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第一章
アイリスの覚悟③
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家宝紛失に一枚噛んでいるという話を思い返し、私は内心溜め息を零す。
『娘の私が言うのもなんだけど、とんだ疫病神ね』と肩を竦めながら。
「とりあえず立ち話もなんですし、部屋に行きましょう。私もアイリスもお祖父様と会えることを楽しみにしていましたから」
『積もる話もあるだろうし』と考え、私は一階の応接室へ促す。
本来であれば、洋間へ通すべきなんだが……お年寄りに階段の昇り降りは辛いだろう、と配慮したのだ。
まあ、祖父の体格を見る限り要らぬ気遣いだったようだが。
『全然衰えている様子がない』と苦笑する中、祖父は少し驚いたように目を剥く。
「楽しみに……?本当か?儂は恨まれているとばかり、思っていたが……」
『憎まれ口でも叩かれるのかと……』と零し、祖父は私とアイリスを交互に見やる。
戸惑いを露わにする彼の前で、私はスッと目を細めた。
「恨んではいません。もちろん、複雑な気持ちは多少ありますが。でも、それ以上に────ずっと会えなかった寂しさやようやく会えた感動の方が、大きいです」
母からよく祖父の話を聞いていたため、私はあまり悪印象を抱いてなかった。
だから、何度か手紙を書いたり会いに行ったりしようとしたが……父に阻まれ、断念。
ただ、祖父の健康と幸福を祈ることしか出来なかった。
実はクライン公爵家にきちんと嫁入りしたら、一度接触を図ろうと思っていたの。
なので、結果的にそれが前倒しとなって内心ちょっと嬉しかったり……まあ、再会の理由がお祖父様の労働力目当てというのは複雑だけど。
「そう、か……そうか。これまで儂の人生は一体、何だったんだろう?と……結局何も成し遂げることが出来なかった、と嘆いておったが、今分かった。儂の人生は────可愛い孫達の力となることだ。これだけは必ずや、成し遂げてみせる」
『もう二度と失敗しない』と言い切り、祖父はこちらへ手を伸ばした。
かと思えば、私とアイリスの頭をワシャワシャと撫でる。
「恐らく短い付き合いになるだろうが、儂に出来ることがあれば何でも言え。己の命をかなぐり捨てでも、力になる」
『どうせ、老い先短い身だしな』と笑い、祖父は応接室へ足を向けた。
もう何年も訪れていない場所とはいえ、かつての我が家だったからか道は分かるようだ。
『ほれ、早く来い』と急かす祖父に、私とアイリスは首を縦に振る。
そして、応接室に辿り着くと、各々好きな場所へ腰掛けた。
「さて、何を話すか」
『娘の私が言うのもなんだけど、とんだ疫病神ね』と肩を竦めながら。
「とりあえず立ち話もなんですし、部屋に行きましょう。私もアイリスもお祖父様と会えることを楽しみにしていましたから」
『積もる話もあるだろうし』と考え、私は一階の応接室へ促す。
本来であれば、洋間へ通すべきなんだが……お年寄りに階段の昇り降りは辛いだろう、と配慮したのだ。
まあ、祖父の体格を見る限り要らぬ気遣いだったようだが。
『全然衰えている様子がない』と苦笑する中、祖父は少し驚いたように目を剥く。
「楽しみに……?本当か?儂は恨まれているとばかり、思っていたが……」
『憎まれ口でも叩かれるのかと……』と零し、祖父は私とアイリスを交互に見やる。
戸惑いを露わにする彼の前で、私はスッと目を細めた。
「恨んではいません。もちろん、複雑な気持ちは多少ありますが。でも、それ以上に────ずっと会えなかった寂しさやようやく会えた感動の方が、大きいです」
母からよく祖父の話を聞いていたため、私はあまり悪印象を抱いてなかった。
だから、何度か手紙を書いたり会いに行ったりしようとしたが……父に阻まれ、断念。
ただ、祖父の健康と幸福を祈ることしか出来なかった。
実はクライン公爵家にきちんと嫁入りしたら、一度接触を図ろうと思っていたの。
なので、結果的にそれが前倒しとなって内心ちょっと嬉しかったり……まあ、再会の理由がお祖父様の労働力目当てというのは複雑だけど。
「そう、か……そうか。これまで儂の人生は一体、何だったんだろう?と……結局何も成し遂げることが出来なかった、と嘆いておったが、今分かった。儂の人生は────可愛い孫達の力となることだ。これだけは必ずや、成し遂げてみせる」
『もう二度と失敗しない』と言い切り、祖父はこちらへ手を伸ばした。
かと思えば、私とアイリスの頭をワシャワシャと撫でる。
「恐らく短い付き合いになるだろうが、儂に出来ることがあれば何でも言え。己の命をかなぐり捨てでも、力になる」
『どうせ、老い先短い身だしな』と笑い、祖父は応接室へ足を向けた。
もう何年も訪れていない場所とはいえ、かつての我が家だったからか道は分かるようだ。
『ほれ、早く来い』と急かす祖父に、私とアイリスは首を縦に振る。
そして、応接室に辿り着くと、各々好きな場所へ腰掛けた。
「さて、何を話すか」
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