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調査開始
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「────マナ分解不全?」
アランさんは不意にそう呟き、少しばかり身を乗り出した。
食い入るようにある一文を見つめる彼に、セオドアさんはすかさず肘を入れる。
「見えん、どけ」
半ば無理やりアランさんを押しのけ、セオドアさんは例の一文に目を通す。
「後にジーク・スヴァット・ノワールを死に至らしめた原因はマナ分解不全であったことが、判明した……だと?」
怪訝そうに眉を顰め、セオドアさんは顎に手を当てた。
「マナ分解不全とは、なんだ」
セオドアさんですら知らないようで、小さく頭を捻る。
その横で、キースさんも首を左右に振った。
「残念ながら、僕にも分からないッス」
「キースまで知らないとなると、よっぽど珍しいやつか、あるいは────この時代じゃまだ名前を付けられていない類いのものか」
二つの可能性を口にし、アランさんは首裏に手を回す。
『前者ならまだいいが、後者なら……』と憂う彼を前に、セオドアさんは顔を上げた。
「アラン、キース。お前達は医者連中にマナ分解不全について知らないか、それとなく聞いてきてくれ。ミレイはマナ分解不全の症状や特徴を調べろ」
「「「了解」」」
短く返事して、私達はそれぞれの役割を果たすため動き出す。
一時退室やタブレットの再検索といった形で。
「……あっ、これですかね」
早速マナ分解不全の情報を探し当て、私はセオドアさんに見せた。
と同時に、彼は少しばかり身を屈める。
「なるほど。マナ分解不全とは、魔力変換する際に行われるマナの分解が不十分で引き起こされる体調不良のことか」
「みたいですね。症状は主に昏睡。そして、徐々に衰弱。他の大きな特徴としては、体臭が甘くなるようです」
「体臭……」
呟くようにして復唱し、セオドアさんは身を起こした。
「私自ら兄上のところに出向いて、確かめてくる。ミレイは引き続き、情報収集に当たれ」
「分かりました」
セオドアさんの方を見てしっかり頷くと、彼は足早にこの場を去っていく。
────その後、三十分ほど経ってからセオドアさんは帰ってきた。
ちょうどアランさんとキースさんも戻ってきたところなので、それぞれ結果報告を行う。
「マナ分解不全については、誰も知らなかった」
「さっきアランが言った通り、まだ名前を付けられていない類いのものかと」
「兄上の容態を今一度確認してきたが、マナ分解不全の症状や特徴と一致していた。恐らく、この線で合っているだろう」
ふむ……ということは、タブレットで未来の文書も閲覧出来る読み、正しかったみたいだね。
三人のもたらした情報から確証を持ちつつ、私は視線を上げた。
「こちらの得た追加情報は、二点です。一つはマナ分解不全のせいで、免疫力が低下すること。もう一つは、免疫力低下により他の病気を発症して死に至るケースが多いことです」
向かい側のソファに腰掛ける三人を見据え、私はついでに症状や特徴も伝える。
アランさんとキースさんは、まだ知らない筈なので。
────と、ここでセオドアさんが腕を組んだ。
「マナ分解不全が、直接の死因に繋がる可能性は低いという訳か」
「資料を見る限りは、そう解釈出来ますね」
「分かった。では、ここからは治療方法を本格的に探っていく────が、その前に」
両脇に居るアランさんとキースをチラリと見て、セオドアさんはこう言葉を続ける。
「アランとキースは調査から、外れろ」
「なっ……!何で!?」
「僕達は足手纏いって、ことッスか!?」
堪らずといった様子で声を荒げ、アランさんとキースさんはセオドアさんに詰め寄った。
と言っても、すぐ隣に居るため少し身を乗り出す程度だが。
「違う。単純に人数が多すぎるからだ」
セオドアさんはすかさず理由を説明し、アランさんとキースさんの顔を押し退ける。
『寄るな、鬱陶しい』と言わんばかりの彼を前に、私はポンッと手を叩いた。
「あぁ、タブレット一台に対して四人もいらないですもんね」
「それは……そうか」
「正論ッスね」
明らかに人員過多という事実に、アランさんとキースさんも理解を示す。
が、完全に納得はしていない様子。
「とはいえ、何もしないのはなぁ……居た堪れないっつーか」
「僕達にも、役目がほしいッス」
おずおずといった態度で申し出るアランさんとキースさんに、セオドアさんはこう切り返す。
「ならば、鍛錬でもしていろ。つい先日、もっと強くなる宣言をしたのだからちょうどいいだろう」
「あー……出来れば治療方面で何かやりたかったんだけど、そうだな。そうするか」
「今回の一件で更に危うい立場となるミレイちゃんを守るためにも、腕を磨くッス」
若干不満を抱きながらも、アランさんとキースさんは大きく頷いた。
『頼もしい限りですね』と感心する私を他所に、彼らはソファから立ち上がる。
「じゃあ、二人ともあとのことは頼む」
「もし、何か出来ることがあればいつでも言ってください」
『長居しても、邪魔になる』と判断したようで、アランさんとキースさんはさっさとこの場を後にした。
と同時に、セオドアさんがこちらへ手を差し出す。
「ミレイは先に仮眠を取るなりして、休んでいろ」
「私、まだ疲れていませんけど」
「そんなの分かっている。ただ、今後は交代制で情報収集に当たるべきだと判断しただけだ。治療方法を見つけるまで、時間が掛かるかもしれないからな」
『長期戦となると、同時に作業するのは効率が悪い』と指摘し、セオドアさんは空いている方の手で顎を撫でた。
「手に入れた情報や参考にした資料は各自メモに書き込み、口頭で説明しなくても把握出来るようにしよう」
出来るだけ無駄を省く方針を提示するセオドアさんに対し、私は首を縦に振る。
「分かりました」
素直にタブレットを手渡し、私はおもむろに席を立った。
アランさんは不意にそう呟き、少しばかり身を乗り出した。
食い入るようにある一文を見つめる彼に、セオドアさんはすかさず肘を入れる。
「見えん、どけ」
半ば無理やりアランさんを押しのけ、セオドアさんは例の一文に目を通す。
「後にジーク・スヴァット・ノワールを死に至らしめた原因はマナ分解不全であったことが、判明した……だと?」
怪訝そうに眉を顰め、セオドアさんは顎に手を当てた。
「マナ分解不全とは、なんだ」
セオドアさんですら知らないようで、小さく頭を捻る。
その横で、キースさんも首を左右に振った。
「残念ながら、僕にも分からないッス」
「キースまで知らないとなると、よっぽど珍しいやつか、あるいは────この時代じゃまだ名前を付けられていない類いのものか」
二つの可能性を口にし、アランさんは首裏に手を回す。
『前者ならまだいいが、後者なら……』と憂う彼を前に、セオドアさんは顔を上げた。
「アラン、キース。お前達は医者連中にマナ分解不全について知らないか、それとなく聞いてきてくれ。ミレイはマナ分解不全の症状や特徴を調べろ」
「「「了解」」」
短く返事して、私達はそれぞれの役割を果たすため動き出す。
一時退室やタブレットの再検索といった形で。
「……あっ、これですかね」
早速マナ分解不全の情報を探し当て、私はセオドアさんに見せた。
と同時に、彼は少しばかり身を屈める。
「なるほど。マナ分解不全とは、魔力変換する際に行われるマナの分解が不十分で引き起こされる体調不良のことか」
「みたいですね。症状は主に昏睡。そして、徐々に衰弱。他の大きな特徴としては、体臭が甘くなるようです」
「体臭……」
呟くようにして復唱し、セオドアさんは身を起こした。
「私自ら兄上のところに出向いて、確かめてくる。ミレイは引き続き、情報収集に当たれ」
「分かりました」
セオドアさんの方を見てしっかり頷くと、彼は足早にこの場を去っていく。
────その後、三十分ほど経ってからセオドアさんは帰ってきた。
ちょうどアランさんとキースさんも戻ってきたところなので、それぞれ結果報告を行う。
「マナ分解不全については、誰も知らなかった」
「さっきアランが言った通り、まだ名前を付けられていない類いのものかと」
「兄上の容態を今一度確認してきたが、マナ分解不全の症状や特徴と一致していた。恐らく、この線で合っているだろう」
ふむ……ということは、タブレットで未来の文書も閲覧出来る読み、正しかったみたいだね。
三人のもたらした情報から確証を持ちつつ、私は視線を上げた。
「こちらの得た追加情報は、二点です。一つはマナ分解不全のせいで、免疫力が低下すること。もう一つは、免疫力低下により他の病気を発症して死に至るケースが多いことです」
向かい側のソファに腰掛ける三人を見据え、私はついでに症状や特徴も伝える。
アランさんとキースさんは、まだ知らない筈なので。
────と、ここでセオドアさんが腕を組んだ。
「マナ分解不全が、直接の死因に繋がる可能性は低いという訳か」
「資料を見る限りは、そう解釈出来ますね」
「分かった。では、ここからは治療方法を本格的に探っていく────が、その前に」
両脇に居るアランさんとキースをチラリと見て、セオドアさんはこう言葉を続ける。
「アランとキースは調査から、外れろ」
「なっ……!何で!?」
「僕達は足手纏いって、ことッスか!?」
堪らずといった様子で声を荒げ、アランさんとキースさんはセオドアさんに詰め寄った。
と言っても、すぐ隣に居るため少し身を乗り出す程度だが。
「違う。単純に人数が多すぎるからだ」
セオドアさんはすかさず理由を説明し、アランさんとキースさんの顔を押し退ける。
『寄るな、鬱陶しい』と言わんばかりの彼を前に、私はポンッと手を叩いた。
「あぁ、タブレット一台に対して四人もいらないですもんね」
「それは……そうか」
「正論ッスね」
明らかに人員過多という事実に、アランさんとキースさんも理解を示す。
が、完全に納得はしていない様子。
「とはいえ、何もしないのはなぁ……居た堪れないっつーか」
「僕達にも、役目がほしいッス」
おずおずといった態度で申し出るアランさんとキースさんに、セオドアさんはこう切り返す。
「ならば、鍛錬でもしていろ。つい先日、もっと強くなる宣言をしたのだからちょうどいいだろう」
「あー……出来れば治療方面で何かやりたかったんだけど、そうだな。そうするか」
「今回の一件で更に危うい立場となるミレイちゃんを守るためにも、腕を磨くッス」
若干不満を抱きながらも、アランさんとキースさんは大きく頷いた。
『頼もしい限りですね』と感心する私を他所に、彼らはソファから立ち上がる。
「じゃあ、二人ともあとのことは頼む」
「もし、何か出来ることがあればいつでも言ってください」
『長居しても、邪魔になる』と判断したようで、アランさんとキースさんはさっさとこの場を後にした。
と同時に、セオドアさんがこちらへ手を差し出す。
「ミレイは先に仮眠を取るなりして、休んでいろ」
「私、まだ疲れていませんけど」
「そんなの分かっている。ただ、今後は交代制で情報収集に当たるべきだと判断しただけだ。治療方法を見つけるまで、時間が掛かるかもしれないからな」
『長期戦となると、同時に作業するのは効率が悪い』と指摘し、セオドアさんは空いている方の手で顎を撫でた。
「手に入れた情報や参考にした資料は各自メモに書き込み、口頭で説明しなくても把握出来るようにしよう」
出来るだけ無駄を省く方針を提示するセオドアさんに対し、私は首を縦に振る。
「分かりました」
素直にタブレットを手渡し、私はおもむろに席を立った。
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