駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

決闘①

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「さて、話もまとまったところで早速準備に入ろうか」

 ────という言葉により、周囲の者達は壁際へ寄った。
決闘のフィールドを整えるために。
また、衛兵達は騎士団の方から剣やら盾やら借りてきて、夫達に手渡す。
まあ、夫は剣しか受け取らなかったが。
対するデニス皇子殿下は、鎧から盾までしっかり装備していた。

「二人とも、準備はいいかい?それじゃあ、会場の中央へ」

 前方を手で示すシャノン皇太子殿下は、早く移動するよう促す。
と同時に、夫達は歩き出した。
そして、配置につくと、大盾を持った衛兵達に囲まれる。
恐らく、観衆達の安全対策だろう。
『万が一、第三者に怪我でも負わせたら大惨事だものね』と思案する中、シャノン皇太子殿下が姿勢を正した。

「では、これよりヘレス・ノーチェ・ラニットとデニス・ターラー・アヴニールの決闘を始める。両者、宣誓を」

 決闘の恒例行事である儀式を話題に出し、シャノン皇太子殿下は少しばかり表情を引き締めた。
デニス皇子殿下のことをじっと見つめながら。
『引き返すなら、今のうちだよ』とでも言うように。

 宣誓を行ってしまったら、もう後戻りは出来ない。
どちらかの命が尽きるか、あるいは剣を落とすまで戦い続けなければならないわ。

 決闘のルールを思い返し、私は『デニス皇子殿下はこのまま突き進むのか』と考える。
────と、ここで夫が自身の胸元へ手を添えた。

「私ヘレス・ノーチェ・ラニットは己の誇りを賭けて正々堂々と戦い、勝敗を決することを誓う。また、如何なる結果・損害を被ろうとも異論は唱えない」

 迷わず宣誓を行う夫は、チラリとデニス皇子殿下の方へ視線を向ける。
次は貴様だ、と示すように。

「……私デニス・ターラー・アヴニールも同じく、己の誇りを賭けて正々堂々と戦い、勝敗を決することを誓う。また、如何なる結果・損害を被ろうとも異論は唱えない」

 デニス皇子殿下は不機嫌そうに……でも、しっかりと宣誓を口にした。
かと思えば、兜を被る。
もう何も言うことはない、という意思表示として。

「ヘレス・ノーチェ・ラニットとデニス・ターラー・アヴニール、双方の宣誓を確認」

 進行役を務めるシャノン皇太子殿下はそう言って、おもむろに両手を広げた。

「それでは、両者構えて」
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