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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-セン: 僕だけの『最強』
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違った。
今やるべき事、それは違う、こんな事じゃないはずだ。
イデアさんがさっきも言っていただろう、英霊たちの意志を継いだはず、と。
じゃあ今、この時だって継ぐべきだ。
悲しい。
心の底から、打ち震えて悲しいさ。
今すぐにでも泣き喚いて、もう戦いたくないと全ても投げ出してしまってもいいくらい。
死を弔いたかった。
絶望したかった。
塞ぎ込みたかった。
投げ出したかった。
終わらせたかった。
でも、煮えくり返った腑が、それを許しちゃくれなかった。
そんなつまらない、くだらないことをやっている暇ないぞ、と。
だから戦う。
せめて、せめて———僕に命を繋いでくれて、僕を———最強だと羨んでくれた、貴方に対しての手向けだろう。
そう信じなきゃ、僕は———、
もう何も、信じるべきものがなくなってしまうから———!!!!
「……勝負だ、勝負だ———レイン!」
「まだ向かってくるか、絶対に勝てぬ、それは貴様こそが承知しているはずだろ———」
「勝つ、勝つさ、貴様に勝ってみせる……なぜなら……僕は……!」
炎。
「僕……は、僕は…………!!」
命。
「あの人に、最強だと認められたのだから、だからこそ僕は、今ここでその命を燃やす!!!!」
そうだ、今の僕は最強だ。
イデアさんがそう言ったんだ、他の誰がどう言おうと、僕は最強なんだ。
だから———。
「……貴様に同情の余地があろうとも、僕は貴様を確実に叩き潰す! 貴様は僕が、僕がこの手で殺さなくちゃならないんだ……僕1人の手で!
……だから、だからこそ力を貸してください、イデアさん……!」
神威のコピーを持ち上げる。
あくまで贋作、本来の概念武装の効力など無いに等しい。
それでも、既に亡きその人の形見をもって。
そうして、貴様を凌駕する———!
「うおりゃああっ!!」
「……んんっ!!」
鉄の歪んだ残響音が響く。
既に身体は動いていた。
しかしその刃はレインの爆剣に止められる。
「だからなんだ……!」
すぐさま後退し、背後を取るために風を切って走る。
「身体強化———背水の陣、起動!」
『お前があの背水の陣を使うと言うのなら———魔力回路と魔力器官が焼き切れるぞ?……元々お前は魔力の扱いが下手だと言うのに……』
そう言えば、イデアさんが前にそんなこと言ってたっけ。
関係ない。
ヴォルテージは焼き付いた。
既に、レインの背後を取るように迂回した後。もはや完全に神威コピーを振り下ろす体制まで入ってしまっていた。
「おりゃあああっ!!!!」
音速を超えるほどの速さで振り下ろしたつもりだが———レインはそれにすら反応する。……が、少しばかりその動きには鈍りが見えた。
そうだセン、このまま———敵の弱点を見据えるんだ。……そうして最適解を導き出せ!
それが、それが僕だったろう!
「強制拘束制御用神術式、完全解放。……まさか貴様のようなガキに、全力を出すこととなろうとは」
かまわない。
敵が何をしていようと、今はただ猛攻を繰り返すだけだ。
音と蒸気を上げ変貌してゆく身体をよそに。
そんなこと関係ない、気にしている暇などないと今だけは思考を停止させる。
「ふんっ!!」
敵の刃が重くなる。
いよいよ本当に本領発揮というわけか……!
ならばこっちも、全部出し切るまでだ……!
「背水の陣、強制負担仕様———極ノ項!!!!」
とてつもない、途方もなく大きなパワーが身体の奥底でそのうねりを見せた直後、骨が折れる重い音がした。
強制負担仕様、身体に通常よりも大きな負担をかけて、概念法術的にその魔術の効力を強引に出現させる、禁術……だが。
「どんな手を使ってでも、例え外道に落ちようとも貴様だけは———殺す!」
「……ほお、死亡方法はどれがいい?……斬首か、焼却か、失血か、刺突か、両断か、細切れか、溺死か、孤独か、それとも生き地獄を望むか?」
「どれも……望まないっ!」
1秒にて約30回と繰り返される剣戟。
重い音は鳴る暇すら無く、振り下ろされたエネルギーは風となって周囲の空間を切り裂いていた。
短期決戦だ、ここで決めなきゃ意味がない、ここで終わらせなきゃ意味がない、ここで決着じゃなきゃ浮かばれない!
打ち合った反動により一瞬後退し、再度打ち合うまでの所要時間はおよそ0.2秒。
おそらくヤツも同じだ、だからこうもスピードでもパワーでも上回れない!!
だったら……出力を上げるまでだ。
ぶっ壊れたら———その時はその時だ、後は祈るしかない、今や敵に回った———神様に!
「極ノ項!……脚ノ項、三重同時並行出力!」
この一撃だ、この1回だ、この1度きりのチャンスだ!
「ふ…………ぐはあっ……!」
地面を踏みつけ蹴り飛ばした脚が、確実に折れるのが分かる。
それも確実に芯からだ、複雑———どころか粉砕骨折、筋肉だってどうなってるか分かりきったもんじゃない。
だからこその1度きりだ、これで無理なら———一生無理だ!
「手ノ項っ!!!!!!」
極限まで力を高めた拳が、その刃と共に振り下ろされる。
「……なん……だと……?!」
終わりだ、爆剣は折れた、後は振り下ろすだけだ。
「結局貴様なんて、この程———、」
そんなこと……やってる場合じゃ……ないだろう!!
「……いいや、これで終わらせるんだ……っ!」
確実に振り下ろした。
手応えはあった、おそらくソウルレスの活動機関、コアも両断されただろう。
「はあ、は……あ……ふはぁ、は……」
息切れが続く。
まるで鼓動のようにリズム良く、そしてどんどんと早まっていく。
だけど。
「……そう、か、負けたか、私は。……両断———まさか、自分で口走った方法で死ぬことになるとは」
今やるべき事、それは違う、こんな事じゃないはずだ。
イデアさんがさっきも言っていただろう、英霊たちの意志を継いだはず、と。
じゃあ今、この時だって継ぐべきだ。
悲しい。
心の底から、打ち震えて悲しいさ。
今すぐにでも泣き喚いて、もう戦いたくないと全ても投げ出してしまってもいいくらい。
死を弔いたかった。
絶望したかった。
塞ぎ込みたかった。
投げ出したかった。
終わらせたかった。
でも、煮えくり返った腑が、それを許しちゃくれなかった。
そんなつまらない、くだらないことをやっている暇ないぞ、と。
だから戦う。
せめて、せめて———僕に命を繋いでくれて、僕を———最強だと羨んでくれた、貴方に対しての手向けだろう。
そう信じなきゃ、僕は———、
もう何も、信じるべきものがなくなってしまうから———!!!!
「……勝負だ、勝負だ———レイン!」
「まだ向かってくるか、絶対に勝てぬ、それは貴様こそが承知しているはずだろ———」
「勝つ、勝つさ、貴様に勝ってみせる……なぜなら……僕は……!」
炎。
「僕……は、僕は…………!!」
命。
「あの人に、最強だと認められたのだから、だからこそ僕は、今ここでその命を燃やす!!!!」
そうだ、今の僕は最強だ。
イデアさんがそう言ったんだ、他の誰がどう言おうと、僕は最強なんだ。
だから———。
「……貴様に同情の余地があろうとも、僕は貴様を確実に叩き潰す! 貴様は僕が、僕がこの手で殺さなくちゃならないんだ……僕1人の手で!
……だから、だからこそ力を貸してください、イデアさん……!」
神威のコピーを持ち上げる。
あくまで贋作、本来の概念武装の効力など無いに等しい。
それでも、既に亡きその人の形見をもって。
そうして、貴様を凌駕する———!
「うおりゃああっ!!」
「……んんっ!!」
鉄の歪んだ残響音が響く。
既に身体は動いていた。
しかしその刃はレインの爆剣に止められる。
「だからなんだ……!」
すぐさま後退し、背後を取るために風を切って走る。
「身体強化———背水の陣、起動!」
『お前があの背水の陣を使うと言うのなら———魔力回路と魔力器官が焼き切れるぞ?……元々お前は魔力の扱いが下手だと言うのに……』
そう言えば、イデアさんが前にそんなこと言ってたっけ。
関係ない。
ヴォルテージは焼き付いた。
既に、レインの背後を取るように迂回した後。もはや完全に神威コピーを振り下ろす体制まで入ってしまっていた。
「おりゃあああっ!!!!」
音速を超えるほどの速さで振り下ろしたつもりだが———レインはそれにすら反応する。……が、少しばかりその動きには鈍りが見えた。
そうだセン、このまま———敵の弱点を見据えるんだ。……そうして最適解を導き出せ!
それが、それが僕だったろう!
「強制拘束制御用神術式、完全解放。……まさか貴様のようなガキに、全力を出すこととなろうとは」
かまわない。
敵が何をしていようと、今はただ猛攻を繰り返すだけだ。
音と蒸気を上げ変貌してゆく身体をよそに。
そんなこと関係ない、気にしている暇などないと今だけは思考を停止させる。
「ふんっ!!」
敵の刃が重くなる。
いよいよ本当に本領発揮というわけか……!
ならばこっちも、全部出し切るまでだ……!
「背水の陣、強制負担仕様———極ノ項!!!!」
とてつもない、途方もなく大きなパワーが身体の奥底でそのうねりを見せた直後、骨が折れる重い音がした。
強制負担仕様、身体に通常よりも大きな負担をかけて、概念法術的にその魔術の効力を強引に出現させる、禁術……だが。
「どんな手を使ってでも、例え外道に落ちようとも貴様だけは———殺す!」
「……ほお、死亡方法はどれがいい?……斬首か、焼却か、失血か、刺突か、両断か、細切れか、溺死か、孤独か、それとも生き地獄を望むか?」
「どれも……望まないっ!」
1秒にて約30回と繰り返される剣戟。
重い音は鳴る暇すら無く、振り下ろされたエネルギーは風となって周囲の空間を切り裂いていた。
短期決戦だ、ここで決めなきゃ意味がない、ここで終わらせなきゃ意味がない、ここで決着じゃなきゃ浮かばれない!
打ち合った反動により一瞬後退し、再度打ち合うまでの所要時間はおよそ0.2秒。
おそらくヤツも同じだ、だからこうもスピードでもパワーでも上回れない!!
だったら……出力を上げるまでだ。
ぶっ壊れたら———その時はその時だ、後は祈るしかない、今や敵に回った———神様に!
「極ノ項!……脚ノ項、三重同時並行出力!」
この一撃だ、この1回だ、この1度きりのチャンスだ!
「ふ…………ぐはあっ……!」
地面を踏みつけ蹴り飛ばした脚が、確実に折れるのが分かる。
それも確実に芯からだ、複雑———どころか粉砕骨折、筋肉だってどうなってるか分かりきったもんじゃない。
だからこその1度きりだ、これで無理なら———一生無理だ!
「手ノ項っ!!!!!!」
極限まで力を高めた拳が、その刃と共に振り下ろされる。
「……なん……だと……?!」
終わりだ、爆剣は折れた、後は振り下ろすだけだ。
「結局貴様なんて、この程———、」
そんなこと……やってる場合じゃ……ないだろう!!
「……いいや、これで終わらせるんだ……っ!」
確実に振り下ろした。
手応えはあった、おそらくソウルレスの活動機関、コアも両断されただろう。
「はあ、は……あ……ふはぁ、は……」
息切れが続く。
まるで鼓動のようにリズム良く、そしてどんどんと早まっていく。
だけど。
「……そう、か、負けたか、私は。……両断———まさか、自分で口走った方法で死ぬことになるとは」
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