聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!

つくも/九十九弐式

文字の大きさ
20 / 61

望んでいない結婚相手との一騎打ち

しおりを挟む
「てやあああああああああああああああああ!」
「ゴブ! ゴブーーーーーーーーーーーーー!」

 リーネは剣でゴブリンを攻撃した。ゴブリンは即死した。

「やりました!」
「……皆さん、お疲れ様でした。んっ?」

 平野でゴブリン討伐をしていた時の事だった。
 何やら遠方から馬車が近づいてきている。一人の少年が降りてきた。美少年だ。執事のような恰好をしている。

「お嬢様。お迎えにあがりました」
「誰ですか?」
「シオン……」
「え? イシスさんのお知り合いですか?」
「冒険者になるなどというお戯れはおよしください。あなたは魔道の名門の家系。家督を継ぐという使命があるのですよ」
「うるさい。シオン。私の勝手」
「お戻りください。父上であるベルク様からの命令です。もうすぐ婚約者との顔合わせが行われます」
「婚約者? イシスさん、結婚するんですか! 先生!」
「なんですか!?」
「イシスさんに負けじと私達も結婚するしかありません!」
「時々あなたの頭の中を覗き込んでみたい気分になりますよ」

 エルクはため息を吐いた。 

「褒められちゃいました」
「褒めてないと思う」

 リーシアは突っ込んだ。
 
「結婚なんて、私したいと思ってない!」
「ですがお嬢様。イプシウス家にとって家督を継がれているお父様の命令は絶対です。従って貰わねば困ります」
「そんな事知らない!」
「あ相手の家系も魔道の名門でございます! 顔合わせせずに袖にされれば家問に泥を塗られる事となります! お父様とお母様も大変な迷惑を被る事となるんですよ」
「……でも」

 イシスはちらりと仲間を見やる。どうすればいいのか悩んでいるようだ。自分が抜ければクエストの消化は手間取る事となる。
「いいでしょう。私達も一緒に行きましょう」
「え? でも先生、いいんですか?」
「仲間が困っているのです。それくらい構いませよ」
「ありがとうございます」

 あまり笑わないイシスは笑みを浮かべた。

「シオン、この方達も連れていきますが、構いませんね」
「え、ええ。構わないと思います。お父様もイシス様だけを連れてこいとはおっしゃってはいませんでしたから」

 こうして四人はイプシウス家まで同行する事となる。

 イシスの実家に着いた。豪華な屋敷だった。使用人がいるのだから当然ともいえた。その大広間に男性がいた。イシスの父親であろう。厳格そうな父親だった。

「久しいな、イシスよ。冒険者としての活動、父として心配ではあったが、お前の見聞を広めるという観点において決して無駄ではなかったと思うぞ」
「ありがとうございます。これもお父様のおかげです」
「そちらの方々は?」
「冒険者としての仲間です」
「おお。イシスの仲間ですか。これは娘がお世話になっております。今までお世話になりました」
「お世話になりました?」
「ええ。娘は魔道の名門の家系です。良い嫁ぎ先に嫁いで貰わねばなりません。ですので冒険者をこれ以上は続けられないのです」
「お父様! 私まだ結婚するつもりない! 魔導士として魔法を探究したいの!」
「それは男のやるべき勤めだ! 女のお前は嫁いでいればよい!」
「くっ……お父様に何を言っても無駄ね」
「もうすぐお前の婚約者が来る。もっとちゃんとした格好をしてこい。それから顔合わせをする事となる。客室なら沢山空いている。シオン、お客様を案内しろ」
「了解しました」

 シオンに案内をされる。

 それから顔合わせの為にイシスはドレスに着替えさせられた。青色の綺麗なドレス。エルク達は窓からその様子を覗き見ていた。

「覗き見はあまり趣味がいいとはいえません」
「でも先生! 気になるじゃないですか」
「まあ、否定はできませんが」

「こちらはお相手の婚約者。魔道の名家ハウゼル家のご子息。ヴァン・ハウゼル様です」

 対面の席に座っているのは金髪をしたイケメン風の男だ。ただ明らかにナルシストっぽい。

「はじめまして。ヴァンです。なんとお美しい! 魔道の名家の嫡男にしてハンサム! そして魔法の天才である僕に実に相応しい! これ以上ないという相手だ。あなたのような美しく、そして優秀な女性を妻として娶る事ができ、僕は大変幸運に思いますよ」
「…………」

 イシスは押し黙っていた。

「……どうしたのですか? イシス嬢。いえ! 僕の未来の花嫁よ! どこか体調が悪いのですか? ははん、僕の魅力の凄まじさに気恥ずかしくなったのですね。無理もありません! だって僕は超絶ハンサムなのですから! はっはっはっはっは!」
「私! あなたと結婚はしません!」
「ふぁい? ……なぜですか。僕のようにハンサムにして魔法の天才はこの世に一人として存在しないのですよ? この僕を除いては!」
「な! 何を言っているのだ! イシス!」

 父である――ベルクは慌てた。予期せぬ娘の行動に面を食らう。

「私、実はもう他に婚約している人がいるんです」
「こ、婚約? この僕以外とですか? オーノー! この僕よりハンサムで優秀な魔法の天才などこの世にいないというのに! 一体なぜそんな愚行を!」
「愚行ではありません。その方はあなたよりも優秀で素敵な方なんです!」
「ほう。誰ですか、それは」
「今日、一緒に連れてきた男性、エルクさんです」

「な、なにを言ってるんですか! せ、先生は私と結婚するのに! いつイシスさんと結婚する事になったんですか!」
「落ち着きなさい」
「んっ!ぐうっ!」

 エルクはリーネの口を塞ぐ。

「ほう? 僕より優秀ですと? いいでしょう! この僕よりも優秀な相手だというなら、大人しく身を引きましょうぞ! ですが僕が勝ったのなら、大人しく僕の妻になる事を約束しなさい。いいですね?」
「いいでしょう。その条件、お飲みします」

 イシスは答えた。


「ごめんなさい。先生。嘘をついてしまって」
「ええ。いいです。あの場はああいうしかなかったのでしょう。そうしなければあなたは不本意な結婚をしなければならなくなった。その為の方便だという事は理解しております」
「君が僕の婚約者を寝取ろうとしている不届き者か」

 ヴァンが姿を現す。

「ええ。そうです」
「身の程を知るが良い。僕よりも優秀な男が存在しない事をその身に刻みこんでやる」
「私も井の中の蛙だと思っていましたが、世の中には上には上がいるようですね」
「なんだと! この魔道の天才にしてハンサム! ヴァン・ハウゼルに対してなんだその口の利き方は!」
「もう少し広い場所に移動しましょうか。屋敷を壊して迷惑をかけそうです」
「そうだな。そうしよう」
 
 二人は移動をしていく、だだ広い平原に。こうしてイシスをかけた、もっともエルクはそうではないが、闘いが繰り広げられようとしていた。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...