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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
衝突
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……え?
「……な、なあカーオ。……お前もしかして———」
「分からないわよ?……着いて行った訳でもないんだし」
———マジかよ。
てっきり俺はカーオが知ってるもんだと思ってたから、そこに関しては全くの心配をしていなかったのだが……
「なあ……どうする?」
———そう、カーオが知らないのなら———ここにいる誰もが、レイラたちの場所を知らないのだ。
……あれ?
もしかしてコレ……詰んでない?
「———でも、方角くらいなら覚えてるわよ」
「……じゃあ、それで。……方角しか分からないのは正直言って心配だけど、空に浮かぶ機神もいない今、動かない理由はないだろうからな」
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして、全くの同時刻。
未だにロストと交戦していた人界軍一同だったが、イデアの思い付いた作戦により、打開への道が示される。
気付けば辺りはロストの軍勢、言葉ともノイズともとれぬ雑音を垂れ流しながら、円を形作りこちらに迫り来る灰色の波。
———が、それらのコアを1つ1つ砕いて浄化させよう……にも、おそらくゴルゴダ機関の奴らは———民間人や使えない戦闘員までもロストに変えて解き放っている。
もはや1つ1つ処理していこうとキリが無いため、その壁を何らかの方法で切り開き、一気に先に進む、と言った作戦が立ち上がったのだった。
「……で、久々の爆裂魔法の準備はいいんだろうな、サナ?」
「まっかせて! 眼前を吹き飛ばすだけでしょ?……私なら簡単よ!」
———作戦、と言える代物ではなかったが。
「魔力———循環っ!……ひっさびさの爆裂魔法、確実に決めてやるわよっ!……エクス……プロージョンっっ!!!!」
サナが前に振りかざしたその杖より出たのは———たった一息程度の煙であった。
「……え」
まさかのイデアも、この光景には唖然である。
そう、いつものサナであれば、爆裂魔法をポンポン連射することは難なくこなせるのだ。
しかし———この時のサナは違った。
「———うそ、イメージはできてるはず……まさか魔力?! 魔力が足りてないってえのっ?!」
焦りの垣間見える中、ロストはそれでも迫り来る。
「……なんなんすか、サナさんは……失敗したんすか、イデアさん!」
「いや……でも……アイツが失敗する……なんて……」
焦燥に駆られるレイラも、もはや悠長に待っている余裕はないと武器を構える。
「……サナ、一体どうしたってわけ?!……こんな時に、魔力器官でも魔力回路でも異常があるわけ?!」
「———ま、まさか……さっきの……飲み込まれた時に、魔力回路に何かをされたっての……っ!」
絶望的、ではあった。
———先程までの時間、サナが爆裂魔法発動までの魔力を溜める時間、その時間稼ぎを担っていたのは、レイラとイデアとレイであり、イデア達が持っていた祝福儀礼の爆剣も、その時間稼ぎの際に全て消費しきっていたからだ。
この場にて、あのロストを一掃できる魔法や武器と言えば……やはりサナの爆裂魔法しかなく。
イデアも多重幻覚境界面を扱えば……とも思いはしたが、いくらアレを用いて魔術領域を展開したとて、この数のロストを相手に一掃するとなればかなり苦しいだろう。
……ならば、ならばどうするか……?
既に背後にもロスト、引けはしない。
サナの魔術も、爆剣もありやしない。
「……クソッタレ、今度こそ終わるしかないってのか……っ!」
「ここまで……来たってのに、隊長が託してくれたってのに、こんなのって……アリっすか……?!」
「終わるにしてもあまりにも呆気なさすぎるわね……世界を救ったパーティのお2人まで諦め気味でどーすんのよ!」
「……だって……そりゃあそうじゃない……?……私の魔法も使えないってのに……どう乗り切れってのよ……?」
*◇*◇*◇*◇
サナ達一向が絶望に包まれる中、セン率いるサイドツー部隊はというと———。
……その、イデアたちの遥か後方。
「いやっほおおおおおうっ!!」
———などと絶叫しながら、サイドツーに搭乗しロストの群れの上を滑るヤンスの姿が。
『ちょっとおおおおおおっ?!……ねえヤンス、このまま突き進んで大丈夫なの?!』
そのヤンスに続くようにして、センたちのサイドツーもロストの上を踊るように滑ってゆく。
「この数のロストでヤンス、どうせこの先で戦ってるでしょうから、後は俺たちがあっちまで行くだけでヤンス!!」
『それにしてもこれは速すぎるんじゃないのかな~~~っ!!!!』
そんなこんなで、先頭を突っ走っていたヤンスが、そのロストの前列にて垣間見たのは———。
「あーーーっ!……いた、いたでヤンスよーーーっ!」
「……な、なあカーオ。……お前もしかして———」
「分からないわよ?……着いて行った訳でもないんだし」
———マジかよ。
てっきり俺はカーオが知ってるもんだと思ってたから、そこに関しては全くの心配をしていなかったのだが……
「なあ……どうする?」
———そう、カーオが知らないのなら———ここにいる誰もが、レイラたちの場所を知らないのだ。
……あれ?
もしかしてコレ……詰んでない?
「———でも、方角くらいなら覚えてるわよ」
「……じゃあ、それで。……方角しか分からないのは正直言って心配だけど、空に浮かぶ機神もいない今、動かない理由はないだろうからな」
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして、全くの同時刻。
未だにロストと交戦していた人界軍一同だったが、イデアの思い付いた作戦により、打開への道が示される。
気付けば辺りはロストの軍勢、言葉ともノイズともとれぬ雑音を垂れ流しながら、円を形作りこちらに迫り来る灰色の波。
———が、それらのコアを1つ1つ砕いて浄化させよう……にも、おそらくゴルゴダ機関の奴らは———民間人や使えない戦闘員までもロストに変えて解き放っている。
もはや1つ1つ処理していこうとキリが無いため、その壁を何らかの方法で切り開き、一気に先に進む、と言った作戦が立ち上がったのだった。
「……で、久々の爆裂魔法の準備はいいんだろうな、サナ?」
「まっかせて! 眼前を吹き飛ばすだけでしょ?……私なら簡単よ!」
———作戦、と言える代物ではなかったが。
「魔力———循環っ!……ひっさびさの爆裂魔法、確実に決めてやるわよっ!……エクス……プロージョンっっ!!!!」
サナが前に振りかざしたその杖より出たのは———たった一息程度の煙であった。
「……え」
まさかのイデアも、この光景には唖然である。
そう、いつものサナであれば、爆裂魔法をポンポン連射することは難なくこなせるのだ。
しかし———この時のサナは違った。
「———うそ、イメージはできてるはず……まさか魔力?! 魔力が足りてないってえのっ?!」
焦りの垣間見える中、ロストはそれでも迫り来る。
「……なんなんすか、サナさんは……失敗したんすか、イデアさん!」
「いや……でも……アイツが失敗する……なんて……」
焦燥に駆られるレイラも、もはや悠長に待っている余裕はないと武器を構える。
「……サナ、一体どうしたってわけ?!……こんな時に、魔力器官でも魔力回路でも異常があるわけ?!」
「———ま、まさか……さっきの……飲み込まれた時に、魔力回路に何かをされたっての……っ!」
絶望的、ではあった。
———先程までの時間、サナが爆裂魔法発動までの魔力を溜める時間、その時間稼ぎを担っていたのは、レイラとイデアとレイであり、イデア達が持っていた祝福儀礼の爆剣も、その時間稼ぎの際に全て消費しきっていたからだ。
この場にて、あのロストを一掃できる魔法や武器と言えば……やはりサナの爆裂魔法しかなく。
イデアも多重幻覚境界面を扱えば……とも思いはしたが、いくらアレを用いて魔術領域を展開したとて、この数のロストを相手に一掃するとなればかなり苦しいだろう。
……ならば、ならばどうするか……?
既に背後にもロスト、引けはしない。
サナの魔術も、爆剣もありやしない。
「……クソッタレ、今度こそ終わるしかないってのか……っ!」
「ここまで……来たってのに、隊長が託してくれたってのに、こんなのって……アリっすか……?!」
「終わるにしてもあまりにも呆気なさすぎるわね……世界を救ったパーティのお2人まで諦め気味でどーすんのよ!」
「……だって……そりゃあそうじゃない……?……私の魔法も使えないってのに……どう乗り切れってのよ……?」
*◇*◇*◇*◇
サナ達一向が絶望に包まれる中、セン率いるサイドツー部隊はというと———。
……その、イデアたちの遥か後方。
「いやっほおおおおおうっ!!」
———などと絶叫しながら、サイドツーに搭乗しロストの群れの上を滑るヤンスの姿が。
『ちょっとおおおおおおっ?!……ねえヤンス、このまま突き進んで大丈夫なの?!』
そのヤンスに続くようにして、センたちのサイドツーもロストの上を踊るように滑ってゆく。
「この数のロストでヤンス、どうせこの先で戦ってるでしょうから、後は俺たちがあっちまで行くだけでヤンス!!」
『それにしてもこれは速すぎるんじゃないのかな~~~っ!!!!』
そんなこんなで、先頭を突っ走っていたヤンスが、そのロストの前列にて垣間見たのは———。
「あーーーっ!……いた、いたでヤンスよーーーっ!」
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