこんなにドキドキしているのでしょうか……)
ファムランドのたくましい腕に抱きつきながら、レオノルはそんなことを考えていた。
これが魔法で惚れさせていた時と、自分が惚れてしまった時の違いなのだろうか。
「歩くぞ?」
「はい、大丈夫、です」
ゆっくりと歩き出したファムランドに、その腕に抱きついたレオノルもゆっくりと歩き出す。
こうして、2人の初めてのデートが始まったのだった。
***
「なにあれなにあれなにあれ!? すっごい甘いんだけど! いいぞもっとやれ、って感じだね!」
「ちょ、ちょっと、マヤさん、あんまり暴れると透明化の範囲外に出ちゃいますよ!」
ファムランドとレオノルの待ち合わせ場所から少し離れた森の中、マヤとオリガ、それにカーサの3人は、オリガの魔法で姿を隠して、初々しい2人の様子を伺っていた。
「だってさあ、あんなに甘酸っぱいもの見せられたらさあ、興奮せずにはいられないってもんでしょう!」
「うん、2人とも、可愛い」
「だよねだよね、さっすがカーサわかってるねー」
興奮したマヤが上に出した手のひらに、カーサも手のひらを当て、2人でハイタッチをする。
ちなみに以前ハイタッチをカーサに教えたのはマヤだ。
「はあ、2人とも興奮しすぎですって……。それに人のデートを覗くなんて……」
「えーっ、オリガだってさっきまで夢中で見てたくせにー」
「うん、夢中、だった、よ?」
「…………たっ、たしかに夢中になっちゃいましたけどっ! それでもやっぱりこういうことは――」
「あっ、2人が動き出したよ!」
「追いかけ、よう!」
オリガを無視して移動し始めた2人に、オリガは慌ててついていく。
「ちょっとまって下さいよー! 私がいないと見つかっちゃうでしょー!」
結局、なんやかんや言いながらオリガも2人についていき、マヤたち3人でファムランドたち2人を尾行することになったのだった。
「おまたせしました……」
隊員たちに直接は聞いていないが、隊員たちの配慮によって責任者である2人は同じ日に休暇を取れたことは2人ともなんとなく察しがついていたので、2人はその気遣いを無駄にしないようにと、初めてのデートをすることになった。
というのは、2人が気恥ずかしさをごまかすための言い訳で、2人とも本心ではデートがしたいだけなのだが、2人にそんなことを言っても認めようとはしないだろう。
「俺が早く来すぎただけだから気にすんなって。それにしても……」
「ど、どうしました?」
待ち合わせ場所にやってきたレオノルを見て、言葉を途中で止めてしまったファムランドに、レオノルは少し不安になる。
レオノルは意識しすぎるのも変かと思い、いつも来ている闇色のローブと同じくレースで飾られた色違いの白いローブを着てきていた。
もしかしてそれが似合っていないのかと思い、レオノルは自分の体を見下ろす。
(ううっ、やっぱり似合っていないのでしょうか? 今まで魅了の魔法で男の人を操っていたので、自分にどんな服が似合うかよくわからないんですよね……)
ファムランドの無言にレオノルはどんどんと不安になっていく。
しかしながら、それはレオノルの杞憂のようだった。
「レオノル、お前さん前々から美人で何でも似合うだろうなとは思ってたが、本当に何着ても綺麗だな」
ファムランドの言葉に、レオノルは思わず片手で口を抑えて言葉に、詰まってしまう。
その顔はピンッと伸びる耳の先まで真っ赤に染まっていた。
「……っ!? そ、そうですか?」
「ああ、本当に綺麗だ。ははっ……まさかこんな美人が俺の彼女だとは、まだ信じられねえな」
ファムランドは嬉しさと気恥ずかしさが入り混じった表情ではにかむと、少しうつむき加減で後頭部をかいた。
普段あまりしない表情を浮かべるファムランドに、レオノルは思わず見入ってしまう。
「ファムランドさんって、意外と可愛いですよね」
小さな声でつぶやかれた言葉に、今後はファムランドの頬に少し朱がさした。
「なっ!? 突然何言ってやがるレオノル!」
「えっ!? あっ、いえ、その、ごめんなさい……」
思わず怒鳴ってしまったファムランドに、レオノルはしゅんと肩を落としてしまう。
それを見たファムランドは、しまったと思った。
「いや、その、悪かった……別に怒ったわけじゃねーんだ……。その、恥ずかしくてな」
「そうですか……良かったあ……ファムランドさんに嫌われたら、私死んでしまいます」
ほっと胸をなでおろしながらとんでもないことを言うレオノルに、ファムランドは少し呆れてしまう。
「…………お前さん、そういうことを平然と言うやつだったか?」
と、口ではそんなこと言っているが、ファムランドの顔は先程とは比べられない程に真っ赤だった。
「あっ……その……もうっ! 後で覚えていてくださいよ、陛下!」
レオノルはマヤの強化魔法の効果でまたファムランドに本心とはいえ爆弾発言をしてしまったことに気がついて、ここにはいないマヤに恨み言を叫んでしまう。
「マヤのやつがどうかしたのか?」
「いえ、何でもありません。そ、それじゃあ、早速行きましょうか、その、デート、に……」
やはりまだデートと言うのはどこか恥ずかしいのか、最後の方にいくにつれてレオノルの声は小さくなっていった。
「お、おう。行こうぜ、デートに、よ」
基本的に物怖じしない性格のファムランドだが、レオノルに引っ張られる形で恥ずかしくなってしまったのか、デートという言葉だけ少し声が小さかった。
「ほれ」
ファムランドはどこかそっけなく、レオノルに腕を差し出す。
「はい……」
レオノルはその腕を自分の腕を回すと、そっと抱え込んだ。
(男性と腕を組んだことなんて、それこそ数え切れないほどあるのに、どうして今はこんなにドキドキしているのでしょうか……)
ファムランドのたくましい腕に抱きつきながら、レオノルはそんなことを考えていた。
これが魔法で惚れさせていた時と、自分が惚れてしまった時の違いなのだろうか。
「歩くぞ?」
「はい、大丈夫、です」
ゆっくりと歩き出したファムランドに、その腕に抱きついたレオノルもゆっくりと歩き出す。
こうして、2人の初めてのデートが始まったのだった。
***
「なにあれなにあれなにあれ!? すっごい甘いんだけど! いいぞもっとやれ、って感じだね!」
「ちょ、ちょっと、マヤさん、あんまり暴れると透明化の範囲外に出ちゃいますよ!」
ファムランドとレオノルの待ち合わせ場所から少し離れた森の中、マヤとオリガ、それにカーサの3人は、オリガの魔法で姿を隠して、初々しい2人の様子を伺っていた。
「だってさあ、あんなに甘酸っぱいもの見せられたらさあ、興奮せずにはいられないってもんでしょう!」
「うん、2人とも、可愛い」
「だよねだよね、さっすがカーサわかってるねー」
興奮したマヤが上に出した手のひらに、カーサも手のひらを当て、2人でハイタッチをする。
ちなみに以前ハイタッチをカーサに教えたのはマヤだ。
「はあ、2人とも興奮しすぎですって……。それに人のデートを覗くなんて……」
「えーっ、オリガだってさっきまで夢中で見てたくせにー」
「うん、夢中、だった、よ?」
「…………たっ、たしかに夢中になっちゃいましたけどっ! それでもやっぱりこういうことは――」
「あっ、2人が動き出したよ!」
「追いかけ、よう!」
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