愚鈍な妹が氷の貴公子を激怒させた結果、破滅しました〜私の浮気をでっち上げて離婚させようとしたみたいですが、失敗に終わったようです〜

あーもんど

文字の大きさ
18 / 23
本編

第一王子《ジェフリー side》

 そのまま真っ直ぐ王城へと帰還した俺は実の兄であり、この国の第一王子でもあるイアン・リカルド・クラインにソフィア嬢との一件を報告していた。
テーブルを挟んで向かい合う兄上は俺の話を聞くなり、苦笑を浮かべる。
大して驚いた様子はなく、『やっぱりか』とでも言うように俺の話を聞いていた。

 兄上はこうなることに薄々勘づいていたのかもしれない……。
兄上もニコラス公爵と同じように、ソフィア嬢にはあまり近寄らなかったから……。

「だから、『あの娘はやめておけ』と言ったのに……ジェフリーは女を見る目がないね」

「うっ……!返す言葉もないぜ……」

 ソフィア嬢との婚約をずっと反対していた兄上はやれやれとでも言うように首を振る。
 恋は盲目と言うべきか、俺は兄上の忠告よりも目先の幸せに飛びついたのだ。
なんと浅はかで、愚かなことか……俺は今になって、ようやく気づいた。
でも、不思議と後悔はしていない。ソフィア嬢と過ごした日々は確かに幸せだったから。

「それで、どうするつもりだい?婚約はもちろん、破棄するんだろう?」

「ああ、そのつもりだ」

 確かにソフィア嬢との日々は幸せだったし、後悔もしていないが、浮気した彼女を許してやれるほど、俺の心は広くない。
何より、ソフィア嬢には反省した様子がなかった。
仮に寛大な心で許したとしても、懲りずに同じことを繰り返すだろう。
そんな女と幸せな人生が歩めるとは到底思えない……だから、お互いのためにも婚約は破棄すべきだ。

 兄上は優雅な所作で長い足を組むと、安心したように表情を緩めた。

「なら、良かったよ。まだ婚約関係を続けると言ったら、医者に診せるところだった。ちなみに慰謝料はどのくらいを考えているんだい?」

 何の気なしに投げ掛けられた質問に、俺の体が一瞬固まる。
脳裏に過ったのは侯爵家の財政事情だった。

 借金こそしていないものの、侯爵家にはもうほとんどお金が無い。
使用人への給金と屋敷の維持費だけで手一杯の状態だ。
そんな時に慰謝料の請求なんてしたら……侯爵家が本当に没落してしまう。

 だからと言って、何の罰も与えないのは王家の威信に関わる……。
何らかの形で必ず罰を与えないといけない……。

「……兄上、慰謝料の請求以外で侯爵家に……ソフィア嬢に罰を与える方法はないのか?」

 兄上の知恵を借りたいと申し出れば、彼は僅かに目を見開いた。
そして、呆れたように笑う。

「ジェフリー、お前は本当に甘いね。お人好しもここまで来ると、一種の才能だよ」

 呆れにも感心にも似た呟きに、俺は何も言わずに肩を竦めた。
自分でも、かなり甘い対応をしている自覚はあるので、否定はしない。
そんな俺の態度に、兄上は仕方ないなとでも言うように首を左右に振った。

「侯爵家に影響がないようにしたいなら、慰謝料の代わりになりそうな罰を与えればいい。それも、ソフィア・フローレンスにだけ影響のある罰を……。そうだね、例えば────彼女を修道院送りにするとか」

 兄上が口にした奇抜なアイディアに、俺は『その手があったか』と大きく目を見開いた。
感想 113

あなたにおすすめの小説

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

学園の華たちが婚約者を奪いに来る

nanahi
恋愛
「私の方がルアージュ様に相応しいわ」 また始まった。毎日のように王立学園の華たちが私のクラスにやってきては、婚約者のルアージュ様をよこせと言う。 「どんな手段を使って王太子殿下との婚約を取り付けたのかしら?どうせ汚い手でしょ?」 はぁ。私から婚約したいと申し出たことなんて一度もないのに。見目麗しく、優雅で優しいルアージュ様は令嬢達にとても人気がある。それなのにどうして元平民の私に婚約の話が舞い込んだのか不思議で仕方がない。 「シャロン。メガネは人前では外さないように。絶対にだ」 入学式の日、ルアージュ様が私に言った。きっと、ひどい近視で丸メガネの地味な私が恥ずかしいんだ。だからそんなことを言うのだろう。勝手に私はそう思いこんでいたけど、どうやら違ったみたいで……?

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。

もう愛は冷めているのですが?

希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」 伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。 3年後。 父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。 ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。 「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」 「え……?」 国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。 忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。 しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。 「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」 「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」 やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……  ◇ ◇ ◇ 完結いたしました!ありがとうございました! 誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。