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第二章
月の門《トリスタン side》
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「成功……したのか?それとも……」
『失敗』の二文字が脳裏に浮かび、私は恐る恐る空を見上げた。
柔らかい光を地上に落とす満月は、いつも通りで……変化がない。
ヒヤリと……背筋に冷たいものが走った。
ま、まさか本当に失敗したのか……!?きちんと手順通りやったのに……!?
それとも、材料の質が悪かったのか!?死にかけの魂ではなく、健康な魂が良かったのか!?
顔を青くして、焦りまくる私は『失敗した代償として、何かされるのでは!?』と気が気じゃなかった。
────と、ここで“ガチャッ”と扉の開く音が耳を掠める。
でも、それは部屋から聞こえたものじゃなくて……。
「────月の門が開いたのか……?」
今の音は、確かに上から……もっと言うと、月の方から聞こえてきた。
そもそも、私の部屋に無断で入ってくる輩など、居ない。
つまり────魔術は見事成功したってことだ。
「さあ、我が愛しの妻メイヴィスよ!私の元へ来い!お前を出迎える準備は、既に済んでいる!安心して、私の胸に飛び込んで来い!」
期待で胸を膨らませる私は、アメジストの瞳を輝かせ、天を仰いだ。
────そこに愛しのメイヴィスが居ると信じて……。
だが、そこに居たのは愛しのメイヴィスでも麗しい女神でもなかった。
満月を背に空を舞うのは─────架空の生物とされている、ドラゴンだった。
「な、何で……」
明るい未来が来ると信じて疑わなかった私は、目の前に広がる残酷な現実にただ呆然とした。
何故メイヴィスではなく、このような醜い生物が現れたのか……。
やはり、メイヴィスはまだ私のことを怒っているのか?だから、こんな嫌がらせを……?
「……愛の試練にしては、少し過激すぎないか?」
私は禍々しいオーラ放つ二体のドラゴンに怯え、ヘナヘナとその場に座り込んだ。
不意に、焦げ落ちたオダマキの花びらが宙を舞う。
オダマキの花言葉は─────『愚か』
メイヴィスを取り戻すため、凶行に及んだ愚かな私はこの世界に異世界のモンスターを招き入れてしまった。
『失敗』の二文字が脳裏に浮かび、私は恐る恐る空を見上げた。
柔らかい光を地上に落とす満月は、いつも通りで……変化がない。
ヒヤリと……背筋に冷たいものが走った。
ま、まさか本当に失敗したのか……!?きちんと手順通りやったのに……!?
それとも、材料の質が悪かったのか!?死にかけの魂ではなく、健康な魂が良かったのか!?
顔を青くして、焦りまくる私は『失敗した代償として、何かされるのでは!?』と気が気じゃなかった。
────と、ここで“ガチャッ”と扉の開く音が耳を掠める。
でも、それは部屋から聞こえたものじゃなくて……。
「────月の門が開いたのか……?」
今の音は、確かに上から……もっと言うと、月の方から聞こえてきた。
そもそも、私の部屋に無断で入ってくる輩など、居ない。
つまり────魔術は見事成功したってことだ。
「さあ、我が愛しの妻メイヴィスよ!私の元へ来い!お前を出迎える準備は、既に済んでいる!安心して、私の胸に飛び込んで来い!」
期待で胸を膨らませる私は、アメジストの瞳を輝かせ、天を仰いだ。
────そこに愛しのメイヴィスが居ると信じて……。
だが、そこに居たのは愛しのメイヴィスでも麗しい女神でもなかった。
満月を背に空を舞うのは─────架空の生物とされている、ドラゴンだった。
「な、何で……」
明るい未来が来ると信じて疑わなかった私は、目の前に広がる残酷な現実にただ呆然とした。
何故メイヴィスではなく、このような醜い生物が現れたのか……。
やはり、メイヴィスはまだ私のことを怒っているのか?だから、こんな嫌がらせを……?
「……愛の試練にしては、少し過激すぎないか?」
私は禍々しいオーラ放つ二体のドラゴンに怯え、ヘナヘナとその場に座り込んだ。
不意に、焦げ落ちたオダマキの花びらが宙を舞う。
オダマキの花言葉は─────『愚か』
メイヴィスを取り戻すため、凶行に及んだ愚かな私はこの世界に異世界のモンスターを招き入れてしまった。
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