『魔王討伐クエスト』で役に立たないからと勇者パーティーに追い出された回復師は新たな仲間と無双する〜PK集団が英雄になるって、マジですか!?〜

あーもんど

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第一章

第31話『No.6』

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 それから、私達はラルカさんがやり損ねた敵を道すがらに倒し、床に空いた大きな穴の前まで来ていた。
人一人余裕で通れそうなソレを前に、『やったのは、十中八九ラルカさんだろうなぁ』と考える。
だって、穴のある場所はアジトの奥の方……つまり、No.6さんの居る辺りだと思われるから。

 まあ、残念ながら穴を空けた先にNo.6さんは居なかったみたいだけど……。

「てか、本当に穴を空けたんだね~。さすが、ラルカ~」

「感心してる場合じゃありませんよ。私達も下に降りませんと」

「りょーかーい」

 穴の前で立ち止まっていた徳正さんは敬礼ポーズを取ると、ピョーンとそのまま穴に落ちた。
何の躊躇いもなく……。

 え?いや、あの……!確かに『下に降りませんと』とは言ったけど、いきなりはやめて!合図くらい、ちょうだい!

 唐突な浮遊感に襲われ、私は『っ~……!』と声にならない声を上げる。
でも、徳正さんは余裕そうだった。
私を抱っこしたままストンとB2に降り立ち、休む間もなく走り出す。
それも、かなりのスピードで……。
堪らず目を閉じると、人の話し声が耳を掠めた。
声が遠すぎて……というか、風の音で掻き消されて何を言っているのかは分からないが、何やら言い争っている様子。

 聞いたことも無い声だったし、『サーペント』のメンバーか誰かだろうか?

 『もしくはNo.6さんとか……』と考える中、風が止む。
どうやら、目的地に到着したらしい。
そして恐る恐る瞼を上げれば、見知らぬ男性と少年、それからラルカさんが目に入った。

 誰だろう……?あの人達。

 眼鏡をかけた男性と手錠や目隠しで拘束された少年を見つめ、私は頭を捻る。
男性が少年の襟を掴んでいることから、仲間には見えないが……いまいち状況を掴めなかった。

「今すぐ武器を捨てて、投降しろ!差もなくば、こいつを殺す!」

 眼鏡の男性はラルカさんにそう警告すると、襟を掴む少年にナイフを宛てがう。
その際、男性の服の袖からヘビのタトゥーが見えた。

 この人も、『サーペント』のメンバーか。
じゃあ、そっちの少年はまさか……

「……No.6さん?」

「そうだよ~ん。あのちびっ子がNo.6────“狂笑の悪魔”のシムナだよ」

 そっか。あの人が……想像してたより、ずっと小さくて幼いな。
とてもじゃないけど、PK好きのプレイヤーには見えない。
どちらかと言えば、守ってあげたくなるような儚さを持った少年に見える。

「そ、それなら助けないと……!早く私達も加勢に……」

「大丈夫、大丈夫~。シムナなら平気だって~」

「で、でも……!目隠しや手錠をされていますし!それに怪我だって……!」

 そう、彼は今怪我をしている。
ボロボロとまではいかないが、切り傷や刺し傷が多く見受けられた。ついでに火傷の跡もちらほら……。

 『あんな状態で大丈夫なわけない!』と焦りまくる私を他所に、ラルカさんはホワイトボードを掲げた。

『断る。殺せるなら・・・・・、殺せ』

 どこか含みのある言い方で男性の要求を跳ね除け、ラルカさんは鎌片手に歩き出した。
一歩一歩踏み締めるようにゆっくり……でも、しっかり前へ進んでいく。
その様子に迷いはない。
着実に距離を詰めてくるラルカさんの前で、男性は肩を震わせた。

「く、来るな!」

『断る』

「ほ、本当にこいつを殺すぞ!」

『勝手にしろ』

「っ……!!」

 さすがの彼も“斬殺の死神”は恐ろしいのか、シムナさんを掴んだままジリジリと後退を始めた。
その足は産まれたての子鹿のように震えている。

 そんなに怖いなら、最初からこんなことしなければいいのに……。

 男性の怯え切った様子を見て平静を取り戻した私は徳正さんの腕から降り、ただ静かに事の行く末を見守る。

『最後に一度だけ聞く。降参する気はあるか?』

 最初で最後の警告を発するラルカさんに、男性は目を見開いた。
かと思えば、迷うようにさまよわせる。
でも、直ぐに腹を括ったのか目に滲んだ涙を手で拭った。

「お、俺は『サーペント』の準幹部だぁぁぁああ!殺しの一つや二つ、やってやる!!うおおおお!」

 最後の最後でプライドを捨て切れなかった男性は、ナイフを高く振り上げると────シムナさん目掛けて振り下ろした。

 危ない!

 反射的にシムナさんの方へ駆け寄ろうとすると、

「ラーちゃん、ストップ!よく見てて?シムナはラーちゃんが想像している以上に強いから」

 と、徳正さんに引き止められてしまった。
『大丈夫』と言い切る彼を前に、私はどうすべきか迷う。
徳正さんのことを信じていない訳じゃないが、それでもやっぱり不安だった。
『あの状態で急所に刺さったら……』と思案するものの、直ぐに考えを改める。
だって、いつの間にか眼鏡の男性が床に倒れていたから。
お腹を攻撃されたのか芋虫のように丸くなる彼の前で、私は目を白黒させる。

 一体、誰がこんなことを……?いや、そんなの一人に決まっている。
男性を止められる位置に居たのは────シムナさんだけなんだから。

「あははは!!やーっと、トドメを刺そうとしてくれた♪これなら、殺してもボスは文句を言わないよね?だって、僕は殺されかけたんだから!ははっ!頑張って耐えた甲斐があったよ」

 そう零したのは、シムナさん……いや、“狂笑の悪魔”だった。
クスクスと笑う彼は、蹲る男性の首に足をかける。ニィーと、白い歯を見せながら。

 ま、まさかPKする気なんじゃ……!?
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