騎士が花嫁

Kyrie

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本編

35. 全部ください(3) - リノ

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指を3本に増やす頃、俺のほうもどうにもならなくなっていった。
だって、ジュリさんが顔を真っ赤にして感じているのを必死で我慢している姿は、とっても色っぽいんだから。
俺のほうもドキドキしてきちゃうよ。

今、俺、さわられたらすぐにイっちゃう。

それくらい切羽詰まってきた。

「ね、ジュリさん。
俺、も、だめ…
ジュリさんの中に入りたい。
いい?」

ところどころ、余裕がなくて声がひっくり返って、情けない感じになる。

ジュリさんは上がる息の中、「はい」と言ってくれた。
俺は一旦指を抜き、新しくオイルを手に取ると、自分のに塗り、そしてまたジュリさんの中に足した。
そして、ジュリさんの孔に俺をあてがった。

い、いよいよだ…

緊張する。

「入れるよ」

俺はそっと入れようとするがそれではうまくいかなかった。
じれったくなって、今度は少し力を込めてぐっと腰を進めた。

「うっ」

とジュリさんがうなり、俺の先が入った。

「あ…」

今度は俺が声を出す番だ。
なにこれ。
こんな感じ、初めて。
温かくてしっとりしていて、包まれるようで、蠢いている。
もっとこの感覚を味わいたくて、求め求めて知らず知らずのうちに先に進んでいた。

「全部、は、入った…」

俺がジュリさんの中に入っている。

「ジュリさん、やっと繋がったよ。
どうしよう、俺、すごく嬉しい。
ジュリさんと一つになれたことがとても幸せ」

ジュリさんが腕を伸ばし、俺の頬に触れた。

「痛くない?」

ジュリさんがうなづく。

嬉しい。
とにかく嬉しい。
めちゃくちゃ嬉しい。

「動くね」

俺はジュリさんの返事を待たずに腰を動かし始めた。
最初はゆっくり。
のはずだったけど、自分が止められなくなっていく。
だって、限界超えそうなくらい我慢してたもん。
俺のだって相当先走りが出ていてべとべとだったんだ。

大好きなジュリさんの中に入って、気持ちよくなって、止められるわけないじゃん。
ジュリさんが小さく上げる声も、とっても艶っぽい。
ぞくぞくする。

やっとやっと一つになれた。
俺が全部もらった。
ジュリさんは俺のもの。
俺はジュリさんのもの。
離れたくない。
一つに溶け合いたい。
もっと近くに行きたい。

「ジュリさ…ん、ジュリ…っ」

俺は名前を呼び続けた。
ジュリさんも「リノ」と呼んでくれる。

もっと違うことも言いたかったのに、何も言えなくなった。
とにかく大好きな人の名前を呼んだ。

好き。
好き。
大好き。





あっ


高まる思い。
噴き出る欲望。
奪うように乱暴に。
切ないほど優しく。


「ジ…ジュリさん…愛してます」

思わず出た言葉。

ふぁっ?!

途端にジュリさんの中が恐ろしく大きくうねった。
俺は持って行かれそうになるのを必死でこらえた。

「…くっ」

ジュリさんが低く唸って、俺の肩をきつく掴んだ。

と。

俺の腹に生暖かいものが飛ばされた。

え…?

見ると、白濁がジュリさんと俺の腹に飛び散っていた。

もしかしてジュリさん、イったの…?

俺はジュリさんの顔を見る。
ジュリさんはびっくりするほど赤くなっていて、肩で荒い息をつきながら顔を背けていた。

「ジュリさん…?」

ジュリさんは少し怒ったような視線だけこっちに向け、掠れた声で言った。

「突然、あんなこと言うなんて…」

ねぇ、俺が「愛してる」って言ったから、イったの?
それであなたを感じさせられたの?
ぞくぞくした?
嬉しかった?

乱れた髪の向こうに見える緑の目は潤んで、綺麗だった。

「だって、なんて言ったらいいのかわからなかったから」

自分の中から出てきた言葉を言っただけ。
こんな気持ちになったことがなかった。
初めて言った、「愛してる」って。
こんな大きな、大切なこと、そう簡単に言えるはずない。

あなたが好きです。
愛してます、ジュリアス。

そして、俺、もっとあなたが欲しい。

俺はジュリさんの腹に手を伸ばし、白濁を指ですくうとぺろりと舐めた。

「にが」

そしてジュリさんを見ながら笑ってみせた。
途端、ジュリさんの中がまたひどくうねった。

「そ、そんなふうにされたら、俺、止まらなくなるっ!」

俺はジュリさんの膝を押さえつけるようにして足をもっと開かせ、腰をもっと奥に進めた。

「うっ」

ジュリさんが呻いた。
でも、もう構っていられない。
俺は腰を激しく動かし始めた。

「ねぇ…、ジュリさん…、俺、あなたを愛してます…
ジュリさんは…?」

激しい動きで、自分もまともにしゃべれない。
けど、ジュリさんの言葉も聞きたい。
ジュリさんは俺の勢いが受け留めきれないようで、首をのけぞらして喘ぎ声を漏らしていた。
けど、

「俺もリノを…愛し…ている」

途切れ途切れでも、ジュリさんが答えてくれた。

俺の中でなにかが弾けた。

「ジュリ…ジュリ…ジュリ…!」

嬉しい!
溢れる幸福感。
夢中で奥に打ちつける。


後日、インティアに根ほり葉ほり聞かれ、ジュリさんがイった直後に激しくしてしまったことまでしゃべらされたとき、

「リノ、サイテー!ひっどーい!!」

とさんざん言われた。
イったあとすぐはとても敏感になっているので、そこで刺激されるとおかしくなってしまうほど感じてしまうのに、それをやったのか。とめちゃめちゃ怒られた。

でも、そんなこと言ってられないくらい、俺は興奮していた。

インティアに教わったことは一瞬で白く飛んでしまい、本能の赴くまま、ジュリをとらえて離さず、深く深く穿った。

あ、も、ダメ……っ

そして、今度は俺が唸り、そしてジュリさんの中で果てた。





それだけで終わるはずがなく、そのあと、俺は後ろからと前からと2回、ジュリさんを抱いた。

もう、ジュリさんと俺を隔てるものはなにもなかった。
お互いに肌や唇を貪り、さわり、繋がり、こみ上げる熱い塊を吐き出す。



さすがに3回連続でやると、一旦は身体が満足したのかすぐに相手を求めることはなくなった。
2人とも荒い息をしていた。
ベッドにどっさりと倒れ込む。

ああ、幸せ。

少しの間も離れていたくなくて、指を動かすのも面倒なのにジュリさんを求めて腕を伸ばし、指に触れ絡めた。



しばらくそうしていた。
余韻は残っていたけれど、ちょっとは動けるようになった。
ジュリさんが風呂を勧めてくれたけど、俺はジュリさんに先に入るように言った。
だって、俺よりべとべとだと思う。
ジュリさんはうなづいてベッドから下りた。

ジュリさんは全裸のまま、堂々と歩く。
と、内腿を伝うものが見えた。
あれ、全部、俺の…

がっと全身が熱くなる。

俺、3回とも全部ジュリさんの中に…
それが溢れてきて…
俺、どんだけ出して…

それがすごくいやらしかった。
俺がベッドの上からジュリさんのぬめぬめと光る太腿を食い入るように見ているのに、ジュリさんが気がついた。
ジュリさんは背中を向けたまま、肩越しに俺を流し目で見た。

ななななに、それ…

欲に濡れた大人の男の目で俺を貫いた。
ジュリさんは黙って部屋の風呂場に行った。

ヤラれた。
完璧にヤラれた。
なに、ジュリさん、すごくセクシー。
すごく悔しい。

俺は呆然とベッドの上で固まっていた。





上掛けをかぶって俺が固まっている間に寝衣を着たジュリさんがさっぱりして、風呂からでてきた。
次に入るように促されたので、俺は上掛けにくるまったまま風呂場に向かった。
ジュリさんみたいに堂々と全裸で歩く自信はないですよ。

風呂場のドアの前で上掛けを落とし、そのまま入った。
そして湯を浴びようとしたとき。

「ええええええええええええっ?!」

なにこれなにこれなにこれぇ????!!!!

「どうした?」

新しい俺の寝衣を手にしたジュリさんがひょっこり風呂場をのぞいた。

「あの、これ、あ、あ、あああ???」

オイルランプが明々と点いている中、俺はジュリさんのほうを向いて腕を広げた。
そこにあったのは、俺の身体中に無数につけられた赤い痕。

「こここここれって…」

「キスマークだ」

やっぱり?

「いつの間に?」

「あの間に」

想像以上についていて、俺はぎょっとする。
ちょっ、こんなところまで!

なにこれ?
ジュリさん、なんてことを!

なになに、最後、カッコいいところ全部ジュリさんが持って行っちゃったわけ?!
俺にはキスマークをつける、って発想すらなかったよ。

今度は風呂場で俺が固まっていると、寝衣を脱いだジュリさんが入ってきて、慣れた手つきで俺に湯をかけ、もこもこに泡立てた石鹸で俺を丁寧に洗ってくれた。
俺は脱力して、されるがままだった。

ジュリさんが用意してくれた新しい夜着を来てベッドに戻ると、べとべとにしたシーツは取り換えられていた。
ジュリさん、ありがとう。

さっぱりして、俺たちはまた2人でジュリさんのベッドに横になった。
ランプは消したので、真っ暗。

「なんだか、俺、カッコ悪いなぁ」

ぼそっと口に出てしまった。

「どうして?」

「最後、全部ジュリさんに持って行かれちゃったような気がする」

「俺は嬉しかったですよ、リノに抱かれて」

俺は思わずジュリさんに抱きつく。

「お、俺も!
ジュリさん、ありがとう、全部俺にくれて。
ジュリさん、好きです。
大好き。
愛してます」

「愛してます、リノ。
待っていてくれてありがとう」

ああ、本当に幸せ!
心もほかほか!

ジュリさんと俺は笑い合い、そして抱きしめ合ったまま眠った。






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