私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第二章

建国記念パーティー②

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「皆の者、静粛に!」

 衛兵は会場全体に響き渡る大声で叫び、背筋を伸ばした。
途端に静まり返る会場を前に、彼は槍を持ち直す。

「皇帝ロジャー・グレート・イセリアル陛下、並びに第一・第三皇子であらせられるエレン・ジェル・イセリアル殿下とルパート・ロイ・イセリアル殿下のご入場です!」

 その言葉を合図に、観音開きの扉は開かれ────パーティーの主催者たる皇族達が、姿を現した。
それぞれ白をベースにした正装へ身を包む彼らは、レッドカーペットの上を歩く。
そのままお辞儀している私達の前を通り過ぎ、玉座の前にやってきた。
と同時に、こちらを振り返る。

「面を上げよ。楽にしてくれて、構わない」

 ロジャー皇帝陛下は真っ直ぐこちらを見据え、少しばかり表情を引き締めた。
皇城崩壊未遂事件以降、初めての公式行事ということもあって緊張しているのだろう。
貴族達は確実に皇室へ不満や不安を抱いている筈だから。
ここでしっかり君主としての威厳を示しておかなければ、後々危険だ。

「皆の者、今日は建国記念パーティーへ参加してくれたこと心より感謝する」

 自身の胸元に手を添え、ロジャー皇帝陛下は目を細める。
エメラルドの瞳に、強い意志を宿しながら。

「近頃何かと慌ただしい中、またこうして集えたこと嬉しく思う。まだ不安定な状況が続くだろうが、我々は志を同じくする仲間なんだということを今日この場で再認識してほしい。そして、共に手を取り合い、この国を支えていこう」

 『これ以上、貴族の粛清はしない』ということを告げると、ロジャー皇帝陛下は侍従よりグラスを受け取った。
乾杯用のワインが入ったソレを一瞥し、彼は一歩前へ出る。

「では、イセリアル帝国の栄光とみなの幸福を願って────乾杯」

 そう言うが早いか、ロジャー皇帝陛下はグラスを高く持ち上げた。
建国記念パーティーの始まりを意味する行為に、我々貴族は追従する。
その刹那、オーケストラが優雅な音楽を奏でた。

「ついに始まったわね」
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