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第一章
謹慎①
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「お願い!お父様に会わせて!一度、お話がしたいの!」
必死の形相で頼み込み、私は後ろに立つ彼らを振り返る。
が、彼らの目にはセシリアの幸せを邪魔する厄介者にしか見えないのか、随分と冷たい反応だった。
「申し訳ありませんが、それは自分達の判断で決められることじゃありませんので」
「セシリアお嬢様がこの家を立つまでの辛抱だと思って、我慢してください」
「セシリアお嬢様と旦那様が同じ家で過ごせる、最後の時間ですから」
「旦那様の愛情を取られたように感じるかもしれませんが、この一週間だけはどうか静かにお過ごしください。セシリアお嬢様のために」
『最後に家族の思い出を作ってあげたい』と考えているのか、騎士達は頑なだった。
本当に私のことを思っているんだと伝わってきて嬉しいが、今はそれが仇となっている。
『なんと言って、説得すればいいの……?』と途方に暮れる私を前に、彼らはさっさと扉を閉めた。
かと思えば、カチャリと鍵を掛ける音が耳を掠める。
結局、部屋に閉じ込められてしまった……これから、どうすればいいの?
花やピンクで彩られた室内を前に、私はヘナヘナと座り込む。
使用人達は完全にお父様が改心したと思っている……そんな時に『実は私がセシリアなの!』『アイリスと入れ替わったの!』と言ったところで、信じてくれないだろう。
むしろ、反感を買うかもしれない……。
なら、当分の間はアイリスとして生き、使用人達の信頼を勝ち取るしかないわ。
『全てを明かすには、まだ早い』と判断し、私は今後の方針を改めた────のだが……
「これからは甘やかさず、徹底的に家門の仕事を覚えてもらうそうです」
侍女長はそう言って、書類の山をドンッと積み上げた。
その大半は教科書やら参考所やらだが、実務関係の書類も混ざっている。
恐らく、また私に仕事を丸投げするためだろう。
朝起きるなり、仕事の山とご対面なんて……参ったわね。
『今はそれどころじゃないのに……』と項垂れるものの、放っておくことは出来ない。
何より、私が本物のセシリアだと明かした時、信じてくれる材料になるかもしれないので一先ず机へ向かった。
『きちんと仕事をこなせば、使用人達も不審がる筈』と考えながら、私は書類へ手を伸ばす。
「分かったわ。それじゃあ、朝食代わりのサンドウィッチと紅茶を用意してくれる?」
「えっ?あっ、はい」
おずおずといった様子で首を縦に振る侍女長は、『拍子抜けだ』と言わんばかりに瞬きを繰り返す。
恐らく、怒ったり拗ねたりすると考えていたのだろう。
本物のアイリスは直情的で、気に入らないことを徹底的に避ける傾向にあるから。
書類仕事なんて押し付けられた日には、癇癪を起こすに違いない。
「旦那様の関心がセシリアお嬢様に向いたことを悟って、大人しくしているのかしら……?」
必死の形相で頼み込み、私は後ろに立つ彼らを振り返る。
が、彼らの目にはセシリアの幸せを邪魔する厄介者にしか見えないのか、随分と冷たい反応だった。
「申し訳ありませんが、それは自分達の判断で決められることじゃありませんので」
「セシリアお嬢様がこの家を立つまでの辛抱だと思って、我慢してください」
「セシリアお嬢様と旦那様が同じ家で過ごせる、最後の時間ですから」
「旦那様の愛情を取られたように感じるかもしれませんが、この一週間だけはどうか静かにお過ごしください。セシリアお嬢様のために」
『最後に家族の思い出を作ってあげたい』と考えているのか、騎士達は頑なだった。
本当に私のことを思っているんだと伝わってきて嬉しいが、今はそれが仇となっている。
『なんと言って、説得すればいいの……?』と途方に暮れる私を前に、彼らはさっさと扉を閉めた。
かと思えば、カチャリと鍵を掛ける音が耳を掠める。
結局、部屋に閉じ込められてしまった……これから、どうすればいいの?
花やピンクで彩られた室内を前に、私はヘナヘナと座り込む。
使用人達は完全にお父様が改心したと思っている……そんな時に『実は私がセシリアなの!』『アイリスと入れ替わったの!』と言ったところで、信じてくれないだろう。
むしろ、反感を買うかもしれない……。
なら、当分の間はアイリスとして生き、使用人達の信頼を勝ち取るしかないわ。
『全てを明かすには、まだ早い』と判断し、私は今後の方針を改めた────のだが……
「これからは甘やかさず、徹底的に家門の仕事を覚えてもらうそうです」
侍女長はそう言って、書類の山をドンッと積み上げた。
その大半は教科書やら参考所やらだが、実務関係の書類も混ざっている。
恐らく、また私に仕事を丸投げするためだろう。
朝起きるなり、仕事の山とご対面なんて……参ったわね。
『今はそれどころじゃないのに……』と項垂れるものの、放っておくことは出来ない。
何より、私が本物のセシリアだと明かした時、信じてくれる材料になるかもしれないので一先ず机へ向かった。
『きちんと仕事をこなせば、使用人達も不審がる筈』と考えながら、私は書類へ手を伸ばす。
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「えっ?あっ、はい」
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恐らく、怒ったり拗ねたりすると考えていたのだろう。
本物のアイリスは直情的で、気に入らないことを徹底的に避ける傾向にあるから。
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「旦那様の関心がセシリアお嬢様に向いたことを悟って、大人しくしているのかしら……?」
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