悪役令嬢の専属メイクさんになったアリスねーさんの話

美浪

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正式雇用されました

ミミちゃんと

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1ヶ月後。

無事、正式に雇用されました。
収入2倍。時間は豊富。

たまにマンションに戻ったりテレビのお仕事も。

他の仕事はなるべく週末に入れる事にしている。

本日は金曜日。情報バラエティーに一瞬顔出し。これでそこそこは貰える。

「アリスねーさんお疲れ様でした。」
「お疲れ様でしたぁ!」
ADさんに御挨拶してテレビ局を出た。

お昼はミミちゃんとランチのお約束。

ミミちゃんとの付き合いは美容学校時代からだから結構長い。
本名は宇佐美君。あだ名はミミちゃん。

「お待たせぇー!今日、休んで大丈夫だったの?」
「大丈夫よぉ。土日は働くしー。」
彼女は美容師さんだ。

「行きたかったお店で良い?」
「勿論よぉー。楽しみ!」
可愛いカフェだった。女子だらけ。
でも、へっちゃら。

「私、Aランチ。」
「じゃあ私も。」
うふふふ。楽しみぃ。

「最近どお?」
2人の時は何時も近況報告から始まる。
「正式雇用が決まったわ。」
私がそう言うと
「やったじゃない!良いわねぇ。私も専属美容師にしてくれないかしら。」
ミミちゃんはフフっと笑う。でも、本気じゃないのは解る。

「もー。ミミちゃんはカリスマ美容師で高級取りでしょ?お店が離さないわよ。」
「はーい。でも、楽したいんだもん。」
うんうん。それは解る。

「ジュリエットやってる?進んだ?」
あっ・・・。乙女ゲーム。
あまりやっていないけれど。やっぱり相談したい。
あの学校の皆が巻き込まれている気がするゲームだし。

「それなんだけど。ミミちゃん、誰にも言わないでくれる?本当に本当に秘密にしてよ。」
オネエの口はしっかりお願いしないと話してしまいやすい。
そこの所は女性的と言うか近所のおばちゃんレベルな所がある。

「絶対、秘密よ。」
「大丈夫よ。アリスがそんなに真剣に言うなんて何かあったの?」
私は頷いた。

「私の雇い主はベイリーさんなの。グレース・ベイリー。」
「は?へ?何、言ってるの?」
不信そうな表情でミミちゃんは苦笑した。

そこからは今までの出会いを説明した。
「豪邸町の大御所見栄子様の家に行ったつもりだったんだけど。」
そこはグレースちゃんの家で。

裁判があったのをメイク技術で乗り越えたとか。
ジュリエットに学校で会ったとか。

ミミちゃんは疑いまくりだけど聞いてくれている。

「あのアリス?それはガチ?」
「嘘は付かないわよ!だから校内を盗撮してる奴がいてそれをゲーム化しているんだと思うのよ!」

ミミちゃんは目を閉じて首を傾げた。
「ガチなら異世界じゃないの?」

聞きなれない言葉だわ。
「異世界?世界が違うって事?」
「そうよ。アニメや小説あるあるだわ。悪役令嬢の元に異世界転移したのよ。」
ミミちゃんの顔は真剣で私も戸惑ってしまった。

「グレースちゃんは良い子よ。悪役令嬢じゃないわ。」
「いや、そこじゃないって。相変わらず天然ねぇ。主人公はジュリエット。ライバルは悪役令嬢。それはお決まりなの。」

う・・・。もしゲームの世界だとしたらグレースちゃんはそうかもだけど。

「私は絶対、ゲーム世界への異世界転移だと思う!私も連れてってみてよ!」
「うん。そこまで言い張るなら。」

ランチの間中、ミミちゃんは異世界転移と言う例を語ってくれた。
私が知らないだけで世間にはそう言うアニメや小説が流行っているらしい。

ランチを済ませてタクシーを拾う。
「豪邸町の豪邸公園まで。」
何時もの様に公園までタクシーで。
車内では何となく会話はなかった。

「豪邸町、相変わらず立派な御屋敷ばかりねぇ。」
「ここから歩くわよ。」
ミミちゃんは了解と頷いた。

何時もの様に歩く。ただ今日は1人では無いけれど。

「この角を曲がるとあるの。」
そう説明してベイリー家へ・・・。

「え・・・無い。嘘。大御所見栄子さん家だ。」
通りの奥にベイリー家は無く大御所さん家が。

あれだけベイリー家へは何度も通ったのに。
大御所さん家は見付からなかったのに。

「本当に?この通りなの?」
「間違いないわよ。」
少し焦る。何故?
まぼろしー???!

他の通りも隈無くチェックした。

「ベイリー家が無い。」
思わず座り込んでしまった。
何で?
どうして?

「1つ言えるのは私が居ては行けないのかもね?」
ミミちゃんはちょっと残念とそう言った。
「本当に本当に異世界なの?」
狐につままれている様な感じだ。
グレースちゃんは生きている。奥様もご主人も。
アンディー君もジュリエットも生きて生活していた。

ベイリー家はあの角を曲がった奥。

初めて行った時から道順は変えて居ないし。

「今日は・・・もう帰りましょ。アリス。立って。」
ミミちゃんが差し出した手を取って立ち上がった。

「私、頭可笑しくなったの?」
そう聞いちゃうくらい混乱している。

「うーん?アリスは嘘付かないもんね。」
可笑しくなってはいないと思うとミミちゃんは言う。

帰りのタクシーの中でも無言だった。
考えが纏まらないしこの1ヶ月は何だったんだろう?

タクシーを降りてミミちゃんが言った。
「どうする?もし、異世界だったら?今は自由に行き来しているけど。戻れなくなる日も来るかもしれない。」

「・・・そんな。」
更に脳内がグルグル。

「何故かは解らないけれどその世界へはアリスしか行けない。将来は解らない。ちゃんと考えないとダメよ。」
ミミちゃんの話がやっと理解出来てきた。

もしも本当に異世界だったら。
「ちょっと。ちゃんと考えてみる。うん。マンションに帰るね。」

「うん。私としてはもう行かない方が良いと思う。危ないわ。」
ミミちゃんは本当に心配してくれている。

でも・・・。私が戻らなかったらグレースちゃんはどうなるんだろう。

マンションで1人。
考えている様な何も考えられない様なそんな気分で気付くと夜になっていた。
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