怠惰な悪役貴族は変わらず怠惰に過ごしたい。死亡フラグを回避する為に【闇魔法】を極めてたら正ヒロインに好意を持たれたのだが。

つくも/九十九弐式

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第26話 リオンの特異な魔法

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「ふっ……どこからでもかかってくるがいい。モブ男」

 俺は指でくいくいとわかりやすく挑発する。

「だからポールだって言っているだろう! このカツアゲ野郎めっ!」

 カツアゲ野郎だと? あ、あれはただの未遂だろうが。言いがかりはよせ。

「食らえ! 僕の獄炎魔法を!」

「な、なにぃ! 獄炎魔法だと!」

 最上級火炎魔法に分類されている獄炎魔法(ヘルフレイム)か。

 こんなモブ男(ポール)がそんな上等な魔法を使えるとは。俺は身構え、一層、警戒を強めた。

「ううっ! うおおおおおおおおおおっ! おおおおおおおおおおおおおおっ!」

 モブ男(ポール)は炎属性の魔法を放つのであった。

「ファイアボール!」

 モブ男(ポール)は火の玉を放ってきた。拳よりは多少は大きいくらいの極めて普通の火の玉(ファイアボール)だ。

 このファイアーボールを獄炎魔法(ヘルフレイム)と言っていたのか。

 笑止千万にも程がある。あまりに粗末な魔法すぎて、苦笑いせざるを得ない。

 ……どうするか。あまりにも遅い魔法攻撃である為、今の俺でなくて、怠惰で自己研鑽を何も積まなかった俺ですら避けれそうなものだが。

 それでは面白くない。俺はわざと食らってみる事にした。

 ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 音が響いた。大きな火柱が立つ。

「や、やったか!?」

 だから、発言がいちいちやられ役のフラグっぽいんだよ、このモブ男(ポール)は。

「ふっ……聞かんな。所詮はモブ男か」

 俺は闇魔法『シャドウウォール』を体の表面にだけ展開する事で、ファイアーボールを無傷(ノーダメージ)でやり過ごした。

「な、なんだと! ぼ、僕の獄炎魔法(ヘルフレイム)を食らって無傷だと!」

 モブ男(ポール)は慌てふためいていた。
 
 何が獄炎魔法(ヘルフレイム)だ。さっき魔法を使う時に『ファイアーボール』と叫んでいただろうが。

「さて、どうやって貴様を葬ってやろうか、モブ男」

「ぼ、僕ここで死ぬの!」

 安心しろ。冗談だ。死ぬ手前で留めておいてやる。

 こいつを葬る(無論そこまではしないが)手段は軽く1000手程思いつくが、どの方法で痛ぶる。

「貴様にとびっきりの恐怖と苦痛を与えてやろう。モブ男。喜べ。本物の地獄というものを見せてやろうのではないか。闇魔法『カオスゾーン』」

「なっ!?」

 モブ男(ポール)の立っている地面に黒い六芒星が突如地面に輝き、半透明の黒いフィルターのようなもので半径5メートル程の空間が覆われた。

「「「「オワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」」」

 地獄の底から聞こえてくるような無数の呻き声が響き渡る。

「ひ、ひぃっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 モブ男(ポール)は死の恐怖を感じ、絶叫するのであった。闇魔法『カオスゾーン』には地面から魑魅魍魎の妖怪のような化け物(モンスター)達が続々と姿を現す。

「そいつ等は地獄に生息している化け物(モンスター)達だ」

 俺の命令に絶対服従する化け物達。ゾンビやスケルトン、グール。スライムのような形のないような化け物。様々な化け物が空間内に所狭しと現れるのであった。

「心配するな。死なないようには厳命しておく。地獄より現れし死なない程度に加減して痛ぶれ。いいな。わかったな。わかったらさっさと襲い掛かれ」

「「「「オワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」」」

 地獄の雄叫びのような声を上げつつ、魑魅魍魎がモブ男(ポール)に襲い掛かる。

「ぎ、ぎあああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 ポールの悲鳴がその場に響いた。

「ふっ。終わったな」

 俺は踵を返した。

「あ、あいつとペアじゃなくて良かった」

「お、俺もそう思うわ」

 他の男子生徒達の囁き声が聞こえてきた。

 指を鳴らす。

 可哀想なので俺は『カオスゾーン』を消失(キャンセル)させる。魑魅魍魎達も消失していく。

 そして、泡を吹いて失神しているモブ男(ポール)の姿があった。命には別状はないであろう。

「はい! それでは実践訓練を終わります!」

 そう、エスティアは宣言し、その日の授業を終えたのであった。






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