白イ手ノ中デ、イク

Kyrie

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夏休みが終わっても、秋になっても手は現れ続けた。
オレが落ち込んだら優しく髪をなでてくれ、雷が鳴ると必ずそばにいて手を握ってくれた。
最初は1週間に1度くらいだったのに、だんだん2~3日に1度になり、そして今はほぼ毎日やってくる。いろいろわかっているようで、試験や試合の前はオレをリラックスさせるようにマッサージをしてくれたり、頭をなでてくれたりしている。

が、あいつがそれだけで済ませるはずがない。

「……っくぅ…!」

あれから右手さんは何に味をしめたのかわからないけど、オレをイカせることがお気に入りになっている。追加メニューもありました。
ぐちょぐちょと下のほうから音がする。右手さん、オレの後ろも刺激中。

それは夏のお盆が過ぎて、右手さんにナニをアレされ何度かイカされた体験のあとだった。その時も右手さんの絶妙な刺激に気持ちよく絶頂を迎えた。まだ肩でぜいぜいと息をしているときにぬるんとしたものが尻の割れ目の間を滑った。

「ふわぁっ?!」

思わず上げた声を遮るように、左手さんは人差し指を立て、「しーっ」というようにオレの唇にそれを当てた。オレは思わず素直にぐっと唇に力を込めて口を一文字にした。
右手さんはぬるぬるとした指先で割れ目を何度か行き来すると、今度はたまたまの下から後ろの孔までを往復し始めた。ヘンな感覚だった。くすぐったいようなむず痒いような。
そうこうしているうちに、いつもは恋人つなぎをしている左手さんが人差し指と中指をオレの口の中に滑り込ませてきた。指を噛んじゃいけないと思って、力を抜いたのが悪かった。2本の指は歯の間から口の中に入ると上あごをなで、舌の上を感触を楽しむかのようにさわる。歯茎にそって指を滑らせ、舌をつまみ上げる。まるでディープキスをされているような感覚になって、顔が熱くなっていくのがわかった。

「んんんっ!」

口の刺激に酔っていたら、きゅっと!
きゅっとなにかが後ろの孔に差し込まれた。

「うううーーーっ。ううううーーっ!ううううんんんっ!!!」

驚いて声を上げようとしたが、舌をつままれたままだったのでうめき声になる。それでもかーちゃんはいるんだ。できるだけ声を抑える。左手さんはオレの舌を突っつく。舌を左手さんの2本の指に絡めると指がびくびくとした。じゅっと吸ってみると指はくすぐったそうに動いた。面白くなって舐め上げる。

初めて手にキスをしてからも、オレはからかい半分で何度かキスをしていた。そのたびに手は真っ赤になって、ヘロヘロとベッドに落下していった。それがかわいくて。
今ももっと真っ赤にならないかな、とイタズラ心でじゅくじゅくと唾液で音がするくらい吸ってみた。

「ひんっ!」

だけど、オレはもっとスゴイところをいじられていたのでした。まさかそんなところをいじられるとは思わなかった。上では自分からいやらしくなめなめしているのに、下ではすごい異物感を感じながらもあらぬところをじゅぽじゅぽされている。まったく妙な気分だった。

そんなことが何回か続き、右手さんの指が後ろの孔に突っ込まれるのにも微妙に慣れた頃、内側にこりっとした刺激があった。

「うふ…っっっ!!!」

このときばっかりは思わず左手さんの指を噛んでしまった。オレはごめんなさいの意味を込めてじゅるじゅると指を舐める。が、すぐにそれはできなくなっていった。
右手さんが内側のこりこりするところばかりいじってくる。奥からせり上がってくるような感覚で感じまくって、だめだめだめっ!ってところで。
もう、そんなとこずっとこりこりやったら出ちゃうからっ!



こうして、今では前の刺激だけではイケなくなってしまった。
今夜も右手さんの前立腺攻めに遭っている。おまけに今夜はかーちゃんは職場の忘年会で遅くなるため、喘ぎ放題だ。

「あっ、そんなにしたらっ!ちょっ、あんた、手加減しろって……あぁんっ!!!」

左手さんは口を塞がなくてもいいので、身体中を撫でまわし、強い刺激にオレが思わず伸ばした手を取り、恋人つなぎでぎゅっと握ってくれる。

はぁ……っ

オレは泣きそうになる。


なぁ、名前、呼びたいよ。名前、呼んでほしい。

そう思うときゅんとした。


中をえぐられる。


「はぁぁんっ」

身体を抱きしめてぎゅっとしたい。イクときに首に腕を回して身体を押し付けてイキたい。


さっき、散々、前はいじられた。カウパーがだらだらと出ているのが、わかる。


キスしたい。キスされたい。軽いキスを何度もしたり、ディープで呼吸ができないくらいにキス、したい。舌と舌を絡めて、舐めて吸って、唾液飲ませて飲まされて。


「くふっ」

右手さんが好きなのは、先っぽ攻め。いつも最初は先っぽばかりいじる。もどかしくて焦れて身体をくねらせるように悶えると、ようやく全体をこすってくれる。あるいはぎゅっと絶妙な手加減で握り込む。そんなに締められたら、気持ちいい。



もし、もしだよ。指じゃなくて、アレがもしあったら。それがもし挿れられたらどんな感じ?
あんたをもっと感じて、もっと気持ちよくなる?

えっちなマンガでよくあるじゃん。「指じゃなくてアレがほしい」ってセリフ。まさにそれ。アレで繋がってみたい。もっともっと深く繋がれるような気がする。


でも。

「ふぁぁっ!あぁんっ!だめっだめっだめっ!やっ!」

身体が勝手に跳ね上がる。

右手さんは確実にオレを追い詰める。オレは歯を食いしばってその快楽に翻弄される。今夜は特に容赦ない。敏感なところばかり、攻めてくる。そのくせ俺がイきそうになったら、その刺激をやめる。その繰り返し。
もう、ヘンになりそう。



オレは知らない間に手を好きになっていた。ちょっと骨ばっているのに神経質そうで万年筆を握るのが似合いそうな知的な雰囲気の白い手を。
からかい半分にキスをしたら真っ赤になって落ちるくせに、180cm以上もあるオレを押し倒して、部活で鍛えた筋肉でがちがちの腹や足や腕をいやらしくさわりまくり、ついには前立腺攻めまでやらかすし。
なのに落ち込んだり、怖いときには必ず現れてオレの手を握り、ずっと髪をなでてくれる。
そんな白い手を好きになっていた。

そして、オレは物足りなくなってきている。
もっと深いところで繋がりたくなっている。


「いやっ、も、あんっ!あんっ!そこっ」

だけど、こんなこと、言えるはずがない。
手につらい思いをさせたくない。
言える、はずもない。



「イクイクイクっ!イっちゃうからぁっ!!んぁぁぁぁぁぁっ!」

何度も後ろを攻め立てられ、目尻に涙を溜めながら、切ない想いも秘めたまま、背中を弓なりに反らせ、今日もオレは白い手の中でイク。





**
あとがき https://etocoria.blogspot.jp/2017/08/white-hands.html
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