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第一章

再婚②

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「まあ、とにかくこれからよろしくね!」

 ────と、挨拶を交わしたのが約半年前。
迅速に再婚の手続きと結婚式を終え、エーデル公爵家は四人家族となった。
当然、周囲からは強い反発を受けたものの……父はどこ吹く風。全く意に介さない。
おかげで、公爵家は滅茶苦茶で……。

「大変です、セシリアお嬢様!またアナスタシア様がパーティーを開く、と仰っています!」

「そのための準備をお嬢様にお任せしたい、って!こんなの丸投げ同然ですよ!」

「あと、アイリス様がまた癇癪を起こして家庭教師の方を追い返してしまったそうで……!」

「違約金を払ってもいいから辞めたい、と家庭教師の方が仰っています!」

 慌てた様子で部屋へなだれ込んできた使用人達は、『どうしましょう……?』と困り果てている。
そっと眉尻を下げる彼らの前で、私は席を立った。

「報告、ありがとう。パーティーの件はこちらで対処するわ。それから、家庭教師の方には充分な謝礼金を払って契約終了して。新しい先生は……まあ、何とか探してみるわ」

 執務机に載った大量の書類を一瞥し、私は『今日も徹夜になりそうね』と苦笑を漏らす。
一応当主の仕事は父の方でやっているが、屋敷の管理などは私に一任されている。
継母では勝手が分からないだろう、と。
そのため、屋敷内における全ての出来事は私一人で処理しなければならなかった。

 お継母様やアイリスには何度も公爵夫人としての役割を学ぶよう、進言しているんだけど……『セシリアが居るうちはやらなくてもいい』と考えているみたいで。
これから、必要となるスキルなのに。

 『私に何かあったら、どうするつもりなんだか』と嘆息し、額を押さえる。
すると、使用人達が心配そうにこちらを見つめた。

「大丈夫ですか?やっぱり、負担が大きいのでは?」

「わ、私!アナスタシア様にパーティーの開催を考え直すよう、言ってきます!」

「私もアイリス様にちゃんと講義を受けるよう、説得してきますわ!」

 母が生きている時から我が家に仕えてきた使用人達は、『お嬢様を守らなくては!』と奮起する。
雇い主の家族に物申すなんて、かなりリスクの高い行いなのに。
下手すれば、解雇や懲罰を受けることになる。

「私なら、大丈夫よ。だから、無茶はしないで。私にとって、貴方達は家族同然なんだから。お父様達の機嫌を損ねて何かあったらと思うと、胸が張り裂けそうだわ」
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