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第9話 鉱山へ向かう

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「よし……」

 準備をして、俺達は鉱山へ向かった。相当な距離はあるが致し方ない。この北の辺境に建てる建物が木製では些か心もとないのは実証済みである。

「行こうか」

「はい……行きましょうか」

 俺達は鉱山へと向かい、歩き始めた。

 ◇

「はぁ……はぁ……はぁ」

「大丈夫か? リノア」

「だ、大丈夫です……」

 相当な傾斜を登り続けなければいけない為、短時間で体力を消費する。登山というのはただ歩き、上り下りするだけのものではあるが相当に過酷な運動(スポーツ)である。

「無理するな……少し休もう」
 
 リノアは目に見えて疲労していた。無理はできない。先は長いのだ。これから鉱山までたどり着き、採掘作業をしなければならない。今バテられて動けなくなっては話にならない。

「ほら……水だ」

 俺は泉から入手した飲み水をリノアに渡す。

「ありがとううございます……ぐぴぐぴー、はぁー、生き返ります」

 俺達は腰を下ろし、水を飲み始めた。長時間の歩行の後の一杯の水は心身に染みわたり、俺達の体力と精神を満たしていった。

「せっかく作った木のお家(うち)……壊れちゃいましたね」

 リノアは嘆いたような口調で言う。

「仕方がないさ……壊れたものは元には戻らないんだ。それにこの北の辺境で生活していくには木製の住居では強度不足だってわかったのは大きな収穫なんだ。だから俺達はもっと強度の高い家を作る為、鉱石を入手しよう……って発想になったんだ」

「はぁ……そうなんですか」

「そうだ……だから一歩前進できたんだよ。だから、それでいいじゃないか」

「グラン様は前向きなんですね……」

「強引にでも前向きにならないとやっていけないよ……ここに来るまで散々な目に合ってきたからね」

 しばらくの休憩を経て、俺達は立ち上がる。いつまでも休んでいても目的地まで一向に進まないのだ。

 俺達は鉱山へ向かって再び歩き出した。

 ◇

「はぁ……やっと着きました」

「ああ……やっと着いたな」

 俺達は長い時間と労力をかけ、鉱山まで到着した。俺は【建築(ビルド)】スキルで『ビルドハンマー』を作り出す。『ビルドハンマー』はただ建造物の建築に使うだけではない。こうして採掘作業や、モノを破壊したりする際にも役に立つ。万能道具なのだ。

「……リノア、少し離れていてくれ」

「は、はい……」

 リノアが俺から距離を取った。

「せーの!」

 俺はビルドハンマーを鉱山に対して、叩きつけた。

ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ

 俺のビルドハンマーが鉱山に炸裂し、大きな衝撃音が発生した。そして、大量の鉱石がゴロゴロと落ちてくる。俺達の目の前に大量の鉱石が姿を現した。

「やりましたね! グラン様!」

「ああ……これだけの鉱石を持ち帰られれば、丈夫な家が作れるぞ!」

「は、はい! 楽しみです!」

 しかし、喜んでばかりはいられなかった。その鉱石達が勝手に蠢き、動き出したのである。

「え? ど、どうして……なんで勝手に動き出すんですか」

「どうやら、このまま大人しく鉱石を持ち帰らせてくれるつもりはないらしい……」

 鉱石達は動き出し、俺達に奇声をあげて襲い掛かってきたのだ。

 キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 リノアが悲鳴を上げる。

「な、なんなんですか! い、岩が襲い掛かってくるなんて!」

「気を付けろ! こいつらはただの鉱石じゃない! 岩男(ロックマン)だ!」

 相手を意思を持った岩のモンスター。岩男(ロックマン)。

 やはり北の辺境はろくでもない場所だった。鉱石を手に入れるだけでも命がけである。様々なトラブルが俺達に襲い掛かってくる。

 無数の岩男(ロックマン)が俺達に襲い掛かってきたのだ。

 こうして、俺達と岩男数体との闘いが始まった。







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