3 / 23
本編
美しい妹
しおりを挟む
執事に案内されるまま、ニコラスと共に客室へ赴くと、そこには王国一の美女と囁かれる我が妹が居た。
透明感のある薄ピンク色の長髪をハーフアップにし、パパラチアサファイアの瞳を細めるソフィア。
雪のように真っ白な肌が純情を誘い、天使のように愛らしい顔立ちを引き立てる。
久々に会ったせいか、妹の美貌に数秒見惚れてしまった。
いけないいけない……しっかりしないと。ソフィアの美貌に見惚れている場合じゃないわ。
フルフルと首を左右に振って邪念を振り払い、私は改めて桃髪の美女と向き合う。
が、しかし……彼女の目に映るのは私ではなく、夫のニコラスだった。
「久しぶりね、ニック。相変わらず、ハンサムね。とっても格好良いわ」
ニコラスを『ニック』と愛称で呼ぶソフィアはその愛らしい顔に笑みを浮かべた。
子供のように無邪気な彼女には二年経った今でも、常識というものが身についていないらしい。
伴侶の居る男性を愛称で呼ぶなんて、有り得ないわ……実の家族ならまだしも、ソフィアとニコラスは義兄弟という関係。
愛称で呼び合うほど、親密な関係ではない。
第二王子の婚約者になって、少しはマシになったかと思ったけど……ソフィアの非常識さは相変わらずみたいね。
怒りよりも呆れが勝ってしまい、私は内心溜め息を零す。
賢いとは言い難い妹の言動に、ニコラスは少しだけ眉を顰めた。
「……久しぶりだね、ソフィア嬢。王国一の美女に外見を褒められて光栄だよ。でも、僕のことはロバーツ公爵と呼んでくれ。君に愛称で呼ばれる筋合いはないよ」
「えっ……酷いわ、ニック。そんな言い方をしなくてもいいのに……」
ニコラスからの明確な拒絶に、妹はパパラチアサファイアの瞳を潤ませる。
だが、銀髪碧眼の美青年は冷たい目でソフィアを見つめるだけだった。
あの冷たい目を見るのは久しぶりだわ。私の前では、いつも笑顔だから……。
「……ニコラス、とりあえず座りましょう」
「ん?あぁ、そうだね。愛する君をいつまでも立たせる訳にはいかないよ」
ふわりと柔らかい笑みを浮かべた銀髪碧眼の美青年は私の手を引き、三人掛けのソファまで案内してくれた。
ニコラスに促されるまま腰を下ろすと、その隣に彼が座る。
そして、彼はソフィアに見せつけるように私の腰をそっと抱き寄せた。
さっき私が不安がったから、ここで立場をハッキリさせようとしたのね。私が少しでも不安にならないように……。
ニコラスは本当に私一筋ね。
嬉しいような……照れ臭いような心境に陥りつつ、私は緩む頬を手で覆い隠す。
銀髪碧眼の美青年はそんな私を愛おしげに見つめた後、チラッとソフィアに視線を向けた。
「それで、ソフィア嬢はここへ何をしに来たんだい?事前の連絡もなしに来たんだ、何か大切な用があったんだろう?」
透明感のある薄ピンク色の長髪をハーフアップにし、パパラチアサファイアの瞳を細めるソフィア。
雪のように真っ白な肌が純情を誘い、天使のように愛らしい顔立ちを引き立てる。
久々に会ったせいか、妹の美貌に数秒見惚れてしまった。
いけないいけない……しっかりしないと。ソフィアの美貌に見惚れている場合じゃないわ。
フルフルと首を左右に振って邪念を振り払い、私は改めて桃髪の美女と向き合う。
が、しかし……彼女の目に映るのは私ではなく、夫のニコラスだった。
「久しぶりね、ニック。相変わらず、ハンサムね。とっても格好良いわ」
ニコラスを『ニック』と愛称で呼ぶソフィアはその愛らしい顔に笑みを浮かべた。
子供のように無邪気な彼女には二年経った今でも、常識というものが身についていないらしい。
伴侶の居る男性を愛称で呼ぶなんて、有り得ないわ……実の家族ならまだしも、ソフィアとニコラスは義兄弟という関係。
愛称で呼び合うほど、親密な関係ではない。
第二王子の婚約者になって、少しはマシになったかと思ったけど……ソフィアの非常識さは相変わらずみたいね。
怒りよりも呆れが勝ってしまい、私は内心溜め息を零す。
賢いとは言い難い妹の言動に、ニコラスは少しだけ眉を顰めた。
「……久しぶりだね、ソフィア嬢。王国一の美女に外見を褒められて光栄だよ。でも、僕のことはロバーツ公爵と呼んでくれ。君に愛称で呼ばれる筋合いはないよ」
「えっ……酷いわ、ニック。そんな言い方をしなくてもいいのに……」
ニコラスからの明確な拒絶に、妹はパパラチアサファイアの瞳を潤ませる。
だが、銀髪碧眼の美青年は冷たい目でソフィアを見つめるだけだった。
あの冷たい目を見るのは久しぶりだわ。私の前では、いつも笑顔だから……。
「……ニコラス、とりあえず座りましょう」
「ん?あぁ、そうだね。愛する君をいつまでも立たせる訳にはいかないよ」
ふわりと柔らかい笑みを浮かべた銀髪碧眼の美青年は私の手を引き、三人掛けのソファまで案内してくれた。
ニコラスに促されるまま腰を下ろすと、その隣に彼が座る。
そして、彼はソフィアに見せつけるように私の腰をそっと抱き寄せた。
さっき私が不安がったから、ここで立場をハッキリさせようとしたのね。私が少しでも不安にならないように……。
ニコラスは本当に私一筋ね。
嬉しいような……照れ臭いような心境に陥りつつ、私は緩む頬を手で覆い隠す。
銀髪碧眼の美青年はそんな私を愛おしげに見つめた後、チラッとソフィアに視線を向けた。
「それで、ソフィア嬢はここへ何をしに来たんだい?事前の連絡もなしに来たんだ、何か大切な用があったんだろう?」
79
あなたにおすすめの小説
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
【完結】私の婚約者は妹のおさがりです
葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」
サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。
ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。
そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……?
妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。
「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」
リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。
小説家になろう様でも別名義にて連載しています。
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる