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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
初陣
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……と。
「そろそろお仕事の時間なので、各隊は出撃準備をお願いしま~す」
「おねがいしまーす」
とか言うカレンさんの声が、放送にて聞こえてくる。最後に重なって、小声で少し聞こえたのはニトイの声だろうか。
「ほらツバサ、準備はできたか?!」
「い、いや、何の準備が……」
「戦う準備だ、今から! ロスト討伐に向かうんだよ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
……んで、外に出てきたはいいものの。
人もいないような……オリュンポスの外壁……鉄壁付近の僻地で、どう見つけろと言うんだ……?!
「……なあ、ロスト……とか言うヤツの位置情報とかさ、分かったりとかしないのか?!」
「しないな、肉眼確認、情報提供ぐらいしかない」
「いや~、確かにダルいのは分かるんですけど、やっぱりこうして地道に探すしかないんすよ」
「…………1体目、発見」
と隊長の声を聞いた後、みんなしてそのロストに飛びかかる。
……貴重な収入源だからだろうか、絶対に逃がさないという執念すら感じた。
「容赦ない……なあ……」
「お前も手伝うんだぞ、ツバサ! 後から5体も出てきやがったんだよ!」
「あ、おう!」
俺たち5人———第3番隊は、その扱う武器さえも個性的だった。
俺の扱う武器は———もちろん、『刀』だ。
日ノ國伝統の武器であり、滑らかにしなるような曲線を描いた刀身が特徴的な武器だ。……なぜか、今の俺が持ってるこの刀は……木刀と化しているけど。
……隊長であるイチゴとカーオは、互いに祝福儀礼の爆剣なる、十字型の剣を投擲している。
レイラは……その身にどっしりと背負ったパイルバンカーにて、敵———ロストのコアを穿ち。
肝心のディルは……なんと銃と、ついでにだが刀を使っていた。
…………銃、とは?……などと、違和感の入り混じった疑問が脳髄を駆け巡るが、そんな事はディルの動きを見ていればすぐに解消されるモノだった。
……なぜ今更、銃の存在に違和感を抱いてしまったのだろうか。
しかしアイツの刀———斬るというよりかは、なんかソレ自体で敵を叩くような———まるで剣みたいな使い方をしているように見えたが、アレで大丈夫なんだろうか。
———と。
「うおぉっ?!……何だ何だ、急にどうした?!」
「テメーがサボってるから分からないんだよ、ロストをやったんだよ、ロストを!」
突発的な爆発音、一瞬にして迫り来る突風。
祝福儀礼の爆煙の先には、灰と化したロストの残骸が。
「この一撃を以て……決別の儀としよう。
主よ、この魂に、憐れみを———」
と、パイルバンカーでロストのコアを貫いたレイラが、すらすらと口にする。
普段と違うその言葉遣いに、どこか神聖な面影を感じた。
「なんだか……朝の時とは全く違う雰囲気だ……本当にちゃんとシスターしてる……」
「そうだな、アイツは……笑ってる姿と、主———神に祈りを捧げている姿が、俺には1番輝いて見える」
◆◇◆◇◆◇◆◇
……なんだかんだあった後。
特に何の変哲もない……いや、普通に変哲しかなかった物体、「ロスト」のコアを斬るだけの仕事だったが、1日働いてみての感想は「俺、何やってるんだろ」だとか言う、どこかそっけないものであった。
……ゴルゴダ機関。秘密組織と思っていたもんだから、やはりどこか不気味で危険なイメージが纏わりついていた。
しかし事実は全くもって別であり、全くもってアットホームな職場だった。
なんせ、迫り来るロストを倒す……いや、浄化させるだけで金がもらえるのだから、そこにブラックな事は何1つなく。
強いて言うなら、「そもそもロストって何なの?」って事くらいしか、気になる点はなかったし。
これで金がもらえると言うのなら、それはそれでいいんだが。
「……なあディル、いつもこんな感じなのか?」
「まあ……大体いつもはこうじゃない。出てくる時では、ヤバいヤツだって出てくるさ」
「ヤバい……ヤツ?」
「…………変異体」
口を開いたイチゴ隊長に視線を寄せる。
「変異体……?」
「ロスト……変異体……意思を持ったり……想像以上に肥大化してしまった……モノ」
「大体、週5回……くらいは出くわすんすけどね……今日は出なかっただけラッキーみたいっす」
……週5?
「……あとは、ソウルレス、だな」
「ディル、ソウルレスって何なんだよ?」
「人間とロストの融合体……みたいなやつかな、何度傷つけられても再生、回復する。
しかも人間の意思まで持ち合わせてる時もあるから、もう出くわしたら大変で仕方ない。……まあ、全然遭遇しないけど、形として伝えられてるだけだ」
ソウルレス、か……
人間に再生能力……人間とロストの融合体……
……妙に引っかかる、何か重大な、それこそ最悪の結末に繋がるような何かが隠されているような…
「……ま、ツバサ、お前は明日の任務に備えて休んどきな、明日こそ変異体が出てもおかしくないしな、はい給料」
だなんて軽いノリで渡されたのが、いかにも金が入ってそうな茶色の封筒。
「おい、もしかして、給料日とかそーいうの……なかったりするのか?」
「毎日給料は支払われる。何たって命懸けの仕事だからな」
……楽だ!
この仕事、(今の段階では)めちゃくちゃ楽だ!!!!
「そろそろお仕事の時間なので、各隊は出撃準備をお願いしま~す」
「おねがいしまーす」
とか言うカレンさんの声が、放送にて聞こえてくる。最後に重なって、小声で少し聞こえたのはニトイの声だろうか。
「ほらツバサ、準備はできたか?!」
「い、いや、何の準備が……」
「戦う準備だ、今から! ロスト討伐に向かうんだよ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
……んで、外に出てきたはいいものの。
人もいないような……オリュンポスの外壁……鉄壁付近の僻地で、どう見つけろと言うんだ……?!
「……なあ、ロスト……とか言うヤツの位置情報とかさ、分かったりとかしないのか?!」
「しないな、肉眼確認、情報提供ぐらいしかない」
「いや~、確かにダルいのは分かるんですけど、やっぱりこうして地道に探すしかないんすよ」
「…………1体目、発見」
と隊長の声を聞いた後、みんなしてそのロストに飛びかかる。
……貴重な収入源だからだろうか、絶対に逃がさないという執念すら感じた。
「容赦ない……なあ……」
「お前も手伝うんだぞ、ツバサ! 後から5体も出てきやがったんだよ!」
「あ、おう!」
俺たち5人———第3番隊は、その扱う武器さえも個性的だった。
俺の扱う武器は———もちろん、『刀』だ。
日ノ國伝統の武器であり、滑らかにしなるような曲線を描いた刀身が特徴的な武器だ。……なぜか、今の俺が持ってるこの刀は……木刀と化しているけど。
……隊長であるイチゴとカーオは、互いに祝福儀礼の爆剣なる、十字型の剣を投擲している。
レイラは……その身にどっしりと背負ったパイルバンカーにて、敵———ロストのコアを穿ち。
肝心のディルは……なんと銃と、ついでにだが刀を使っていた。
…………銃、とは?……などと、違和感の入り混じった疑問が脳髄を駆け巡るが、そんな事はディルの動きを見ていればすぐに解消されるモノだった。
……なぜ今更、銃の存在に違和感を抱いてしまったのだろうか。
しかしアイツの刀———斬るというよりかは、なんかソレ自体で敵を叩くような———まるで剣みたいな使い方をしているように見えたが、アレで大丈夫なんだろうか。
———と。
「うおぉっ?!……何だ何だ、急にどうした?!」
「テメーがサボってるから分からないんだよ、ロストをやったんだよ、ロストを!」
突発的な爆発音、一瞬にして迫り来る突風。
祝福儀礼の爆煙の先には、灰と化したロストの残骸が。
「この一撃を以て……決別の儀としよう。
主よ、この魂に、憐れみを———」
と、パイルバンカーでロストのコアを貫いたレイラが、すらすらと口にする。
普段と違うその言葉遣いに、どこか神聖な面影を感じた。
「なんだか……朝の時とは全く違う雰囲気だ……本当にちゃんとシスターしてる……」
「そうだな、アイツは……笑ってる姿と、主———神に祈りを捧げている姿が、俺には1番輝いて見える」
◆◇◆◇◆◇◆◇
……なんだかんだあった後。
特に何の変哲もない……いや、普通に変哲しかなかった物体、「ロスト」のコアを斬るだけの仕事だったが、1日働いてみての感想は「俺、何やってるんだろ」だとか言う、どこかそっけないものであった。
……ゴルゴダ機関。秘密組織と思っていたもんだから、やはりどこか不気味で危険なイメージが纏わりついていた。
しかし事実は全くもって別であり、全くもってアットホームな職場だった。
なんせ、迫り来るロストを倒す……いや、浄化させるだけで金がもらえるのだから、そこにブラックな事は何1つなく。
強いて言うなら、「そもそもロストって何なの?」って事くらいしか、気になる点はなかったし。
これで金がもらえると言うのなら、それはそれでいいんだが。
「……なあディル、いつもこんな感じなのか?」
「まあ……大体いつもはこうじゃない。出てくる時では、ヤバいヤツだって出てくるさ」
「ヤバい……ヤツ?」
「…………変異体」
口を開いたイチゴ隊長に視線を寄せる。
「変異体……?」
「ロスト……変異体……意思を持ったり……想像以上に肥大化してしまった……モノ」
「大体、週5回……くらいは出くわすんすけどね……今日は出なかっただけラッキーみたいっす」
……週5?
「……あとは、ソウルレス、だな」
「ディル、ソウルレスって何なんだよ?」
「人間とロストの融合体……みたいなやつかな、何度傷つけられても再生、回復する。
しかも人間の意思まで持ち合わせてる時もあるから、もう出くわしたら大変で仕方ない。……まあ、全然遭遇しないけど、形として伝えられてるだけだ」
ソウルレス、か……
人間に再生能力……人間とロストの融合体……
……妙に引っかかる、何か重大な、それこそ最悪の結末に繋がるような何かが隠されているような…
「……ま、ツバサ、お前は明日の任務に備えて休んどきな、明日こそ変異体が出てもおかしくないしな、はい給料」
だなんて軽いノリで渡されたのが、いかにも金が入ってそうな茶色の封筒。
「おい、もしかして、給料日とかそーいうの……なかったりするのか?」
「毎日給料は支払われる。何たって命懸けの仕事だからな」
……楽だ!
この仕事、(今の段階では)めちゃくちゃ楽だ!!!!
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