Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

文字の大きさ
151 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

滅神却ゼロ・セブン

 ———少し、前。

「月天使徒殲滅制圧用最終兵器機構、起動」

 あまりにも無機質な声でそう呟きながら、眼前の少女はその両手を前に押し出す。

 背に銀の羽根を広げるその姿は、まさに天使と言っても過言ではないほどだった。


「…………唸れ。響け。貫け。
 地の果てに目指すは、夜明けの逆光。
 天を仰ぐは、遥か遠くの天涯エデンの瞬き。
 ヒトの始点、生命の元素、集結せし要素は、たった今ここに収束する。

 ……創世の時代より一撃。

 罪を拭う、原罪で穢れた生命への毒。
 反発し合い、寄り添わぬ人類と神への、手向けの花。

 決別には、未だ遠く———、

 ………………滅却、ゼロ・セブン」


 突然流暢に話し始めたアテナだったが、次の瞬間———攻撃は既に終わっていた。





「………………おわっ、た。……でも、きをつけて。…………アイツ、は、に、いる……!」


 ———がしかし、その言葉にセンは一度狼狽える。


「熱……圏……?……うそ、だろ、成層圏じゃ……ないのか……?」

 アテナの攻撃は成功した。空高く、遥か遠くで煌めく星のような火が、それを完全に証明していた。
 ヤツの、機神Aの強固すぎる神力障壁は、完璧に破られた———が。


「……届、かない……?……でも、撃つしかない、ここで撃たねば、是が非でも———」

 センがそう発した瞬間、オリュンポス全体に地響きが鳴りわたる。
 その瞬間、真横———右前方方向よりの閃光が。




「…………セン、やばい……敵はもう、アイたちに注意を向けてる……!」

「そう、だね。……とりあえず、僕は神爆の1発目を撃ち込むよ」

 神核の1発目。
 そうだ、僕には1撃で仕留めるなんて多分出来やしないんだ、だから僕は
 
 ———そう、神爆を3つに分割して放つ———だなんて姑息な手に。



「……くいなは、次の攻撃を待って……キリエライトシールドを展開してくれ。………………ここでそれを使ってでも、僕たちは勝たなきゃならない……!」

 狙い澄ます。
 スコープのその奥に覗かせたその鉄の機体を、撃ち抜いて貫く為に。

 あの時と一緒だ、センならできるはずだ、と。
 今の僕には、何が最適解なのか、センはどこが強いかを完全に分かっているはず。

 ……だから、僕ならできる。
 ここでとるべき最適解———そんなものはひとつしか存在しないと。





「…………諦めないこと、それが僕の———勇気だ……!」



 どこまでも、見果てる空を貫く為に。
 その少年は、ようやく引き金を引く。


 神爆、その威力は凄まじく、撃った瞬間にセンのサイドツーは後退する。
 放っただけでも、辺りの神力は完全に蒸発し、蒸気が空へと舞い上がる。

 爆煙と蒸気に包まれた空が一気に晴れる、それは放ってから2秒後のことだった。

 空には、浮かぶカミを覆うようにした、1つの輝く光が。

 ———しかし、その光は、時が経つにつれだんだんと下へ降下していき———。
 しまいには、機神より少し下の場所で爆散する。




 ———つまり、それが指し示す事実は……ということであり。
 同時にそれは、この作戦の瓦解を意味していた。


『…………セン!……そっちはどうだ、機神Aは撃ち堕としたか?!』

「無理、でした……すぐに第2撃が来ます。……届きはしませんでした……終わりです、ヤツを倒す方法は———」


『……諦めるなんてねえだろ、あるじゃないか、あの機神まで届くモノが。…………今この場にはないけど、それでもヤツに届く『攻撃』はあるだろ……?』

 白のその発言に、ハッと冷静になり状況を鑑みる。

 この状況下で、ヤツに届く『攻撃』と言えば……



「そうか、跳ね返せばいいんだ……!」

 そう、ヤツの攻撃が飛んでくるというのなら———全く同じエネルギーを、そのまま跳ね返してやれば……





 そんなことできるのか?
 そんな意見が頭をよぎった時、既にセンの———機体の横には———白がいた。

「……え、白……さん、陽動中じゃ……」

「ド派手な爆発が起こった後、機神Bの動きが止まったもんでな、今はヤンス1人に任せてる。

 ……それよりも、アレを堕とすんだろ?…………だったら、目には目を、歯には歯を。……神には……のみだ……!」
感想 203

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。

孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。 その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。 そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。 同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。 春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。 昔から志穂が近くにいてくれるから……。 しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。 登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。 志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。 彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。 志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。 そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。 その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。