未来の貴方にさよならの花束を

まったりさん

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貴方に、会いたかった

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「……うん?」
 ふと、目が覚めた。
 辺りは真っ暗で、今はまだ深夜なのだということがわかった。
「早起きし過ぎたか」
 グッと背伸びをする。背中からぽきぽきと心地よい骨の音が聞こえた。
「……トイレ行くか」
 少し尿意を覚えたので僕はトイレに行こうと立ち上がろうとして、
「……ん?」
 その時僕はようやく腰になにかが巻き付けられてあることに気づいた。
「これは……手か?」
 巻き付けられているのは誰かの手だった。……つまりである。これは、僕の隣で誰かが寝てて、僕の腰に手を回していたということになる!
「むにゃ……」
 聞き覚えのある声。
「……お前かよ」
 小夜曲だった。
 女の子が隣で寝ているというのに僕の頭は比較的冷静だった……と思いきやそうでもなかった。純情な僕の心はこのシチュエーションに冷静でいられず、心臓はバクバクとなり、背中からは冷や汗が伝い始めていた。
「……どうすればいいんだよ……」
 しばし硬直してしまった。手をどかしたらきっと起きるだろう。こんな気持ちよさそうに寝ているのだ、流石に起こしてやりたくはなかった。
「トイレは我慢するかぁ……」
 結局その結論に至った僕は体を倒し、二度寝をする態勢になる。
 ……まぁもちろんのこと寝れないのだが。
 ふわりと香る女の子特有の匂いが鼻腔をくすぐった。
「…………っ」
「んぅ……すぅ……」
「……僕がこんなにも理性を留めているというのに呑気に寝やがって……!」
 小声で愚痴る。
「つかなんでこいつここにいるんだ……! 女子なんだから女子部屋行っとけよ……ついに男子になったのかお前は……!」
 僕がこうやって喋っても返してくれる言葉は一つもなかった。当たり前である。
「…………」
「ん?」
 さっき、小夜曲が口を動かしてなにか言ってたような……。
「貴方に……会いたかった……」
「……っ」
 今度はしっかりと小夜曲の言葉が聞こえた。
「貴方に会いたかったって……どういう意味だ……」
 尋ねても答えてくれる人もいるわけなく、僕は一人悶々とその言葉の意味を考えたが……、
「わからん……」
 控えめに言って意味がわからなかった。
 結局動くこともままならなかった僕は目を閉じて寝ようとするのだった。
 寝れなかったけどな。
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感想 128

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みんなの感想(128件)

tamo
2025.02.09 tamo

まったりさん小説も良き

解除
おわたごーすと

再更新を楽しみにしております!YouTubeの動画もこの作品もとてもお気に入りです!次回気になる〜。

解除
おわたごーすと

次回楽しみにしています!リメイク版もこの作品もとてもおもしろく、お気に入りです!続きすごく気になります!

解除

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