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第25話
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カヤの部屋は小さなオイルランプが一つ、灯されていた。
そっと壊れものを扱うようにカヤはルーポを自分のベッドの上に下ろした。
青い薄衣にくるまりちょこんと座っているルーポの姿は愛らしかった。
カヤは頬を緩めながら、靴を脱ぎ自分もベッドの上に上がり込んだ。
重さでベッドがへこみ、ルーポは身を硬くした。
「どうした、緊張しているのか?
ここに来るのは初めてじゃないだろ」
カヤはルーポの左隣に座った。
以前、眠りこけてしまったので、ルーポもカヤの部屋は初めてではない。
しかし、今宵は意味合いが違う。
だが、そんなことは恥ずかしくて言えるはずもなかった。
黙ってしまったルーポをカヤは右腕で引き寄せ、ルーポの薄い肩を抱いた。
自分にふれる大きなカヤは温かかった。
「安心しろ」と告げるようにカヤの手はルーポの肩を優しくなでる。
それが気持ちよくて、ルーポは力を抜き、身体をカヤに預けた。
カヤは嬉しそうに微笑むと、肩をなで続けた。
「おまえとこうやって過ごすのは、久しぶりだな」
「そうですね」
話がうまいロダやあれこれと世話を焼きたがるアルベルト、カヤもルーポも心配な屋敷の者たちのせいで、2人きりになるのは入浴時のみだった。
「少し、話すか」
と言ったものの、2人とも言葉が続かなかった。
しばらくの沈黙のあと、ルーポが口を開いた。
「改めて話そうとすると、困ってしまいますね」
「そうだなぁ。
無理に話さなくてもいいかもな」
カヤはずり落ちてきた薄衣をルーポにまたかけてやった。
「この布は?」
「綺麗だろう?
おまえに似合うと思ったんだ」
「綺麗ですね。
でも、どうして僕に?」
「ここに来るまでに誰にもルーポを見せたくなかったんだよ」
思わぬ答えにルーポはかっと顔を赤くした。
「でも分厚い布だと息苦しそうだろう?
だから薄いのにしたんだ。
この青もいいと思って」
うつむいてしまったルーポに気づき、カヤは顔を覗き込む。
「どうした?」
「い、いいえっ。
な、なんでもないですっ」
「ははははは、おまえ、そうやって元気にしゃべれよ」
「?」
「ベンチで会った頃はもっといっぱい気楽にしゃべっていたのに、アルベルトがあれこれ言うから、すっかりおとなしくなってしまって。
もうしばらく受勲式はないんだから、これまでどおりに話せ」
「そ、その節はた、大変失礼を……」
しどろもどろになっていくルーポにカヤは苦笑した。
せっかく抜けていた力がまたぐっと入り、ルーポの身体は硬くなった。
カヤはむにっとルーポの頬に手を添えた。
そしてそのまま上を向かせた。
微かな音がして薄衣がルーポから落ちた。
「おまえはそのまんまでいいんだ。
何度言ったらわかる、ルーポ?」
「え……っと」
優しい黒曜石の瞳が淡い空色の瞳をとらえた。
カヤはそのまま柔らかなキスをした。
唇を離すと変わらずに頬を染めたルーポの顔がそこにあった。
またキスをした。
次に見せた顔は少しとろんとなった顔だった。
「おまえ、酒に弱いのな。
あんまり飲みすぎるなよ。
かわいい顔になりすぎてどうしようかと思った」
ぶわあああっと顔が真っ赤になったのが、ルーポにもわかった。
この人はどうしてそんな恥ずかしいことを平気でするりと言っちゃうんだっ!
と思った瞬間、耳まで熱くなったのを感じた。
「かわいいなぁ、ルーポは」
今度はぐいっと抱き寄せ、ルーポの後ろ頭に手をやると逃げられないようにしてしっかりとしたキスをした。
舌を入れ、絡め、ちょっと唇が離れたかと思ったら、また違う角度で重ねられた。
何度も何度もそうやって唇を重ねては離し、離しては重ねた。
長い時間をかけキスをし、ようやく唇を離されるとルーポはちょっとくったりしてカヤの腕の中にいた。
カヤはそっとルーポをベッドに横たえた。
先ほどまでなかった熱が黒曜石の瞳に灯ったのが、ルーポにも見えた。
「……いいか」
少し絞り出すような囁き声が聞こえた。
「……はい」
ルーポが答えた。
「んっ、ふぁっ」
カヤがルーポに覆いかぶさった。
そしてさっきとは全然違う激しさで口づけされた。
そのままカヤの唇はルーポの耳や首筋に移った。
「あっ、やっ」
ルーポの声がこぼれた。
カヤはルーポの耳に唇を押し当てて言った。
「いいぞ。
もっと聞かせろ」
「やあぁっ」
吹き込まれた言葉と熱い息に驚きルーポが大きな声を上げた。
カヤは楽しそうに喉の奥で笑うと、手を寝衣上の隙間から差し入れ、それをたくし上げあっという間に脱がしてしまった。
恥ずかしくて逃げようとするルーポにカヤがのしかかった。
「やっ、カヤ様、重いっ」
「逃げるな、ルーポ」
「だって、恥ずかし……んっ。
そこ、さわらないで」
「なんで?
こんなにかわいいのに」
カヤの指先はルーポの胸の先をつまみころころといじっていた。
「さっきも一緒に風呂に入っただろ?
ここに来て毎日一緒に入っているじゃないか。
なんでそんなに恥ずかしがる?」
「だってっ」
「大したことないだろ」
「やああああっ」
カヤは身を起こしたと思うと、ルーポの寝衣のズボンを下着ごと脱がしてしまった。
ルーポは必死で背中を向けてうつ伏せになり、少しでもカヤの目から自分の裸身を隠そうとした。
手に薄衣がふれたので、それもかぶってみる。
濃い青い薄衣の向こうにルーポの白く細い裸体が透けて見えるのは、とても煽られた。
本人はそれに気がついておらず、その様子がまたかわいく見えてカヤは笑った。
そして大胆に自分も着ているものを脱ぎ捨てるとルーポの隣に横になり、薄衣越しに白い背中を優しくなでた。
「ひゃあっ」
「初めでじゃないんだろ?
それともおまえ、童貞?」
「ち、違いますよっ!
ちゃ、ちゃんと十五のときに、花街で」
「どんな女だった?」
「おぼ、覚えていません。
暗くて無我夢中だったし」
「気持ちよかった?」
「……た、ぶん……?」
「俺は?
俺の手は気持ちいい?」
「あ、やぁっ」
背中をなでられているだけなのに、ぞくぞくした感覚が背骨を伝い、うなじから頭へ広がる。
反応を見ながら、そっと薄衣をずらし、直接背中をさわる。
ルーポの背中には顔と同じようにそばかすが散らばっていた。
それがかわいらしくて、カヤは優しく背中を徐々に露わにしながら短いキスを降らす。
むにゅりとした濡れた感覚がどこに落とされるのかわからず、背中に唇が触れるたび、ルーポはびくりびくりと身体を震わせた。
下半身はまだ布をかけたままにしてやり、カヤは「こっち向け」とルーポを軽々と仰向けにさせた。
「顔、見せろ」
「やあっ!」
「やだ?
なんで?
俺はルーポの顔が見たいよ。
おまえは俺の顔見えなくても平気なの?」
「それは、や」
「なら、ほら」
カヤはルーポの腕を取って自分の首にかけてやる。
ぎゅっとルーポが抱きつくと、あやすように髪をなで、キスをする。
溜まった涙で濡れたまつ毛がルーポをとても幼く見せた。
カヤは甘いキスをしながら、巧みに手を動かし、また乳首をつまんだ。
「そこ、や」
「なんで?」
「お、女の子じゃ、ないし」
「でもいいだろ?
おまえ、気持ちよさそうだよ」
「恥ずかしいっ……いっ」
カヤは頭をずらして舐めにかかった。
口に含まれころころと転がされ、もう片方はこねたり強くつままれたりした。
「ほら、いい声出てる」
「カヤ様は意地が悪い」
カヤは喉の奥で笑うと、「じゃあ意地悪をしてやる」と股間に手を伸ばした。
「軽く勃ってるな」
「そんなこと、い、言わない、でっ」
カヤは薄衣の内側に自分の腰を滑り込ませ、ルーポに押しつけてこすった。
ごりごりと硬いものが自分のものに当たって、ルーポは驚いた。
「俺のはこんなになっているよ、ルーポ」
驚いて思わず手を下に伸ばし、ふれてみる。
おっきい……
熱い……
「おいおい、随分大胆だなぁ」
「………あ」
頭は自分の行動に呆然としているのに、好奇心にあふれた手は上下に動いていた。
すぐにぬるぬるとしたものが先から垂れてきて、手が濡れた。
「っくぅっ」
カヤが大きく唸る。
「まったく子ひつじかと思っていたら名前の通りオオカミだ。
もう、これもいいよな」
カヤはルーポの身体から青い薄衣を取り去る。
そしてルーポの手から逃れるように身をずらすと、ぱくりとルーポをくわえた。
「ひゃっ、なに、それっ、あんっ」
ねっとりと熱い口の中は初めての感触でルーポはもがく。
しかし舌が先の割れ目にはわされたとき、これまでもやりもやりとしていた衝動が一気に襲ってきた。
「やっ、カヤさま、それ、あっ、んんっ」
カヤはルーポの反応の変化に気づき、わざといやらしい音を立てて吸っていく。
「やだやだやだっ、カヤ様、いやああああっ!!」
口を離し、カヤは言った。
「強すぎたか?」
ぜいぜいと息を乱し、ルーポが言った。
「もう、ちょ……っと、やさしく……して……」
「おまえが一回イったらな」
「あああああっ」
カヤはまたくわえ、今度は下の玉も揉みこむようにそっと手のひらで包む。
くっと衝動が走った。
「だめっ、で、出ちゃうからっ、だ、だめっ。
は、離して、カヤ様っ。
やっ、だ、いやあっ、…くっ、…くっ。
イくっ!」
押し出され液体がせり上がるのを感じた。
カヤが口を離したので、生温かい液体ははたはたと吐き出され、散った。
胸を上下させ、息粗く横たわっているルーポを見ながら、カヤはそっとベッドヘッドの小さな隠しひきだしから小瓶を取り出した。
ふたを開けるとふわりとシトラスの香りが漂った。
中のねっとりした潤滑油を指にたっぷりまとわせると、脱力したルーポの足を立てて開き、すぼまりのまわりをなぞった。
まだ息が整わないルーポは驚いた。
「な、なにっ?!」
「準備だよ」
「あ……」
ルーポは顔を赤くした。
「おまえ、こっちは初めて?」
「……はい」
「じゃあ、念入りだな」
カヤは潤滑油を足しながら、少しずつ小指をルーポの中に押し込んだり出したりを繰り返した。
「なにをするか、知らないわけじゃないだろ」
「そ、そうだ、けど……あんっ」
「痛かった?」
「ううん……ちが……んっ。
ヘ、ヘンな感じ……」
「いやか?」
「………」
「俺はおまえとここでつながりたい。
が、ルーポがいやならしたくない。
痛いこともしたくない」
ルーポは観念した。
これまで、禁欲的にしてきたつもりだった。
薬局の寮にいた頃は忙しくてそれどころではなかった。
しかし、この屋敷にきて、カヤにたっぷりとふれられて、いつしかカヤのその大きな手でしごかれてイってしまう夢を見たような感覚を持ちながら朝を迎えていたのが、この数日のことだった。
気づかないふりをしていたように思う。
受勲式の前になんてことを夢想してしまうのかと思っていた。
なんとか誤魔化してきた。
でも。
もう。
我慢しなくていい。
黙ってしまったルーポにカヤはぬるついた指を抜こうとした。
「………て」
ルーポの小さな声が聞き取れず、カヤはルーポの口に耳を寄せた。
「………して。
も……っと、して……」
かっちりと音がして、ルーポに火が灯った。
自分の指がこれまでにないうねりを感じて、カヤは喜んだ。
そして、潤滑油を足すと小指と薬指の二本を入れながら、再びくわえた。
「やああっ、両方いっぺん、やあああっ!」
ルーポは声を我慢しなかった。
身体の動きも抑えなかった。
面白いほど感じ、魚のようにはぜた。
「なんで。
おまえの身体は喜んでるぞ、ルーポ」
口の中でむくむくと大きくなるルーポに、カヤはにやりとしながら言った。
「それにこのほうが、力が抜けるだろ」
「でもぉっ」
ルーポは叫んだ。
「おかっ、しくなるっ」
「それでいいんだ、ルーポ」
「カ……ヤ様ぁ」
ルーポをイかさないように加減をしながら、カヤはくわえたり乳首や身体中を舐めたり、飛び出す声を飲み込むようにキスしたりした。
そうこうしながら、ルーポはカヤの骨ばった太い指を三本抜き差ししても違和感がなくなっていた。
「ルーポ、そろそろ大丈夫だと思う。
どうだ?」
追い詰められて喘いでぐったりしているルーポのこめかみにキスをしながらカヤが言った。
「………?」
「いいか?」
ここまできて確認されるとは思わなかった。
ルーポは切なそうに眉をゆがめて囁いた。
「……きて」
「じゃあ、後ろを向」
「カヤ様の顔が見たい」
「あーあ、おまえにはかなわないなぁ」
カヤは一度ルーポから身体を離し、ルーポの乱れて頬にかかった前髪を払ってやった。
そして枕をルーポの腰の下に入れてやる。
カヤはルーポに覆いかぶさり、熱いキスをした。
ルーポの腕が伸び、カヤの顔をなぞった。
右頬の傷に触れた時、少し辛そうな顔をした。
ルーポの指は長い黒髪を伝い、首筋、そして肩にかかった。
綺麗なピンクの花が咲き誇っていた。
カヤを見上げると、また気持ちいいキスをされた。
またシトラスの香りが漂った。
カヤが自分に潤滑油をたらし、数回扱いてそれを全体に伸ばすと、先ほどまで自分の三本の指が入っていた場所に先をあてがった。
「ルーポ」
名前を呼ぶとぐっと突き出した。
くくっと先がめり込む。
「ぐっ」
ルーポが呻いた。
呼吸が一気に乱れる。
「力を抜け、ルーポ。
俺を受け入れろ」
「ふんんんんっ。
ぐっ、ああああああっっっ!
お、きいっ、かっ、らっ!」
「おまえ見て、でかくなったんだ、よっ」
「やだ、そ、んな」
カヤは容赦はしなかった。
腰を動かし、ルーポの中を進んでいく。
「カヤっ、さまっ」
「ルーポ」
ルーポがカヤの首に抱きついた。
「やめるか?」
「やだ」
「強情っぱりだな。
じゃ、このままいくぞ」
ルーポは泣きながらうなずく。
「十分に慣らしたが、初めてだからかな。
力、抜けって」
「だ…って、どうやったら、いいの」
「とろとろになれよ」
「?!」
「俺の手、気持ちよかっただろ?
真っ赤な顔して、感じて、かわいかったぞ、ルーポ」
「なに恥ずかしいこと、言っ」
頬を紅潮させた瞬間、カヤがぐっとまた奥に進んできた。
「ふうっ」
「声もな、かわいい」
「やあっ」
「また聞かせてくれ、ルーポのかわいい声」
「やだやだ……んっ?」
「あ、ここだな。
さっきは刺激しなかったけど。
ここ」
「はうううっ!」
「もう一番太いところが入ったからあとは楽だぞ。
よくがんばったな」
「や」
「ほら、いいところ当ててやるから」
「?!」
カヤの出っ張りがそこをこすった。
ルーポの身体が反応した。
「や、なにこれっ。
や、やだっ」
「さっきから、やだやだばっかりだなぁ。
んふぅ、ほら、いいとか気持ちいいとか言えよ」
「あ、やだ。
そこばっかり、やあっ」
「本当にいや?
よくないか?
いい、って言ってみろよ」
「や」
するとカヤはそこを外したぎりぎりのところをこすり出した。
身体はすでにその快感を覚えてしまって、刺激されそうなのにそれがなくて疼きだした。
「ほら」
ルーポが身悶えし出すと、欲しい場所に当てた。
「ああっ、いいっ」
「そうだ、ルーポ」
こりこりとそこをこすられ、ルーポの腰も揺れる。
「気持ち、い……」
「ん、よかった。
気持ちよさそうな顔してるぞ、ルーポ」
カヤはにっこり笑って、キスをしながら腰を動かした。
ルーポの声が二つの唇から薄く漏れる。
カヤはそのまま奥へと進んでいった。
「ふうっ、ふ……、んんっ……う」
こつんと行き止まりに当たった気がした。
カヤが唇を離すとくったりしたルーポがいた。
空色の目は潤み、身体中上気してほんのりピンク色に染まり、唇は濡れて薄く開いていた。
「たまらないな」
カヤががつがつと腰を動かす。
ルーポの声が溢れる。
目が合う。
ルーポが欲に濡れながら、幸せそうに微笑む。
とろとろの笑顔はカヤを直撃し、ルーポの腰を掴むと長いストロークで突いたり、かき回したりした。
ルーポは艶やかな喘ぎ声を上げた。
気持ちよさそうで、悩ましい。
そしてカヤを求めた。
内側はうねり、熱く、そしてカヤにまとわりついた。
カヤが音を上げ、声を出してルーポの奥へ射精した。
とぷんという衝撃と共にルーポはそれを感じた。
「なんて顔してるっ」
カヤは怒ったようにそう言い捨て、初めての衝撃でぼんやりしているルーポの背中に腕を挿し込んだ。
カヤが見たルーポの顔は完全にとろけていた。
妖艶で誘うようでありながら、とろんとした空色の目で自分を見上げ、それでいてどこか犯しがたい清らかな微笑みを浮かべていた。
そしてルーポはごくんと大きく唾液を飲んだ。
それがカヤには自分を期待されているように思えた。
あっと気がつくと、ルーポはカヤにうつ伏せにされ、膝をついて腰を高く上げ、そのままそこを掴まれていた。
またシトラスの香りがしたかと思うと、ずぶずぶとカヤが埋め込まれていた。
「やああああああっ」
これにはルーポも驚いた。
カヤは「くっ」「うっ」と短く唸りながら余裕なく腰を動かした。
ひどくゆすぶられ、ルーポはいつしか泣いていた。
内側は新たに注がれた潤滑油とカヤの液体でぐじゅぐじゅになっていて、派手な音を立てた。
ぱんぱんと自分の尻にカヤの下半身が打ち付けられる音もしてきた。
ルーポは自分の変化に驚いていた。
乱暴にされているようで、カヤは痛いことはしなかった。
ルーポをこれでもかというほど溶かし、感じるところをまずは突いてきた。
浅いところをこりこりされるのと、奥の行き止まりを突かれるのが気持ちよかった。
口から出る言葉もいつしか「いや」はなくなり、「いい」と「気持ちいい」とカヤの名前だけになった。
カヤが動きを緩めたとき、熱い手がルーポの胸や股間をまさぐってきた。
上下にこすられるとぐんとそこに血が集まったのがわかった。
一度、口でいかされたもののまだまだ足りなかった。
ぐんぐん硬さが増し、自分の尻だけでなく股からもくちゃくちゃという音がしてきたのが聞こえた。
カヤはうなされたようにルーポの名を呼び、器用にもたまに背中に唇を落とした。
一度に数か所カヤに責められ、ルーポもたまらなくなっていき、カヤの手を派手に濡らした。
まだいっているのにカヤが腰を掴み、がんがんと突き刺していく。
なにもわからなくなってしまいそうだった。
またとぷんとした小さな衝撃と熱が広がったのを感じ、ルーポはカヤが二回目の射精をしたのを感じた。
まだつながったまま、後ろから抱きしめられ、2人ともベッドに横向きに倒れ込んだ。
汗だくでルーポの背中とカヤの胸や腹はぬるぬるとしていたが、カヤは腕を離そうとはしなかった。
ぜいぜいという二つの荒い息遣いだけがランプの灯った部屋に響いた。
やがて、静かな闇が漂い始めた。
2人の出した獣のようなにおいとシトラスの香りが闇を濃密なものにした。
呼吸は穏やかなものになり、少しずつ落ち着いてきた。
ルーポは驚くほどの多幸感に浸っていた。
カヤが自分を求め、自分もカヤを求め、お互いに受け入れ受け入れられしたのが嬉しかった。
切なくなるほどのこの時間をとても愛おしいと思った。
目を閉じると涙がこぼれた。
温かな涙だった。
ルーポはにっこりと笑った。
「ルーポ、大丈夫か」
カヤの低く柔らかな声が背後から響いた。
「はい」
ルーポが返事をすると、カヤがルーポの髪にキスをした。
そしてルーポの腕をなでた。
ルーポは甘えるようにカヤに背中を押し付けようとして「あ……」と艶めいた声を上げた。
まだつながっているそこが、ルーポの内側を刺激した。
カヤが名残惜しそうに抜こうとした。
が、ルーポがカヤの腕をつかんで叫ぶように言った。
「抜かないで」
驚いたカヤが動きを止めた。
「でも抜かないと、おまえが苦しいだろう」
ルーポは首を振った。
そしてうなじまで赤くしてぽそりと言った。
「も…一回……抱いて……」
何も言わずにカヤはルーポの首をこちらに捻り、乱暴なキスをした。
むくむくと自分の中のカヤが大きくなるのをルーポは感じた。
カヤは自分だけ起き上がると器用にルーポの身体の向きを変え、抱え上げた。
「ふあああああっ」
対面座位になりルーポの身体を抱きしめた。
ルーポもカヤの首に抱きついた。
今までにないほど身体が密着し、下からずくんと突き上げられた。
「ふかっ」
自重でずぶずぶとカヤをくわえ、沈んでいく。
より深く。
より奥まで。
カヤは激しく突き上げ、ルーポは泣きながら気持ちよさそうに声をこぼした。
時折、どろどろになりそうなキスを交わし、カヤの唇がルーポの首や胸に食らいついた。
最後の大きな突き上げで、ルーポは三回目の熱を下腹に感じた。
自分はカヤの腹でこすられ、先にいっていた。
もう自分で身体を支えられなかった。
ずるりと力をなくしたカヤが自分の中から引き抜かれてもなにも言えず、ベッドに横になった。
鈍い痛みとぽっかりと空いた消失感。
カヤも横に大の字になって落ち着くまで転がった。
カヤの息が整うとベッドから下りて、水差しからグラスにつぐとぐびぐびと飲んだ。
一息つくと水の入ったグラスを持ってルーポに近づいた。
くったりとしたルーポにグラスを差し出すが、動けずにいた。
カヤは口移しで水を飲ませた。
ひとしきりそうしたあと、汚れてしまったベッドの敷布でルーポを包み、その上からあの青い薄衣をかぶせて抱き上げ、そのまま全裸で部屋から出た。
ルーポが連れてこられたのは浴室だった。
中はオイルランプで照らされ、程よい温度の湯が浴槽に溜められていた。
カヤは布の中からルーポを取り出すと抱いて風呂場に入った。
ぐったりしたルーポに湯をかけ、うつ伏せにして尻の穴に指を突っ込んだ。
驚いたがもう動けないルーポはされるがままだった。
カヤは自分が吐き出したものを掻き出した。
とろりとろりと出てくる濃厚な液体を滴らせるルーポは煽情的だった。
指を二本入れ、穴を広げ、もう出てこないことを確認すると、今度は柔らかな布でルーポの身体を洗い、髪も優しく洗った。
自分も手早く身体を洗うと、ルーポを抱いたまま湯船に入った。
カヤは腕の中のルーポの額に口づけをした。
「気持ちいいな」
ルーポはそっとうなずいた。
そっとカヤの胸に頰を寄せる。
しばらくそうして身体が十分に温まり、さっぱりしたところで湯船から上がった。
柔らかい布でルーポの身体を拭き、洗い立ての寝衣を着せた。
自分も寝衣を着るとまた薄衣ですっぽり包み、慎重にルーポを抱き上げた。
そして、カヤの部屋にもどっていった。
ベッドの敷布は新しいものに替わっており、そこにそっとルーポを下ろして、薄衣を取ってやった。
もうルーポは半分以上眠っていた。
カヤはようやくオイルランプの火を落とした。
闇と静寂がまた二人を包む。
そっと掛布をルーポと自分にかけ、最後にちゅっと唇にキスをし、カヤもルーポの横に寝転がった。
あっと言う間にカヤも眠りに落ちていった。
ルーポの手を握り、その感触に満足しながらほくほくする気持ちも抱きしめて。
***
カヤが目覚めたとき、太陽は随分高くなっていた。
昨日のことを思い出すと、にやけてきて仕方なかった。
多少痛む腰をとんとんと叩き、起き上がった。
愛しい薬師の寝顔を覗いてやろうとした。
そこにあるはずのこんもりとした温かい丸みはなかった。
「ルーポ?」
乾いたカヤの声はさらさらと砕けていった。
ただ、冷たい平らな敷布があるだけだった。
***
幕間 https://etocoria.blogspot.com/2018/09/blog-post_98.html
そっと壊れものを扱うようにカヤはルーポを自分のベッドの上に下ろした。
青い薄衣にくるまりちょこんと座っているルーポの姿は愛らしかった。
カヤは頬を緩めながら、靴を脱ぎ自分もベッドの上に上がり込んだ。
重さでベッドがへこみ、ルーポは身を硬くした。
「どうした、緊張しているのか?
ここに来るのは初めてじゃないだろ」
カヤはルーポの左隣に座った。
以前、眠りこけてしまったので、ルーポもカヤの部屋は初めてではない。
しかし、今宵は意味合いが違う。
だが、そんなことは恥ずかしくて言えるはずもなかった。
黙ってしまったルーポをカヤは右腕で引き寄せ、ルーポの薄い肩を抱いた。
自分にふれる大きなカヤは温かかった。
「安心しろ」と告げるようにカヤの手はルーポの肩を優しくなでる。
それが気持ちよくて、ルーポは力を抜き、身体をカヤに預けた。
カヤは嬉しそうに微笑むと、肩をなで続けた。
「おまえとこうやって過ごすのは、久しぶりだな」
「そうですね」
話がうまいロダやあれこれと世話を焼きたがるアルベルト、カヤもルーポも心配な屋敷の者たちのせいで、2人きりになるのは入浴時のみだった。
「少し、話すか」
と言ったものの、2人とも言葉が続かなかった。
しばらくの沈黙のあと、ルーポが口を開いた。
「改めて話そうとすると、困ってしまいますね」
「そうだなぁ。
無理に話さなくてもいいかもな」
カヤはずり落ちてきた薄衣をルーポにまたかけてやった。
「この布は?」
「綺麗だろう?
おまえに似合うと思ったんだ」
「綺麗ですね。
でも、どうして僕に?」
「ここに来るまでに誰にもルーポを見せたくなかったんだよ」
思わぬ答えにルーポはかっと顔を赤くした。
「でも分厚い布だと息苦しそうだろう?
だから薄いのにしたんだ。
この青もいいと思って」
うつむいてしまったルーポに気づき、カヤは顔を覗き込む。
「どうした?」
「い、いいえっ。
な、なんでもないですっ」
「ははははは、おまえ、そうやって元気にしゃべれよ」
「?」
「ベンチで会った頃はもっといっぱい気楽にしゃべっていたのに、アルベルトがあれこれ言うから、すっかりおとなしくなってしまって。
もうしばらく受勲式はないんだから、これまでどおりに話せ」
「そ、その節はた、大変失礼を……」
しどろもどろになっていくルーポにカヤは苦笑した。
せっかく抜けていた力がまたぐっと入り、ルーポの身体は硬くなった。
カヤはむにっとルーポの頬に手を添えた。
そしてそのまま上を向かせた。
微かな音がして薄衣がルーポから落ちた。
「おまえはそのまんまでいいんだ。
何度言ったらわかる、ルーポ?」
「え……っと」
優しい黒曜石の瞳が淡い空色の瞳をとらえた。
カヤはそのまま柔らかなキスをした。
唇を離すと変わらずに頬を染めたルーポの顔がそこにあった。
またキスをした。
次に見せた顔は少しとろんとなった顔だった。
「おまえ、酒に弱いのな。
あんまり飲みすぎるなよ。
かわいい顔になりすぎてどうしようかと思った」
ぶわあああっと顔が真っ赤になったのが、ルーポにもわかった。
この人はどうしてそんな恥ずかしいことを平気でするりと言っちゃうんだっ!
と思った瞬間、耳まで熱くなったのを感じた。
「かわいいなぁ、ルーポは」
今度はぐいっと抱き寄せ、ルーポの後ろ頭に手をやると逃げられないようにしてしっかりとしたキスをした。
舌を入れ、絡め、ちょっと唇が離れたかと思ったら、また違う角度で重ねられた。
何度も何度もそうやって唇を重ねては離し、離しては重ねた。
長い時間をかけキスをし、ようやく唇を離されるとルーポはちょっとくったりしてカヤの腕の中にいた。
カヤはそっとルーポをベッドに横たえた。
先ほどまでなかった熱が黒曜石の瞳に灯ったのが、ルーポにも見えた。
「……いいか」
少し絞り出すような囁き声が聞こえた。
「……はい」
ルーポが答えた。
「んっ、ふぁっ」
カヤがルーポに覆いかぶさった。
そしてさっきとは全然違う激しさで口づけされた。
そのままカヤの唇はルーポの耳や首筋に移った。
「あっ、やっ」
ルーポの声がこぼれた。
カヤはルーポの耳に唇を押し当てて言った。
「いいぞ。
もっと聞かせろ」
「やあぁっ」
吹き込まれた言葉と熱い息に驚きルーポが大きな声を上げた。
カヤは楽しそうに喉の奥で笑うと、手を寝衣上の隙間から差し入れ、それをたくし上げあっという間に脱がしてしまった。
恥ずかしくて逃げようとするルーポにカヤがのしかかった。
「やっ、カヤ様、重いっ」
「逃げるな、ルーポ」
「だって、恥ずかし……んっ。
そこ、さわらないで」
「なんで?
こんなにかわいいのに」
カヤの指先はルーポの胸の先をつまみころころといじっていた。
「さっきも一緒に風呂に入っただろ?
ここに来て毎日一緒に入っているじゃないか。
なんでそんなに恥ずかしがる?」
「だってっ」
「大したことないだろ」
「やああああっ」
カヤは身を起こしたと思うと、ルーポの寝衣のズボンを下着ごと脱がしてしまった。
ルーポは必死で背中を向けてうつ伏せになり、少しでもカヤの目から自分の裸身を隠そうとした。
手に薄衣がふれたので、それもかぶってみる。
濃い青い薄衣の向こうにルーポの白く細い裸体が透けて見えるのは、とても煽られた。
本人はそれに気がついておらず、その様子がまたかわいく見えてカヤは笑った。
そして大胆に自分も着ているものを脱ぎ捨てるとルーポの隣に横になり、薄衣越しに白い背中を優しくなでた。
「ひゃあっ」
「初めでじゃないんだろ?
それともおまえ、童貞?」
「ち、違いますよっ!
ちゃ、ちゃんと十五のときに、花街で」
「どんな女だった?」
「おぼ、覚えていません。
暗くて無我夢中だったし」
「気持ちよかった?」
「……た、ぶん……?」
「俺は?
俺の手は気持ちいい?」
「あ、やぁっ」
背中をなでられているだけなのに、ぞくぞくした感覚が背骨を伝い、うなじから頭へ広がる。
反応を見ながら、そっと薄衣をずらし、直接背中をさわる。
ルーポの背中には顔と同じようにそばかすが散らばっていた。
それがかわいらしくて、カヤは優しく背中を徐々に露わにしながら短いキスを降らす。
むにゅりとした濡れた感覚がどこに落とされるのかわからず、背中に唇が触れるたび、ルーポはびくりびくりと身体を震わせた。
下半身はまだ布をかけたままにしてやり、カヤは「こっち向け」とルーポを軽々と仰向けにさせた。
「顔、見せろ」
「やあっ!」
「やだ?
なんで?
俺はルーポの顔が見たいよ。
おまえは俺の顔見えなくても平気なの?」
「それは、や」
「なら、ほら」
カヤはルーポの腕を取って自分の首にかけてやる。
ぎゅっとルーポが抱きつくと、あやすように髪をなで、キスをする。
溜まった涙で濡れたまつ毛がルーポをとても幼く見せた。
カヤは甘いキスをしながら、巧みに手を動かし、また乳首をつまんだ。
「そこ、や」
「なんで?」
「お、女の子じゃ、ないし」
「でもいいだろ?
おまえ、気持ちよさそうだよ」
「恥ずかしいっ……いっ」
カヤは頭をずらして舐めにかかった。
口に含まれころころと転がされ、もう片方はこねたり強くつままれたりした。
「ほら、いい声出てる」
「カヤ様は意地が悪い」
カヤは喉の奥で笑うと、「じゃあ意地悪をしてやる」と股間に手を伸ばした。
「軽く勃ってるな」
「そんなこと、い、言わない、でっ」
カヤは薄衣の内側に自分の腰を滑り込ませ、ルーポに押しつけてこすった。
ごりごりと硬いものが自分のものに当たって、ルーポは驚いた。
「俺のはこんなになっているよ、ルーポ」
驚いて思わず手を下に伸ばし、ふれてみる。
おっきい……
熱い……
「おいおい、随分大胆だなぁ」
「………あ」
頭は自分の行動に呆然としているのに、好奇心にあふれた手は上下に動いていた。
すぐにぬるぬるとしたものが先から垂れてきて、手が濡れた。
「っくぅっ」
カヤが大きく唸る。
「まったく子ひつじかと思っていたら名前の通りオオカミだ。
もう、これもいいよな」
カヤはルーポの身体から青い薄衣を取り去る。
そしてルーポの手から逃れるように身をずらすと、ぱくりとルーポをくわえた。
「ひゃっ、なに、それっ、あんっ」
ねっとりと熱い口の中は初めての感触でルーポはもがく。
しかし舌が先の割れ目にはわされたとき、これまでもやりもやりとしていた衝動が一気に襲ってきた。
「やっ、カヤさま、それ、あっ、んんっ」
カヤはルーポの反応の変化に気づき、わざといやらしい音を立てて吸っていく。
「やだやだやだっ、カヤ様、いやああああっ!!」
口を離し、カヤは言った。
「強すぎたか?」
ぜいぜいと息を乱し、ルーポが言った。
「もう、ちょ……っと、やさしく……して……」
「おまえが一回イったらな」
「あああああっ」
カヤはまたくわえ、今度は下の玉も揉みこむようにそっと手のひらで包む。
くっと衝動が走った。
「だめっ、で、出ちゃうからっ、だ、だめっ。
は、離して、カヤ様っ。
やっ、だ、いやあっ、…くっ、…くっ。
イくっ!」
押し出され液体がせり上がるのを感じた。
カヤが口を離したので、生温かい液体ははたはたと吐き出され、散った。
胸を上下させ、息粗く横たわっているルーポを見ながら、カヤはそっとベッドヘッドの小さな隠しひきだしから小瓶を取り出した。
ふたを開けるとふわりとシトラスの香りが漂った。
中のねっとりした潤滑油を指にたっぷりまとわせると、脱力したルーポの足を立てて開き、すぼまりのまわりをなぞった。
まだ息が整わないルーポは驚いた。
「な、なにっ?!」
「準備だよ」
「あ……」
ルーポは顔を赤くした。
「おまえ、こっちは初めて?」
「……はい」
「じゃあ、念入りだな」
カヤは潤滑油を足しながら、少しずつ小指をルーポの中に押し込んだり出したりを繰り返した。
「なにをするか、知らないわけじゃないだろ」
「そ、そうだ、けど……あんっ」
「痛かった?」
「ううん……ちが……んっ。
ヘ、ヘンな感じ……」
「いやか?」
「………」
「俺はおまえとここでつながりたい。
が、ルーポがいやならしたくない。
痛いこともしたくない」
ルーポは観念した。
これまで、禁欲的にしてきたつもりだった。
薬局の寮にいた頃は忙しくてそれどころではなかった。
しかし、この屋敷にきて、カヤにたっぷりとふれられて、いつしかカヤのその大きな手でしごかれてイってしまう夢を見たような感覚を持ちながら朝を迎えていたのが、この数日のことだった。
気づかないふりをしていたように思う。
受勲式の前になんてことを夢想してしまうのかと思っていた。
なんとか誤魔化してきた。
でも。
もう。
我慢しなくていい。
黙ってしまったルーポにカヤはぬるついた指を抜こうとした。
「………て」
ルーポの小さな声が聞き取れず、カヤはルーポの口に耳を寄せた。
「………して。
も……っと、して……」
かっちりと音がして、ルーポに火が灯った。
自分の指がこれまでにないうねりを感じて、カヤは喜んだ。
そして、潤滑油を足すと小指と薬指の二本を入れながら、再びくわえた。
「やああっ、両方いっぺん、やあああっ!」
ルーポは声を我慢しなかった。
身体の動きも抑えなかった。
面白いほど感じ、魚のようにはぜた。
「なんで。
おまえの身体は喜んでるぞ、ルーポ」
口の中でむくむくと大きくなるルーポに、カヤはにやりとしながら言った。
「それにこのほうが、力が抜けるだろ」
「でもぉっ」
ルーポは叫んだ。
「おかっ、しくなるっ」
「それでいいんだ、ルーポ」
「カ……ヤ様ぁ」
ルーポをイかさないように加減をしながら、カヤはくわえたり乳首や身体中を舐めたり、飛び出す声を飲み込むようにキスしたりした。
そうこうしながら、ルーポはカヤの骨ばった太い指を三本抜き差ししても違和感がなくなっていた。
「ルーポ、そろそろ大丈夫だと思う。
どうだ?」
追い詰められて喘いでぐったりしているルーポのこめかみにキスをしながらカヤが言った。
「………?」
「いいか?」
ここまできて確認されるとは思わなかった。
ルーポは切なそうに眉をゆがめて囁いた。
「……きて」
「じゃあ、後ろを向」
「カヤ様の顔が見たい」
「あーあ、おまえにはかなわないなぁ」
カヤは一度ルーポから身体を離し、ルーポの乱れて頬にかかった前髪を払ってやった。
そして枕をルーポの腰の下に入れてやる。
カヤはルーポに覆いかぶさり、熱いキスをした。
ルーポの腕が伸び、カヤの顔をなぞった。
右頬の傷に触れた時、少し辛そうな顔をした。
ルーポの指は長い黒髪を伝い、首筋、そして肩にかかった。
綺麗なピンクの花が咲き誇っていた。
カヤを見上げると、また気持ちいいキスをされた。
またシトラスの香りが漂った。
カヤが自分に潤滑油をたらし、数回扱いてそれを全体に伸ばすと、先ほどまで自分の三本の指が入っていた場所に先をあてがった。
「ルーポ」
名前を呼ぶとぐっと突き出した。
くくっと先がめり込む。
「ぐっ」
ルーポが呻いた。
呼吸が一気に乱れる。
「力を抜け、ルーポ。
俺を受け入れろ」
「ふんんんんっ。
ぐっ、ああああああっっっ!
お、きいっ、かっ、らっ!」
「おまえ見て、でかくなったんだ、よっ」
「やだ、そ、んな」
カヤは容赦はしなかった。
腰を動かし、ルーポの中を進んでいく。
「カヤっ、さまっ」
「ルーポ」
ルーポがカヤの首に抱きついた。
「やめるか?」
「やだ」
「強情っぱりだな。
じゃ、このままいくぞ」
ルーポは泣きながらうなずく。
「十分に慣らしたが、初めてだからかな。
力、抜けって」
「だ…って、どうやったら、いいの」
「とろとろになれよ」
「?!」
「俺の手、気持ちよかっただろ?
真っ赤な顔して、感じて、かわいかったぞ、ルーポ」
「なに恥ずかしいこと、言っ」
頬を紅潮させた瞬間、カヤがぐっとまた奥に進んできた。
「ふうっ」
「声もな、かわいい」
「やあっ」
「また聞かせてくれ、ルーポのかわいい声」
「やだやだ……んっ?」
「あ、ここだな。
さっきは刺激しなかったけど。
ここ」
「はうううっ!」
「もう一番太いところが入ったからあとは楽だぞ。
よくがんばったな」
「や」
「ほら、いいところ当ててやるから」
「?!」
カヤの出っ張りがそこをこすった。
ルーポの身体が反応した。
「や、なにこれっ。
や、やだっ」
「さっきから、やだやだばっかりだなぁ。
んふぅ、ほら、いいとか気持ちいいとか言えよ」
「あ、やだ。
そこばっかり、やあっ」
「本当にいや?
よくないか?
いい、って言ってみろよ」
「や」
するとカヤはそこを外したぎりぎりのところをこすり出した。
身体はすでにその快感を覚えてしまって、刺激されそうなのにそれがなくて疼きだした。
「ほら」
ルーポが身悶えし出すと、欲しい場所に当てた。
「ああっ、いいっ」
「そうだ、ルーポ」
こりこりとそこをこすられ、ルーポの腰も揺れる。
「気持ち、い……」
「ん、よかった。
気持ちよさそうな顔してるぞ、ルーポ」
カヤはにっこり笑って、キスをしながら腰を動かした。
ルーポの声が二つの唇から薄く漏れる。
カヤはそのまま奥へと進んでいった。
「ふうっ、ふ……、んんっ……う」
こつんと行き止まりに当たった気がした。
カヤが唇を離すとくったりしたルーポがいた。
空色の目は潤み、身体中上気してほんのりピンク色に染まり、唇は濡れて薄く開いていた。
「たまらないな」
カヤががつがつと腰を動かす。
ルーポの声が溢れる。
目が合う。
ルーポが欲に濡れながら、幸せそうに微笑む。
とろとろの笑顔はカヤを直撃し、ルーポの腰を掴むと長いストロークで突いたり、かき回したりした。
ルーポは艶やかな喘ぎ声を上げた。
気持ちよさそうで、悩ましい。
そしてカヤを求めた。
内側はうねり、熱く、そしてカヤにまとわりついた。
カヤが音を上げ、声を出してルーポの奥へ射精した。
とぷんという衝撃と共にルーポはそれを感じた。
「なんて顔してるっ」
カヤは怒ったようにそう言い捨て、初めての衝撃でぼんやりしているルーポの背中に腕を挿し込んだ。
カヤが見たルーポの顔は完全にとろけていた。
妖艶で誘うようでありながら、とろんとした空色の目で自分を見上げ、それでいてどこか犯しがたい清らかな微笑みを浮かべていた。
そしてルーポはごくんと大きく唾液を飲んだ。
それがカヤには自分を期待されているように思えた。
あっと気がつくと、ルーポはカヤにうつ伏せにされ、膝をついて腰を高く上げ、そのままそこを掴まれていた。
またシトラスの香りがしたかと思うと、ずぶずぶとカヤが埋め込まれていた。
「やああああああっ」
これにはルーポも驚いた。
カヤは「くっ」「うっ」と短く唸りながら余裕なく腰を動かした。
ひどくゆすぶられ、ルーポはいつしか泣いていた。
内側は新たに注がれた潤滑油とカヤの液体でぐじゅぐじゅになっていて、派手な音を立てた。
ぱんぱんと自分の尻にカヤの下半身が打ち付けられる音もしてきた。
ルーポは自分の変化に驚いていた。
乱暴にされているようで、カヤは痛いことはしなかった。
ルーポをこれでもかというほど溶かし、感じるところをまずは突いてきた。
浅いところをこりこりされるのと、奥の行き止まりを突かれるのが気持ちよかった。
口から出る言葉もいつしか「いや」はなくなり、「いい」と「気持ちいい」とカヤの名前だけになった。
カヤが動きを緩めたとき、熱い手がルーポの胸や股間をまさぐってきた。
上下にこすられるとぐんとそこに血が集まったのがわかった。
一度、口でいかされたもののまだまだ足りなかった。
ぐんぐん硬さが増し、自分の尻だけでなく股からもくちゃくちゃという音がしてきたのが聞こえた。
カヤはうなされたようにルーポの名を呼び、器用にもたまに背中に唇を落とした。
一度に数か所カヤに責められ、ルーポもたまらなくなっていき、カヤの手を派手に濡らした。
まだいっているのにカヤが腰を掴み、がんがんと突き刺していく。
なにもわからなくなってしまいそうだった。
またとぷんとした小さな衝撃と熱が広がったのを感じ、ルーポはカヤが二回目の射精をしたのを感じた。
まだつながったまま、後ろから抱きしめられ、2人ともベッドに横向きに倒れ込んだ。
汗だくでルーポの背中とカヤの胸や腹はぬるぬるとしていたが、カヤは腕を離そうとはしなかった。
ぜいぜいという二つの荒い息遣いだけがランプの灯った部屋に響いた。
やがて、静かな闇が漂い始めた。
2人の出した獣のようなにおいとシトラスの香りが闇を濃密なものにした。
呼吸は穏やかなものになり、少しずつ落ち着いてきた。
ルーポは驚くほどの多幸感に浸っていた。
カヤが自分を求め、自分もカヤを求め、お互いに受け入れ受け入れられしたのが嬉しかった。
切なくなるほどのこの時間をとても愛おしいと思った。
目を閉じると涙がこぼれた。
温かな涙だった。
ルーポはにっこりと笑った。
「ルーポ、大丈夫か」
カヤの低く柔らかな声が背後から響いた。
「はい」
ルーポが返事をすると、カヤがルーポの髪にキスをした。
そしてルーポの腕をなでた。
ルーポは甘えるようにカヤに背中を押し付けようとして「あ……」と艶めいた声を上げた。
まだつながっているそこが、ルーポの内側を刺激した。
カヤが名残惜しそうに抜こうとした。
が、ルーポがカヤの腕をつかんで叫ぶように言った。
「抜かないで」
驚いたカヤが動きを止めた。
「でも抜かないと、おまえが苦しいだろう」
ルーポは首を振った。
そしてうなじまで赤くしてぽそりと言った。
「も…一回……抱いて……」
何も言わずにカヤはルーポの首をこちらに捻り、乱暴なキスをした。
むくむくと自分の中のカヤが大きくなるのをルーポは感じた。
カヤは自分だけ起き上がると器用にルーポの身体の向きを変え、抱え上げた。
「ふあああああっ」
対面座位になりルーポの身体を抱きしめた。
ルーポもカヤの首に抱きついた。
今までにないほど身体が密着し、下からずくんと突き上げられた。
「ふかっ」
自重でずぶずぶとカヤをくわえ、沈んでいく。
より深く。
より奥まで。
カヤは激しく突き上げ、ルーポは泣きながら気持ちよさそうに声をこぼした。
時折、どろどろになりそうなキスを交わし、カヤの唇がルーポの首や胸に食らいついた。
最後の大きな突き上げで、ルーポは三回目の熱を下腹に感じた。
自分はカヤの腹でこすられ、先にいっていた。
もう自分で身体を支えられなかった。
ずるりと力をなくしたカヤが自分の中から引き抜かれてもなにも言えず、ベッドに横になった。
鈍い痛みとぽっかりと空いた消失感。
カヤも横に大の字になって落ち着くまで転がった。
カヤの息が整うとベッドから下りて、水差しからグラスにつぐとぐびぐびと飲んだ。
一息つくと水の入ったグラスを持ってルーポに近づいた。
くったりとしたルーポにグラスを差し出すが、動けずにいた。
カヤは口移しで水を飲ませた。
ひとしきりそうしたあと、汚れてしまったベッドの敷布でルーポを包み、その上からあの青い薄衣をかぶせて抱き上げ、そのまま全裸で部屋から出た。
ルーポが連れてこられたのは浴室だった。
中はオイルランプで照らされ、程よい温度の湯が浴槽に溜められていた。
カヤは布の中からルーポを取り出すと抱いて風呂場に入った。
ぐったりしたルーポに湯をかけ、うつ伏せにして尻の穴に指を突っ込んだ。
驚いたがもう動けないルーポはされるがままだった。
カヤは自分が吐き出したものを掻き出した。
とろりとろりと出てくる濃厚な液体を滴らせるルーポは煽情的だった。
指を二本入れ、穴を広げ、もう出てこないことを確認すると、今度は柔らかな布でルーポの身体を洗い、髪も優しく洗った。
自分も手早く身体を洗うと、ルーポを抱いたまま湯船に入った。
カヤは腕の中のルーポの額に口づけをした。
「気持ちいいな」
ルーポはそっとうなずいた。
そっとカヤの胸に頰を寄せる。
しばらくそうして身体が十分に温まり、さっぱりしたところで湯船から上がった。
柔らかい布でルーポの身体を拭き、洗い立ての寝衣を着せた。
自分も寝衣を着るとまた薄衣ですっぽり包み、慎重にルーポを抱き上げた。
そして、カヤの部屋にもどっていった。
ベッドの敷布は新しいものに替わっており、そこにそっとルーポを下ろして、薄衣を取ってやった。
もうルーポは半分以上眠っていた。
カヤはようやくオイルランプの火を落とした。
闇と静寂がまた二人を包む。
そっと掛布をルーポと自分にかけ、最後にちゅっと唇にキスをし、カヤもルーポの横に寝転がった。
あっと言う間にカヤも眠りに落ちていった。
ルーポの手を握り、その感触に満足しながらほくほくする気持ちも抱きしめて。
***
カヤが目覚めたとき、太陽は随分高くなっていた。
昨日のことを思い出すと、にやけてきて仕方なかった。
多少痛む腰をとんとんと叩き、起き上がった。
愛しい薬師の寝顔を覗いてやろうとした。
そこにあるはずのこんもりとした温かい丸みはなかった。
「ルーポ?」
乾いたカヤの声はさらさらと砕けていった。
ただ、冷たい平らな敷布があるだけだった。
***
幕間 https://etocoria.blogspot.com/2018/09/blog-post_98.html
応援ありがとうございます!
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