乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ

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1:アイゼン王国編(チュートリアル)

2:領地

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 王宮から直行で乗せられた長距離用の馬車は間違いなく囚人護送に使われるものだった。家紋はなく、客室部分には鉄格子と鍵がついていた。座席は単なる板きれが打ち付けてあって、クッションのひとつもない。
 ちなみに私物はひとつも積み込まれておらず、わたくしは文字通り着の身着の儘。北へ向かうというのにコートどころかストールの一枚もなしだ。

 たかが小娘ひとり、嫌いだからといってここまでするのか?
 そう訊いてみたいが、父やその妻、ヒロインの顔なんて二度と見たくない。

 わたくしの護衛、というよりも護送任務の騎士は六人いた。
 ひとりは王太子の婚約者であるわたくしに付けられていた近衛騎士ジークムンド卿で、他の五人は名前も知らない。近づいてもこない彼らにわたくしも問わなかったし、騎士たちも名乗ろうともしなかった。
 騎士たる者、囚人に名乗る名はないのだろう。

 護送馬車に詰め込まれた長旅は正直、とんでもなく苦しかった。体もガタガタだし、何より精神的にきつかった。

 逃げるとでも思ったのか、一度も宿場を使わずにひたすら急ぎ、野営ばかり。わたくしは排泄以外は馬車の中に閉じ込められて過ごした。
 完全に犯罪人扱いだ。
 少なくとも、公爵家の長女であり、アインス王国王位継承権第九位に上がる令嬢への敬意はまったくなかった。

 そして一ヶ月を少し過ぎてようやく、わたくしはエンダベルト領領地管理人の家に辿り着いた。石造りの小屋としか表現しようのない建物だが、王領管理人の住居である印に、門扉らしい石柱に小さく王家の紋章が付いていた。

「……ハイデマリー様、本当にここで暮らすのですか?」
「そうよ、二度と領地から出るなと命じられたし」

 石の家の前に立ち尽くしたジークムンド卿は鎮痛な面持ちでわたくしを見下ろしている。ジークムンド卿は騎士の中でも長身に入るくらい体格がいいのだ。身長差で見下ろしてくるだけで、他意はない。

 近衛騎士ジークムンド卿との付き合いはそこそこ長い。といっても私的な会話をしたことはなかった。
 業務連絡とか、体調を気遣う程度の挨拶とか。護衛任務にある騎士が護衛対象者と無駄話はしないから当然だ。

「貴女のようなご令嬢が住むような場所ではありません」
「わたくしもそう思うけれど、王命だもの」

 わたくしは唯一の手荷物である任命状をジークムンド卿に見せた。
 善良な騎士はさらに顔を歪めた。
 かといって、わたくしの扱いが酷いことについて、わたくしがジークムンド卿を励ますのも妙な気がする。

 わたくしはジークムンド卿を放置して、石の家の戸を叩いた。
 大型馬車で乗り付けて、馬も複数。大人数でいるというのに顔も出さないようでは王領管理人として失格だ。

「わたくしはハイデマリー・アデーレ。エンダベルト領主になった者です。早くここを開けなさい」

 声を張って呼びかけたが、返事はない。
 そもそも人の気配がない気がする。
 石柱には確かに王家の印があったし、他に建物はない。王領管理人の家であるのは間違いないはずだ。ということは留守なのだろうか。見渡す限り荒涼としたツンドラには人の影はない。

「ハイデマリー様。ここは私が」
 気を取り直したらしいジークムンド卿がわたくしにかわって扉を叩いた。とても力強い。ボロボロに果てしなく近い木製の扉が壊れそうだ。

「失礼する」
 言葉と同時、ジークムンド卿が扉に体当たりした。ガゴンと大きな音がして、扉の蝶番が外れた。
 ジークムンド卿は淡々と外れた扉を横に避け、家の中に踏み込んだ。
 迷ったが、わたくしもその背に続いた。

 最初に感じたのは埃っぽさと微かな異臭。据えた匂いというか、臭い。

 扉を開けた先はしきり壁の一つもないワンルームだった。灯りはなく、調理にも使うと思われる暖炉と古びたテーブル、椅子がひとつ。窓はなく、奥の壁にベッドがあって、誰かが寝ている程度の膨らみがあるのが見えた。

「まさか……」
 わたくしが思わず後ずさると、ジークムンド卿が振り返り、頷いた。
「外でお待ちください。私が確かめます」
「いいえ、ここで見ています」

 わたくしは戸口に立った。
 ジークムンド卿は迷いなくベッドに近づき、上掛けを捲った。大きな背中が遮っていて、わたくしからベッドの上は見えない。

「……死後、二ヶ月というところでしょうか。寒冷地のせいか腐らず、干からびています。おそらく王領管理人のヨーゼフ殿でしょう」
「そう。どうして死んだか解る?」
「外傷はありません。室内の様子から病みついていたようには見えませんから、急な病ではないでしょうか」

 ジークムンド卿は冷静に言い切った。
 眠っている間に心臓か、脳か。いずれにせよ孤独死だ。

 どうしようかと思う間に、ジークムンド卿が上掛け布で死体を包んでくれた。さすがに乾燥死体は見たくない。
 わたくしは家の外に出た。

 護送任務の騎士たちは帰り支度を整えたようで、小屋の前で馬を並べて待機していた。
「ジークムンド卿。囚人馬車は置いていってくださらない?」
「構いませんが……ハイデマリー様」
 遅れて出てきたジークムンド卿が躊躇いがちにわたくしを見た。通常なら半歩下がった位置が護衛騎士の定位置だが、今は横に並んでいる。

「本当にここに残られるのですか」
「領主ですもの。領地管理人は死んでいたという報告はお願いしていいかしら。書面が必要?」
「報告はこちらで致しますが、ハイデマリー様、その」
「言いたいことがあるならはっきりどうぞ。お仲間はもう出発したいようよ?」

 煮え切らないジークムンド卿を睨み上げ、顎をしゃくって騎士たちを示してやった。日はそろそろ真上だ。今夜も野営としても、ここからは少しでも離れたいのだろう。

「こんな何もない小屋でおひとりで過ごすなど無理です」
「何もなくないわ。干からびた死体付きよ」
「余計に悪い。あんまりだ」
「仕方ないじゃない。王命だし」
 わたくしはもう一度任命状をひらつかせた。

 ジークムンド卿はぐっと歯を食いしばって一礼し、騎士たちの方へ急足で向かった。自分の馬にくくりつけてあった荷物を下ろし、それを馬車へ運び入れている。

「ジーク卿! 早く支度しろよ、発つぞ」
「捨てられた女のことなんか放っておけよ。すぐに野垂れ死ぬ流刑人だぞ」
「ハイデマリー様はこの地の領主だ。流刑ではない」

 からかい口調の騎士に言い返したジークムンド卿はマントを外し、またわたくしのところに戻ってきた。

「……貴女の護衛を務めることができ、私はとても幸せでした。貴女は誰よりも高潔な方だ。どうか、御身お命を大事にお過ごしください」
 ジークムンド卿はわたくしの肩にマントを着せ掛けて、そう言った。

 王太子と婚約した十三歳から五年の付き合いだ。これで別れかと思えば、ぐっとくるものは確かにある。

 わたくしは掛けて貰ったマントを引き寄せ、ジークムンド卿を見上げた。

「あなたは立派な護衛騎士だった。こんなところまで送ってくれたんですもの。感謝しています。……今までありがとう」
 ジークムンド卿の頬がひきつるのが見えた。
 涙を堪えているのかもしれない。

 ジークムンド卿はそれ以上何も言わず、騎士礼を残して馬まで駆け戻って行った。
 それを合図に、騎士の一行は来た道を戻っていった。




 見送って、しばらく。
 冷え切った荒野に残されたのは、死体付きの石の家と囚人護送馬車、それにつけられている馬が二頭。馬車と家の中に何があるか、まず確認するところからはじめなくてはいけない。

 が。
 まずはこれから。

『……ステータス表示:ハイデマリー・アデーレ』

 日本語なのは、念の為。この国の人々には魔法の呪文のように聞こえるはずだ。ヒロイン・ゲルダと同じ発想なのは癪だけど。

 わたくしの目の前に半透明のウィンドウが現れた。
 三つあるタブのうち、アクティブは『基本情報』の部分のみ。『内政』と『技術』は選択できないようになっている。表示はすべて日本語だ。


 『基本情報』
 ◆領 主:ハイデマリー・アデーレ(称号:流刑令嬢)
 ◆本拠地:エンダベルト/石の家
 ◆領 地:エンダベルト
 ◆軍資金: 0
 ◆兵 糧: 0
 ◆兵 力: 0/0
    将軍 0/0 :上級士官 0/0 :下級士官 0/0
    歩兵 0/0 :騎士 0/0 :魔法兵 0/0
 ◆支 援 
    馬 2/2 :馬車 1/1 :治癒師 0/0 :文官 0/0
 ◆生産力
  農業  10
  鉱業  0
  漁業  0
  商業  0
 ◆人口  3


『キタコレドンピシャ! クリーグキングタム!』

 思わず口から出たのは淑女・ハイデマリーとは程遠いスラングだったけれど、日本語だから問題ない。そもそもここには誰もいない。

 表示されたのは乙女ゲームの画面ではない。領地を育て、兵力を養い、戦を仕掛けるストラテジーゲーム『クリーグキングタム』のものだ。

 日本人だった頃の記憶なんてほとんどないわたくしだけれど、ゲームを愛していたことだけは覚えている。一番好きだったのが『クリーグキングタム』、略してクリキンだ。
 魔法もあるハイファンタジー世界・クリーグ大陸で領地を経営し、戦争を仕掛け、自領を増やしていくストラテジーゲームだ。プレイヤーは最初、辺境の小さな村を与えられ、そこから国、ひいては大陸を侵略していくのだ。

 シリーズ累計プレイ時間は5000時間を超えていた自信しかない。もはや拠点に住んでいたといってもいいゲームだ。

 ああ、懐かしいこの画面。
 間違いなくクリキンの、情報溢れかえるインターフェース。ステージ攻略を進め、領地が繁栄していくにつれてタブやコマンドが増えていく。

 第一作『アインス王国編』は後続作のチュートリアルとして採用されていて、機能コマンドしか使えないようになっている。敵の情報収集はできても、寝返り工作はできないとか細々と制限があるのだ。

 それにしても懐かしい。
『ただいま』
と、言いたくなったので声に出してみた。ふふふ。

 それにしても、改めて眺めると酷い初期ステータス。ハードモードなんだろうか。
 本拠地は城でさえない死体付きの石の家。むしろ人口がゼロでないことに驚いた。この数字にはわたくしも入っているのかしら。

 とりあえず、この人たちがどこに暮らしているのかは知りたい。農業数値が10あるということは、どこかに畑か何かがあるのだろうし。
 明日からはこの石の家周辺を探索しよう。

 そこまで考えて、画面の右端に小さなフラッグの点滅に目をやった。お知らせマークだ。
 指先でタップしても画面の感触はないけれど、反応はある。
 ポップしたのは小さなウィンドウ。

 『開始特典:戦略物資(初級)』
 『公開求人:初回無料』

 表示は二行で、お知らせマークが再び灯った。もちろんタップする。

 『戦略物資(初級) 軍資金:10000G 兵糧:100』

 画面に表示されると、基本情報の軍資金欄と兵糧欄にそれぞれ数値が入った。途端、馬車のそばに荷箱が現れた。箱の上には金貨用の皮袋もある。

 開始時ボーナスだ。ありがたい。
 わたくしはにんまり笑んだ。

 もちろん求人もしなくては。
 基本情報のページの上部に浮いたボタンが『公開求人』だ。いわゆるガチャ形式の人材発掘で、導入されたのは最新作からだった。

 わたくしは点滅しているボタンをタップした。
 再びポップした小さなウィンドウに封緘のある封筒が現れた。指でなぞるとペーパーナイフが封を切る。

 キラッと。
 封筒の切り口から虹色の光が溢れ出る演出。
 これは最高レアの人材だ!

 ゲームなら採用口上を述べるキャラクター画面が出てくるはずだけれども、わたくしにとっては現実世界である。どうなるのだろう。
 荷箱のように騎士もふわっと現れるのだろうか。それって実在の人間なのかしら。

 不思議に思っているうちに、基本画面の『兵力』の数値が1になり、騎士と馬も1増えた。たしかに騎士と馬はセットだ。
 人口も1増えて4になった。
 ……が。
 荷箱周辺には変化もない。

 どうしようかと思っていると、騎馬が見えた。
 先ほど騎士たちを見送った方から、猛烈な勢いで一騎だけ戻ってくる。マントのない騎士は間違いなくジークムンド卿だ。

 わたくしはステータス画面の『騎士』をタップした。

 ◆騎士一覧
  001:ジークムンド・ヒルシュ ★★★★★ new
    年齢 28 :性別 男 :気質 清廉潔白 :野心 10 :忠誠 15
    統率 18 :武勇 24 :知略 19 :内政 14 :外政 14

    ヒルシュ伯爵家出身。近衛騎士団に所属していた頃、王太子
    婚約者ハイデマリー・アデーレ・トゥ・シーレンベックの護
    衛を務めていた。ハイデマリーへのあまりに不当な扱いに、
    王家への忠誠心を失った。騎士道の男。


 ジークムンド卿は星5騎士だったらしい。
 わたくしは浮かぶ笑みを堪えずに、騎馬に向かって手を振った。
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