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三人の冒険者
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集団心理というものがある。例えば、信号機があるとする。普段は赤信号であれば自分一人であれば止まるであろう。しかし、他の歩行者皆が歩き出したらどうなるか。自分も皆に流され、渡る事もあるであろう。
今回はそんな話である。
俺はいつも通り、ソロだった。そして冒険者パーティーへの参加を希望してひたすらに待っていた。
そのうちに三人の男女が冒険者ギルドに入ってきた。
男一人に、女二人の組み合わせだ。男は典型的な戦士タイプで、女二人は後衛タイプだろう。そんな気がした。男の等級は金(ゴールド)である。それなりの実力者である事がわかる。ちなみに等級に関してはそれとわかるようにエンブレムが与えられている。それを身につけるのも規則となっていた。男の後ろについている魔術師風の少女二人も銀(シルバー)ランクだと思われる。故にそれなりの実力者なのだろう。実力派のパーティーであると言えた。
「受付嬢さんよ。火力出る奴余ってねぇ?」
「え、ええ。いる事はいますが、どうしてでしょうか?」
「いやなに。ちょっと高レベのモンスターで、中々HP削りきれねぇから、俺以外にも火力出る奴欲しいって思ってよ」
「ちなみにどんなモンスターでしょうか?」
「エメラルド鉱山にいるエメラルドドラゴンって言ってよ。これが高HPな上に高防御力でよ。かといって魔法防御力も高くて。もう高火力で押し切るしかないってわけよ。だから攻撃役が俺以外にも必要でよ。もう一人欲しいってわけよ」
「幸いな事にあちらの方が空いてますので、声をかけて見たらいかがでしょうか?」
「なに?」
連中は俺を見やる。
「てめぇは……狂戦士(ベルセルク)か」
「知ってるの?」
後ろの女が聞く。
「ああ。噂にはな。あまり良い噂じゃねぇ。何でも新人潰しとか。あいつとパーティーを組んだ冒険者が続々と引退しているとか」
男は言う。
「けど、冒険に危険はつきものだから、そういう人がいるのはよくある事じゃないの?」
少女は言う。
「ま、まあな。背に腹はかえれねぇか」
男は言う。
「俺の名はカーネル。カーネル・デルフォート」
そう、男は名乗った。
「ノヴァだ。性はない」
男はクルセイダーの職業(ジョブ)についていると思われた。俺と同じ戦士系のジョブであるが、ジョブには基本的に聖属性と闇属性のジョブがあると思って良い。暗殺者や盗賊などはどちらかと言うと当然闇属性であり、神官(プリースト)だとか聖騎士(パラディン)
である。当然のように狂戦士(ベルセルク)は闇属性の職業だ。
聖か闇かの対極的な違いはあるが、男の職業クルセイダーは職業的には戦士系統という事もあり似通っている。その大きな違いは片手に盾を持っている事である。攻撃力だけでなく、守備力にも秀でた、盾役も攻撃役も出来る便利な前衛(アタッカー)である。
俺は両手持ちの斬馬刀を装備している為、当然のように盾は持てない。勿論デメリットはある。攻撃力が落ちる事だ。両手剣を装備できなくなるから当然だ。
「そうか。ノヴァ。俺達のパーティーに入ってくれ」
「良いのか。後ろに女二人がいるだろう。危害が及ぶとは考えないのか?」
「何かあっても俺が守るから関係ない。それに後ろの二人もそれぞれかなりの使い手だ。だからお前が何かしようとしても返り討ちよ」
「そうか。なら安心だな」
俺は言う。
「見ての通り俺は人気がない。入れてくれるなら大歓迎だ」
俺は立ち上がる。
「一応紹介しておく。リズとシズだ。俺の妹達で、双子の姉妹だ」
「初めまして」
「リズとシズです」
「私がリズで」
「私がシズです」
二人は性格がいいのだろう。俺のような陰気な男相手にも明るく挨拶した。黒いヘルムをしているので余計に陰気に見えるかもしれないが。
「初めまして。ノヴァと言います」
リズとシズは双子という事で似通っていた。金髪の長い髪に白い肌をしていた。年齢は二人とも10代の半ばと言ったところか。先日一緒に冒険をしたフレイと同じくらいの年齢である気がした。
ただ就いている職業は異なっているようだった。リズが魔術師(ウィザード)についているのに対して、シズが神官(プリースト)についている。前者のジョブが攻撃魔法を使うのに対して、シズが防御魔法を主に使う点異なっていた。
二人とも少女のような見た目ではあったが、胸元はそれなりに膨らんでいた。十分男の本能を煽るに値するものだった。服の下がどうなっているか、考えるだけでもモノが反り立つ事だろう。
無論、俺も面だってそんな素振りは見えない。
リズとシズは二人が姉妹であるという事、そして頼れる長兄がいる事で安心しているのだろう。俺に対する警戒心というものが見当たらなかった。
「よし。自己紹介も終わったし。早速クエストを受注するか。何か準備する事があるか?」
カーネルが言う。
「別にない。今までの待機時間で準備は終わっている」
「そうか。なら早速行こうか」
俺達はクエストを受注し、エメラルド鉱山という鉱山に向かった。その鉱山には基調なレアメタルが埋まっているが、凶悪なモンスターも多い。さらにはエメラルドドラゴンという、竜(ドラゴン)種のモンスターが生息しているらしく、鉱山の採掘がはかどっていないらしい。その為、多額の懸賞金を出してでも国が冒険者に討伐を依頼しているようだ。
この冒険者達はさっき聞いた限りではその一番の大物であるエメラルドドラゴンを狙っているらしいが。果たしてこの顛末がどうなるかは俺にも予想できなかった。
まあ、三人によって良い結果にはならないだろう。恐らく。
今回はそんな話である。
俺はいつも通り、ソロだった。そして冒険者パーティーへの参加を希望してひたすらに待っていた。
そのうちに三人の男女が冒険者ギルドに入ってきた。
男一人に、女二人の組み合わせだ。男は典型的な戦士タイプで、女二人は後衛タイプだろう。そんな気がした。男の等級は金(ゴールド)である。それなりの実力者である事がわかる。ちなみに等級に関してはそれとわかるようにエンブレムが与えられている。それを身につけるのも規則となっていた。男の後ろについている魔術師風の少女二人も銀(シルバー)ランクだと思われる。故にそれなりの実力者なのだろう。実力派のパーティーであると言えた。
「受付嬢さんよ。火力出る奴余ってねぇ?」
「え、ええ。いる事はいますが、どうしてでしょうか?」
「いやなに。ちょっと高レベのモンスターで、中々HP削りきれねぇから、俺以外にも火力出る奴欲しいって思ってよ」
「ちなみにどんなモンスターでしょうか?」
「エメラルド鉱山にいるエメラルドドラゴンって言ってよ。これが高HPな上に高防御力でよ。かといって魔法防御力も高くて。もう高火力で押し切るしかないってわけよ。だから攻撃役が俺以外にも必要でよ。もう一人欲しいってわけよ」
「幸いな事にあちらの方が空いてますので、声をかけて見たらいかがでしょうか?」
「なに?」
連中は俺を見やる。
「てめぇは……狂戦士(ベルセルク)か」
「知ってるの?」
後ろの女が聞く。
「ああ。噂にはな。あまり良い噂じゃねぇ。何でも新人潰しとか。あいつとパーティーを組んだ冒険者が続々と引退しているとか」
男は言う。
「けど、冒険に危険はつきものだから、そういう人がいるのはよくある事じゃないの?」
少女は言う。
「ま、まあな。背に腹はかえれねぇか」
男は言う。
「俺の名はカーネル。カーネル・デルフォート」
そう、男は名乗った。
「ノヴァだ。性はない」
男はクルセイダーの職業(ジョブ)についていると思われた。俺と同じ戦士系のジョブであるが、ジョブには基本的に聖属性と闇属性のジョブがあると思って良い。暗殺者や盗賊などはどちらかと言うと当然闇属性であり、神官(プリースト)だとか聖騎士(パラディン)
である。当然のように狂戦士(ベルセルク)は闇属性の職業だ。
聖か闇かの対極的な違いはあるが、男の職業クルセイダーは職業的には戦士系統という事もあり似通っている。その大きな違いは片手に盾を持っている事である。攻撃力だけでなく、守備力にも秀でた、盾役も攻撃役も出来る便利な前衛(アタッカー)である。
俺は両手持ちの斬馬刀を装備している為、当然のように盾は持てない。勿論デメリットはある。攻撃力が落ちる事だ。両手剣を装備できなくなるから当然だ。
「そうか。ノヴァ。俺達のパーティーに入ってくれ」
「良いのか。後ろに女二人がいるだろう。危害が及ぶとは考えないのか?」
「何かあっても俺が守るから関係ない。それに後ろの二人もそれぞれかなりの使い手だ。だからお前が何かしようとしても返り討ちよ」
「そうか。なら安心だな」
俺は言う。
「見ての通り俺は人気がない。入れてくれるなら大歓迎だ」
俺は立ち上がる。
「一応紹介しておく。リズとシズだ。俺の妹達で、双子の姉妹だ」
「初めまして」
「リズとシズです」
「私がリズで」
「私がシズです」
二人は性格がいいのだろう。俺のような陰気な男相手にも明るく挨拶した。黒いヘルムをしているので余計に陰気に見えるかもしれないが。
「初めまして。ノヴァと言います」
リズとシズは双子という事で似通っていた。金髪の長い髪に白い肌をしていた。年齢は二人とも10代の半ばと言ったところか。先日一緒に冒険をしたフレイと同じくらいの年齢である気がした。
ただ就いている職業は異なっているようだった。リズが魔術師(ウィザード)についているのに対して、シズが神官(プリースト)についている。前者のジョブが攻撃魔法を使うのに対して、シズが防御魔法を主に使う点異なっていた。
二人とも少女のような見た目ではあったが、胸元はそれなりに膨らんでいた。十分男の本能を煽るに値するものだった。服の下がどうなっているか、考えるだけでもモノが反り立つ事だろう。
無論、俺も面だってそんな素振りは見えない。
リズとシズは二人が姉妹であるという事、そして頼れる長兄がいる事で安心しているのだろう。俺に対する警戒心というものが見当たらなかった。
「よし。自己紹介も終わったし。早速クエストを受注するか。何か準備する事があるか?」
カーネルが言う。
「別にない。今までの待機時間で準備は終わっている」
「そうか。なら早速行こうか」
俺達はクエストを受注し、エメラルド鉱山という鉱山に向かった。その鉱山には基調なレアメタルが埋まっているが、凶悪なモンスターも多い。さらにはエメラルドドラゴンという、竜(ドラゴン)種のモンスターが生息しているらしく、鉱山の採掘がはかどっていないらしい。その為、多額の懸賞金を出してでも国が冒険者に討伐を依頼しているようだ。
この冒険者達はさっき聞いた限りではその一番の大物であるエメラルドドラゴンを狙っているらしいが。果たしてこの顛末がどうなるかは俺にも予想できなかった。
まあ、三人によって良い結果にはならないだろう。恐らく。
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