15 / 43
第15話 リッチとの闘い
しおりを挟む
俺達は大墳墓の中に入った。そこはまるでピラミッドのような、巨大な建造物になっていたのである。
「ますます、不気味な雰囲気になってきましたね」
エステルは表情を強張らせる。
「あ、ああ……その通りだな。そういえば、エステル。お願いがあるんだが……」
「な、なんでしょう、カゲト様」
「俺には相手のステータスを読み取れるスキル『解析(アナライズ)』があるんだ。仲間の事を、俺はもっと知らなきゃいけないと思うんだ。だからもし問題なかったら、『解析(アナライズ)』で君のステータスを見せてはくれないか?」
「え、ええ……勿論構いませんが」
「ありがとう、エステル」
俺は早速、『解析(アナライズ)』のスキルでエステルのステータス及びスキルの類を分析する。
============================
エステル・リンドブルグ 16歳 女 レベル:30
職業:『剣聖』
HP:300
MP:250
SP:300
攻撃力:300
防御力:300
素早さ:300
魔法力:250
魔法耐性:250
運:300
装備:ミスリルの剣 ※攻撃力+50 ミスリルの鎧※防御力+50
スキル:『攻撃力上昇大』『守備力上昇大』『素早さ上昇大』『精神状態異常無効化中』(上位レベルの状態異常は無効化できないが、それ以下は凡そ無効化)『剣の頂きへと至れし者』※ありとあらゆる剣技を理論上は極める事ができる。全剣技習得可能スキル。『聖剣装備可能』※聖剣などの特殊装備を装備できる。ただし暗黒属性の剣は装備できない。『闘気』※HP30以下で自動発動。全ステータスが向上する。
技スキル:聖光覇斬剣【敵全体に聖属性の大ダメージ】※使用SP50以下の技同様 紅蓮覇王剣【敵全体に炎属性の大ダメージ】水玉覇王剣【敵全体に水属性の大ダメージ】風王覇斬剣【敵全体に風属性の大ダメージ】雷神覇斬剣【敵全体に雷属性の大ダメージ】
======================================
さ、流石は『剣聖』という称号を得ている事もあって、申し分のないレベルと装備。それからスキルを持っていた。近接戦闘や肉弾戦においては問題なく、闘う事ができそうだ。だが、タイプ的に前衛職業に分類される彼女は魔法戦闘を得意としない上に、魔法に対する適正が高くない。
近接戦闘及び肉弾戦においては隙がない彼女でも、魔法や魔法戦闘に弱点があると言えた。
だが、LVもステータスも高い彼女は十二分に戦力になりうると言えた。少なくとも現段階では俺の方が圧倒的にLVも低い為、下手をすると俺の方が彼女の足を引っ張りかねない。
「いかがでしたでしょうか? カゲト様」
「あ、ああ……流石、剣聖と言われるだけの事はあるな。頼もしい限りだよ」
「カゲト様のお力になれそうで良かったです」
エステルはそう言って、微笑んだ。俺こそ、エステルの足を引っ張らないように、気を引き締めていかなければならないと心に誓った。
俺達は大墳墓内の探索を進める。
――その時の事であった。
高台に、不気味なオーラが集中していくのを感じた。暗黒のオーラの中から、一体のアンデッドが姿を現したのだ。
黒いローブを羽織った、不気味なアンデッド。解析(アナライズ)など使わなくても、瞬時に察する事ができる。今まで闘ってきたゾンビやスケルトンとは比べ物にならないような、格の違うハイレベルなアンデッドであるという事は、見た瞬間に理解する事ができた。
それほどまでにそのアンデッドは不吉な闇のオーラを放っていたのである。
間違いない。あれがリッチだ。
「貴様達、何用だ……なぜ、我が根城に足を踏み入れた。墓荒らしか? 墓荒らしの代償は高くつくぞ。何せ、代価は貴様達の命なのだからな。クックック」
リッチは笑みを浮かべる。
「お前がリッチか?」
「左様だ。私がリッチだ。この大墳墓の主である。貴様達はあれか、金の為に何でもやると言う、愚かな人間達の集まり——冒険者とかいう奴か? この前もその冒険者達が墓荒らしにやってきたが、命カラガラ逃げ出していったぞ。クックック」
間違いない。あの時、酒場であった冒険者の連中だ。リッチと闘ったが、尻尾をまいて逃げ出してきたみたいな事をあいつ等は言っていたな。
「俺達は冒険者ではないが……同じようなものだ。俺達は単に自分達の私利私欲を満たす為に、お前を倒しに来たんだからな」
俺は剣を構える。リッチを倒す事で得られる経験値。そして金(ゴールド)。もしかしたら得られるかもしれないレアアイテム。俺達が……少なくとも俺が欲している物はそういった類のものだ。冒険者と大差ない。私利私欲の為に命をかける。そういう愚かな連中と同じ程度の存在だった。
「愚かな人間達よ。その罪、命を持って償うがよい」
リッチの力により、その場には幾体ものゾンビとスケルトンが出現する。
「「「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」」
『『『カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ』』』
「行くぞ、エステル」
「は、はい! カゲト様!」
こうして、俺達と大墳墓の主——リッチとの闘いが始まったのであった。
「ますます、不気味な雰囲気になってきましたね」
エステルは表情を強張らせる。
「あ、ああ……その通りだな。そういえば、エステル。お願いがあるんだが……」
「な、なんでしょう、カゲト様」
「俺には相手のステータスを読み取れるスキル『解析(アナライズ)』があるんだ。仲間の事を、俺はもっと知らなきゃいけないと思うんだ。だからもし問題なかったら、『解析(アナライズ)』で君のステータスを見せてはくれないか?」
「え、ええ……勿論構いませんが」
「ありがとう、エステル」
俺は早速、『解析(アナライズ)』のスキルでエステルのステータス及びスキルの類を分析する。
============================
エステル・リンドブルグ 16歳 女 レベル:30
職業:『剣聖』
HP:300
MP:250
SP:300
攻撃力:300
防御力:300
素早さ:300
魔法力:250
魔法耐性:250
運:300
装備:ミスリルの剣 ※攻撃力+50 ミスリルの鎧※防御力+50
スキル:『攻撃力上昇大』『守備力上昇大』『素早さ上昇大』『精神状態異常無効化中』(上位レベルの状態異常は無効化できないが、それ以下は凡そ無効化)『剣の頂きへと至れし者』※ありとあらゆる剣技を理論上は極める事ができる。全剣技習得可能スキル。『聖剣装備可能』※聖剣などの特殊装備を装備できる。ただし暗黒属性の剣は装備できない。『闘気』※HP30以下で自動発動。全ステータスが向上する。
技スキル:聖光覇斬剣【敵全体に聖属性の大ダメージ】※使用SP50以下の技同様 紅蓮覇王剣【敵全体に炎属性の大ダメージ】水玉覇王剣【敵全体に水属性の大ダメージ】風王覇斬剣【敵全体に風属性の大ダメージ】雷神覇斬剣【敵全体に雷属性の大ダメージ】
======================================
さ、流石は『剣聖』という称号を得ている事もあって、申し分のないレベルと装備。それからスキルを持っていた。近接戦闘や肉弾戦においては問題なく、闘う事ができそうだ。だが、タイプ的に前衛職業に分類される彼女は魔法戦闘を得意としない上に、魔法に対する適正が高くない。
近接戦闘及び肉弾戦においては隙がない彼女でも、魔法や魔法戦闘に弱点があると言えた。
だが、LVもステータスも高い彼女は十二分に戦力になりうると言えた。少なくとも現段階では俺の方が圧倒的にLVも低い為、下手をすると俺の方が彼女の足を引っ張りかねない。
「いかがでしたでしょうか? カゲト様」
「あ、ああ……流石、剣聖と言われるだけの事はあるな。頼もしい限りだよ」
「カゲト様のお力になれそうで良かったです」
エステルはそう言って、微笑んだ。俺こそ、エステルの足を引っ張らないように、気を引き締めていかなければならないと心に誓った。
俺達は大墳墓内の探索を進める。
――その時の事であった。
高台に、不気味なオーラが集中していくのを感じた。暗黒のオーラの中から、一体のアンデッドが姿を現したのだ。
黒いローブを羽織った、不気味なアンデッド。解析(アナライズ)など使わなくても、瞬時に察する事ができる。今まで闘ってきたゾンビやスケルトンとは比べ物にならないような、格の違うハイレベルなアンデッドであるという事は、見た瞬間に理解する事ができた。
それほどまでにそのアンデッドは不吉な闇のオーラを放っていたのである。
間違いない。あれがリッチだ。
「貴様達、何用だ……なぜ、我が根城に足を踏み入れた。墓荒らしか? 墓荒らしの代償は高くつくぞ。何せ、代価は貴様達の命なのだからな。クックック」
リッチは笑みを浮かべる。
「お前がリッチか?」
「左様だ。私がリッチだ。この大墳墓の主である。貴様達はあれか、金の為に何でもやると言う、愚かな人間達の集まり——冒険者とかいう奴か? この前もその冒険者達が墓荒らしにやってきたが、命カラガラ逃げ出していったぞ。クックック」
間違いない。あの時、酒場であった冒険者の連中だ。リッチと闘ったが、尻尾をまいて逃げ出してきたみたいな事をあいつ等は言っていたな。
「俺達は冒険者ではないが……同じようなものだ。俺達は単に自分達の私利私欲を満たす為に、お前を倒しに来たんだからな」
俺は剣を構える。リッチを倒す事で得られる経験値。そして金(ゴールド)。もしかしたら得られるかもしれないレアアイテム。俺達が……少なくとも俺が欲している物はそういった類のものだ。冒険者と大差ない。私利私欲の為に命をかける。そういう愚かな連中と同じ程度の存在だった。
「愚かな人間達よ。その罪、命を持って償うがよい」
リッチの力により、その場には幾体ものゾンビとスケルトンが出現する。
「「「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」」
『『『カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ』』』
「行くぞ、エステル」
「は、はい! カゲト様!」
こうして、俺達と大墳墓の主——リッチとの闘いが始まったのであった。
42
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる