私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

文字の大きさ
49 / 208
第一章

祖父の話①

しおりを挟む
「さて、何を話すか」

 ある程度緊張が解けたとはいえ、あくまで初対面。
共通の話題など、ないに等しい。
『どうするか』と悩んでいる様子の祖父を前に、私は侍女の淹れた紅茶へ手を伸ばした。

「あの、よろしければ家宝が紛失した当時のことを聞いてもよろしいですか?」

 家族団欒と程遠い話題ではあるものの、私達全員に関係のある話と言えばこれしかなく……私はおずおずと相手の顔色を窺う。
『やっぱり、ちょっと不躾だったかしら?』と不安に思っていると、祖父は

「ああ、構わんぞ。こちらへ来た以上、そのうち話そうと思っていたからな」

 と、快諾してくれた。
『情報共有は大事なことだ』と頷きながら、彼は膝に手を置く。

「まず、先にこれだけは言っておく。儂は本当に家宝の紛失に関わっていない。今まで、どこに保管されていたかも知らん。だから、陛下より発見したとの報告を受けた時は心底驚いた」

 『当時、あれだけ探して見つからなかったのに』と語り、祖父は小さく息を吐いた。
かと思えば、おもむろに顎を撫でる。

「それで、ここからは誰にも明かしていない話……いや、儂の憶測だが」

 そう前置きしてから、祖父は少しばかり顔色を曇らせた。

「屋敷から、家宝を持ち出したのは恐らく────ローガンだと思われる」

「!?」

 ここでまさか父の名が出てくるとは思わず、ティーカップを持ったまま固まる。
ヴィンセントの話から一枚噛んでいることは分かっていたが、そこまで深く関わっているとは思わなくて。
『えぇ……?』と困惑する私を前に、祖父は天井を見上げた。

「紛失当時のローガンは挙動不審でな。最初は慌てふためく大人達を見て、不安がっているのかと思っていたが……どうも、様子がおかしかった。それで注意深く行動を見張っていたら、ある場所によく足を運んでいたことが分かってな」

「ある場所というのは……?」

「屋敷の敷地外にある小川だ」

 裏手の山の方を指さし、祖父は『あやつが行きそうな場所じゃないだろう?』と肩を竦める。

 確かにお父様は小川なんて、興味なさそうね。
だからこそ、違和感があるのだけど。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

処理中です...