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第36話 (ヘイト視点)ヘイト悪魔に魂を売る
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「くそっ……あの馬鹿兄貴の野郎、この俺様を酷い目に合わせやがって! 今度会ったらタダじゃすませねぇぜ!」
外堀に勝手に落ちて、痛い目に合ったヘイトはまたもや、責任転嫁をしてグランを責め立てた。どう考えても自業自得としか思えないのに、実に反省しない男である。
ヘイトの頭の中には一方的に憎んでいる義兄グランをどうやって痛めつけて憂さ晴らしをすればいいのか……それだけの事を必死に考え続けていたのであった。
その帰り道での出来事であった。
『力が欲しいか?』
「ん? な……なんだ……この声は」
『再び問おう……力が欲しいか?』
どこからともなく、不気味な声が聞こえてきたのである。
「だ、誰だてめぇは……て、てめぇ! てめぇはあの時の魔王軍の!」
ヘイトの目の前に現れたのは異様に露出度の高い、魔族の女性。魔王軍の四天王の一角であるモリガンであった。
砲台の一撃を食らい、かなりのダメージを負ったモリガンではあったが、それでも驚異的な再生能力を持っているようで、今では元通りになっているようだった。
「へへっ……相変わらず、良い乳してるじゃねぇか……魔族の姉ちゃん。げへへっ」
「敵を目の前にして言う台詞がまずそれか……貴様は……。貴様は下半身で生きているだけの俗物なのだな……」
モリガンは溜息を吐いた。
「だが……そうだな……身も心も私に捧げるというのなら……少しばかり私の身体を自由にさせてやってもよいぞ……愚かな人間よっ」
「なっ! なんだとっ! ふ、ふざけやがってっ!」
ヘイトは身構える。
「身も心も捧げるのはてめーの方だ! この俺様がてめーの主になってやるぜっ! 主従関係は俺様が上だっ!」
ヘイトは大剣を手に取り、身構えた。
「その跳ね返りぷりもなかなかに可愛いではないか……貴様の性根は腐りきっている。魔族などより、余程魔族らしい……人間にしておくには勿体ない男だ」
モリガンは誉め言葉なのか、侮辱しているのか……なんだかよくわからない事をのたまう。恐らくは誉めているのだろうが。彼女なりに。
「なんだ! 何が言いてぇんだ! 闘う気がないのか! お前は俺様の命(タマ)とりに来たんじゃねぇのか!」
「そうではない……お前はあのグランとかいう男を、心底……殺したい程憎んでいるのであろう? それは私も同じ事だ。私達の敵は同じという事だ。私ならお前の力になれる……お前は何も労せずに、力を得る事ができるのだ」
「ち、力だと……何も労せずに力を……そんな馬鹿な話があるか! そんな上手い話、悪魔の取引に決まっている!」
「ああ……その通り、悪魔の取引だ。お前が魂を私に売り渡せば相応の力をお前に授けようぞ……クックック。さすればお前はあの男……グランを殺せるに十分な力を得る事ができる。それだけではない……お前が人間の時にしていた生活よりも良い生活を送らせてやると約束しよう」
「い、良い生活だと?」
「ああ……最高の女をあてがってやる……幾人もだ。魔族でもエルフでもドワーフでも人間でも……必要とあれば国を襲って何人でも攫ってきてやる。望むのならば私もお前の相手をしてやろう……どうだ? 実に魅惑的な誘いではないか?」
モリガンはわざとらしく、自前の巨乳をぷるんと震わせる。
「うっ……ううっ」
「金でも地位でも名誉でも……お前になんでも欲しいものをくれてやろう。お前は何もしなくてもいい、ただ。私に魂を売り渡せばいい……それだけの事だ」
モリガンはヘイトの耳元で優しくそう囁く。ヘイトは誘惑に弱く、その悪魔の誘いをはねのけるのは困難であった。
「ただお前は身も心も私に委ねればいい……お前はただ頷けばいいだけだ。後は全て私がやろう」
ヘイトは頷いた。
「俺様に力を授けろっ! モリガンっ! あの兄貴を殺せる力を! それだけじゃねぇぜ! 俺様はこの世の全てを手に入れてやるっ! 魔王よりも偉くなって、それでこの世の全てを掌握してやるんだっ!」
「なんと頼もしい奴だ……やはりお前の心は邪悪に染まり切っているな。魔族よりも悪の心に染まり切っている。それでこそ、私が見込んだ男だ……クックック」
モリガンは暗黒のエネルギー体を手に作り出す。
「大人しくしていろ……すぐに気持ちよくなるからな」
「な、なに……」
ヘイトの心臓に、モリガンは手を突っ込む。
「ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ヘイトは長く叫んだ。
「ふっふっふ……良いぞ……ヘイトよ。貴様はこれで人間をやめた。我々魔族の仲間入りを果たしたのだ」
ヘイトの全身を暗黒の闘気が纏い始める。ヘイトは身も心も完全な魔族となった。
『剣神』のスキルを授かり、ロズベルグ家の世継ぎとして、魔王軍と闘う使命にあるヘイトであった。だが、なんと、そのヘイトが魔王軍に寝返ったのである。
それは剣聖の家系であるロズベルグ家にとってもあってはならない出来事であった。
だが、そのあってはならない事が起きてしまったのだ。
「クックック! アッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ」
モリガンの哄笑が響き渡る。
「見ていろ……私に傷を負わせた、人間、エルフ、ドワーフ。三匹の虫けら達よ……我々魔王軍の力の前には、貴様達の浅知恵など無力だと思い知るが良い!」
こうして、グランの義弟であるヘイトが魔王軍に寝返り、完全なる敵となってしまったのである。
外堀に勝手に落ちて、痛い目に合ったヘイトはまたもや、責任転嫁をしてグランを責め立てた。どう考えても自業自得としか思えないのに、実に反省しない男である。
ヘイトの頭の中には一方的に憎んでいる義兄グランをどうやって痛めつけて憂さ晴らしをすればいいのか……それだけの事を必死に考え続けていたのであった。
その帰り道での出来事であった。
『力が欲しいか?』
「ん? な……なんだ……この声は」
『再び問おう……力が欲しいか?』
どこからともなく、不気味な声が聞こえてきたのである。
「だ、誰だてめぇは……て、てめぇ! てめぇはあの時の魔王軍の!」
ヘイトの目の前に現れたのは異様に露出度の高い、魔族の女性。魔王軍の四天王の一角であるモリガンであった。
砲台の一撃を食らい、かなりのダメージを負ったモリガンではあったが、それでも驚異的な再生能力を持っているようで、今では元通りになっているようだった。
「へへっ……相変わらず、良い乳してるじゃねぇか……魔族の姉ちゃん。げへへっ」
「敵を目の前にして言う台詞がまずそれか……貴様は……。貴様は下半身で生きているだけの俗物なのだな……」
モリガンは溜息を吐いた。
「だが……そうだな……身も心も私に捧げるというのなら……少しばかり私の身体を自由にさせてやってもよいぞ……愚かな人間よっ」
「なっ! なんだとっ! ふ、ふざけやがってっ!」
ヘイトは身構える。
「身も心も捧げるのはてめーの方だ! この俺様がてめーの主になってやるぜっ! 主従関係は俺様が上だっ!」
ヘイトは大剣を手に取り、身構えた。
「その跳ね返りぷりもなかなかに可愛いではないか……貴様の性根は腐りきっている。魔族などより、余程魔族らしい……人間にしておくには勿体ない男だ」
モリガンは誉め言葉なのか、侮辱しているのか……なんだかよくわからない事をのたまう。恐らくは誉めているのだろうが。彼女なりに。
「なんだ! 何が言いてぇんだ! 闘う気がないのか! お前は俺様の命(タマ)とりに来たんじゃねぇのか!」
「そうではない……お前はあのグランとかいう男を、心底……殺したい程憎んでいるのであろう? それは私も同じ事だ。私達の敵は同じという事だ。私ならお前の力になれる……お前は何も労せずに、力を得る事ができるのだ」
「ち、力だと……何も労せずに力を……そんな馬鹿な話があるか! そんな上手い話、悪魔の取引に決まっている!」
「ああ……その通り、悪魔の取引だ。お前が魂を私に売り渡せば相応の力をお前に授けようぞ……クックック。さすればお前はあの男……グランを殺せるに十分な力を得る事ができる。それだけではない……お前が人間の時にしていた生活よりも良い生活を送らせてやると約束しよう」
「い、良い生活だと?」
「ああ……最高の女をあてがってやる……幾人もだ。魔族でもエルフでもドワーフでも人間でも……必要とあれば国を襲って何人でも攫ってきてやる。望むのならば私もお前の相手をしてやろう……どうだ? 実に魅惑的な誘いではないか?」
モリガンはわざとらしく、自前の巨乳をぷるんと震わせる。
「うっ……ううっ」
「金でも地位でも名誉でも……お前になんでも欲しいものをくれてやろう。お前は何もしなくてもいい、ただ。私に魂を売り渡せばいい……それだけの事だ」
モリガンはヘイトの耳元で優しくそう囁く。ヘイトは誘惑に弱く、その悪魔の誘いをはねのけるのは困難であった。
「ただお前は身も心も私に委ねればいい……お前はただ頷けばいいだけだ。後は全て私がやろう」
ヘイトは頷いた。
「俺様に力を授けろっ! モリガンっ! あの兄貴を殺せる力を! それだけじゃねぇぜ! 俺様はこの世の全てを手に入れてやるっ! 魔王よりも偉くなって、それでこの世の全てを掌握してやるんだっ!」
「なんと頼もしい奴だ……やはりお前の心は邪悪に染まり切っているな。魔族よりも悪の心に染まり切っている。それでこそ、私が見込んだ男だ……クックック」
モリガンは暗黒のエネルギー体を手に作り出す。
「大人しくしていろ……すぐに気持ちよくなるからな」
「な、なに……」
ヘイトの心臓に、モリガンは手を突っ込む。
「ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ヘイトは長く叫んだ。
「ふっふっふ……良いぞ……ヘイトよ。貴様はこれで人間をやめた。我々魔族の仲間入りを果たしたのだ」
ヘイトの全身を暗黒の闘気が纏い始める。ヘイトは身も心も完全な魔族となった。
『剣神』のスキルを授かり、ロズベルグ家の世継ぎとして、魔王軍と闘う使命にあるヘイトであった。だが、なんと、そのヘイトが魔王軍に寝返ったのである。
それは剣聖の家系であるロズベルグ家にとってもあってはならない出来事であった。
だが、そのあってはならない事が起きてしまったのだ。
「クックック! アッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ アッハッハッハッハアッハッハッハッハ」
モリガンの哄笑が響き渡る。
「見ていろ……私に傷を負わせた、人間、エルフ、ドワーフ。三匹の虫けら達よ……我々魔王軍の力の前には、貴様達の浅知恵など無力だと思い知るが良い!」
こうして、グランの義弟であるヘイトが魔王軍に寝返り、完全なる敵となってしまったのである。
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