32 / 61
エルフの国に歓迎されめちゃくちゃ感謝される
しおりを挟む「もうすぐエルフの国です」
エルフの国の入り口には二人の門番がいた。
「止まれ!」
門番をしている二人のエルフは槍を構えた。
「っと。エレノアか。後ろの四人は人間のようだな」
「この人達は神狼(フェンリル)から私の身を守ってくれた恩人なの。エルフの国に入らせてもいいかしら?」
「待て。俺達の一存では決めようもない事だ。上にかけあってみる」
「助かるわ」
しばらくして滞りなく許可が下りたようだ。
「中に入れ」
「行きましょう。歓迎します。私達、エルフの国に」
「うわっ。綺麗です」
森と人々の生活が融合した姿がそこにはあった。森の中に街がある感じだった。空気が清んでいる。そこには文明の匂いはしないかもしれないが、それでも古き良き暮らしがあった。 恐らくは2000年前から暮らしぶりは然程変わっていないだろう。だが変わらないという事は必ずしも悪い事ではないのかもしれない。文明が人の生活を便利にする事もあれば、逆に不便にしてしまう事もある。エルフの人々はその事を知っているようであった。
時が止まっているかのような感覚を受けた。この国は2000年前そのままの姿を保っているのだろう。
「国王陛下に呼ばれています。このままエルフの城まで参りましょう」
四人はエルフの城へと向かう。
「よくぞいらっしゃいました。旅の方々。私はエルフの国の国王。名をシンと申します」
エルフの王城。謁見の間に通される。エルフの国王は名乗った。威厳のある初老の男性だ。 人間の感覚からすればとても信じられない事ではあるが彼は2000年以上前から生きているらしい。見た目からはとてもそうは見えない。エルフは長命であり、そして年を取るスピードが極端に緩やかだ。それ故見た目もあまり変わる事はない。
「お話は聞いております。我々の仲間であるエレノアの命を救っていただいたとか。何でも神狼(フェンリル)を一撃で失神させたそうで、そこの錬金術師の方、名を何とおっしゃいますか?」
「エルクと申します」
「エルク殿ですか。神狼(フェンリル)を一撃で仕留める錬金術師など長く生きてきた中でも聞いた事がありませぬ」
「いえ。たまたまの事です」
「そう謙遜なさるな。たまたまで神狼(フェンリル)を仕留められれば苦労しますまい。誠に凄いお方だ。こちらは娘のシスティアです」
隣には金髪の少女がいた。エルフではあるが見とれる程美しい、絶世の美姫だ。彼女は誰でも絆されてしまうような穏やかな笑みを浮かべる。
「王女のシスティアと申します。『黄金の原石』の皆様、エルフの国へようこそ。歓迎いたしますわ」
「妻には先立たれてね……今は娘と二人で暮らしているのだよ」
人間であるならばせいぜい10代の半ば程度にしか見えない見た目をシスティアはしていた。女性に年齢を聞くのはマナー違反故にエルクはそのような愚を犯さないが、推察すると彼女もまた2000年近い時を過ごしてきたのだ。エルフにとっては年を取るという感覚はないのだろう。時は過ごすものでしかない。終わりのない永遠に近い時間をただ悠然と生きる。それだけの事だ。
「私達に出来る事はそう多くはない。せいぜいゆっくりしていってください。寝床や食事の提供くらいはできる」
「国王陛下。ひとつお願いがあります」
「お願い? それは何ですか?」
「この国を抜け、北へと進む許可を頂きたいのです」
「ほう……それまたなぜ?」
「手に入れた魔道書に書かれていたのです。この国を抜けた先、北の搭に強きに到る手がかりがある事を」
「強くなる? エルク殿はもう十分にお強いではありませぬか。それ以上強さを手に入れて何をするのです」
「私ではありません。この娘達です。この娘達に今以上の強さを手に入れて貰わねばなりません」
「ほう……それはなぜですか?」
「先日、魔人と交戦しました。人間の国での事です。何とか私が退けましたが、それでもこの娘達は言葉を選ばずに言えば手も足も出なかったのです」
「ほう。魔人と交戦したのですか」
「ええ。魔王の復活により魔人は目覚めたそうです。そして魔人は言っておりました。仲間が四人いると。そして同じ程度には強いと。魔王には四天王と呼ばれる側近がいたそうです。彼らの強さは規格外です。ですので彼女達にも規格外の強さを身につけて貰うより他にないのです」
「ほう……そのような理由が。いいでしょう。この国を抜ける許可を下ろしましょう」
「ありがたき幸せ」
「ですが今晩はもう遅いです。一晩泊まっていってください。大浴場もありますので、是非入って旅の疲れを癒やしてください」
「お邪魔している身で何とも申し訳ありません」
「いえいえ。仲間の命を救って頂いた恩人には報いなければなりませぬ」
こうしてエルク達はエルフの城で一晩過ごす事になった。
17
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる