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第五章
忘却
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サラマンダーが何か叫んだ途端、突如として姿を表した灰色の髪をした謎の女性。
誰だろう....?
私────ディアナはただ呆然と目の前に立つ美しい灰色の髪をした女性を見つめるしかなかった。
「ほう...?これが精霊をも狂わせた甘美な蜜か....面白い」
「面白がるな。それよりも“あれ”頼むぞ」
「分かっておるわ。そう焦らずとも良ではないか」
「こっちは急いでんだよ。早くしろ!」
「ふぅ...。全く、そう急かすでない」
サラマンダーの言う“あれ”とはなんだろうか?
首を傾げる私を美しい女の人は上機嫌で見下ろしていた。
サラマンダーがこの場に来てからずっと沈黙を守ってきたウンディーネが口を開く。
「忘却の悪魔 レーテーなど呼び出して何を.....はっ!まさか!?」
忘却の悪魔?こんなにも美しい女の人が悪魔なの?
ウンディーネは珍しく焦ったように声を荒げる。
ウンディーネが焦るほどの何かをこの女性は引き起こそうとしている....?
「ウンディーネのことは俺に任せて、お前は“あれ”をやってくれ」
「分かっておる....。サラマンダー、本当に良いのじゃな?」
「ああ。どんな結果が待ち受けていようと俺は後悔しない」
「....承知した」
焦った様子のウンディーネが攻撃魔法を仕掛けてくる前にサラマンダーが飛び出した。
一気に間合いを詰めたサラマンダーはウンディーネの顔面目掛けて拳を振るう。
それを間一髪で回避したウンディーネ。
一体何がどうなって....?
「ディアナとか言ったかのう?そなたが心の底から信頼できる人物は誰じゃ?」
「い、いきなり何を言って....?」
「良いから、早く答えよ。あまり時間がないのじゃ」
私が心から信頼する人物.....。
“心”から.......。
そんなの.....私のことをずっと支えてくれたあの人と私の背中を力強く押してくれたあの人しか居ない....。
真っ先に思い浮かんだのは父親でも母親でもなかった。
家族よりもずっと長いときを過ごしたあの二人....。
「....サラマンダーとノーム...」
「ほう?これはなかなか.....。よし、では....その二人は残しておいてやろう」
「へっ....?」
残す?残すって何を?
私が疑問を口にするよりも先に猛烈な眠気が私を襲う。
あ、れ....?何で....?
こんな大事なときに眠るわけには....。
「今は眠るが良い.....。次、目覚めたとき“世界”はそなたを忘れておる....たった数名を抜いて、な」
その言葉を最後に私は意識を手放した。
誰だろう....?
私────ディアナはただ呆然と目の前に立つ美しい灰色の髪をした女性を見つめるしかなかった。
「ほう...?これが精霊をも狂わせた甘美な蜜か....面白い」
「面白がるな。それよりも“あれ”頼むぞ」
「分かっておるわ。そう焦らずとも良ではないか」
「こっちは急いでんだよ。早くしろ!」
「ふぅ...。全く、そう急かすでない」
サラマンダーの言う“あれ”とはなんだろうか?
首を傾げる私を美しい女の人は上機嫌で見下ろしていた。
サラマンダーがこの場に来てからずっと沈黙を守ってきたウンディーネが口を開く。
「忘却の悪魔 レーテーなど呼び出して何を.....はっ!まさか!?」
忘却の悪魔?こんなにも美しい女の人が悪魔なの?
ウンディーネは珍しく焦ったように声を荒げる。
ウンディーネが焦るほどの何かをこの女性は引き起こそうとしている....?
「ウンディーネのことは俺に任せて、お前は“あれ”をやってくれ」
「分かっておる....。サラマンダー、本当に良いのじゃな?」
「ああ。どんな結果が待ち受けていようと俺は後悔しない」
「....承知した」
焦った様子のウンディーネが攻撃魔法を仕掛けてくる前にサラマンダーが飛び出した。
一気に間合いを詰めたサラマンダーはウンディーネの顔面目掛けて拳を振るう。
それを間一髪で回避したウンディーネ。
一体何がどうなって....?
「ディアナとか言ったかのう?そなたが心の底から信頼できる人物は誰じゃ?」
「い、いきなり何を言って....?」
「良いから、早く答えよ。あまり時間がないのじゃ」
私が心から信頼する人物.....。
“心”から.......。
そんなの.....私のことをずっと支えてくれたあの人と私の背中を力強く押してくれたあの人しか居ない....。
真っ先に思い浮かんだのは父親でも母親でもなかった。
家族よりもずっと長いときを過ごしたあの二人....。
「....サラマンダーとノーム...」
「ほう?これはなかなか.....。よし、では....その二人は残しておいてやろう」
「へっ....?」
残す?残すって何を?
私が疑問を口にするよりも先に猛烈な眠気が私を襲う。
あ、れ....?何で....?
こんな大事なときに眠るわけには....。
「今は眠るが良い.....。次、目覚めたとき“世界”はそなたを忘れておる....たった数名を抜いて、な」
その言葉を最後に私は意識を手放した。
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