Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

Side-セン: 無題。

「いいか、いいか?!……は最強だ、そう信じろ、いいや事実がそう示している!

 ……お前が本当の本当にとびきりの全力を出せば、間違いなく———この宇宙で1番強いはずだ、だから———!」


 僕がこの宇宙で1番強いはず、かあ。

 そんな言葉、聞くことになるとは思わなかった。
 期待されていなかったんじゃない、確実に期待されていた、むしろ切り札とまで思われていたんじゃないか。

 そうだ、立たなくちゃ。
 うじうじしていたって仕方ないって、とうの昔に分かりきっていたはずだ。
 結局は僕の気の持ちようだ、そんなくだらない課題だったんだ。

 なんで見失っていたんだ、僕があの地獄の戦場から持ち帰ったのは、絶望なんかじゃない。



 そうだ、次に———僕に託されたんだ。
 僕たちに、全てを終わらせてもらうために。

 無理だと、戦場でそう判断した瞬間から、彼らの意志は僕の保護に移っていて、その為にみんなは庇ってくれたんだから。

 ありがとう、ここまで———結局僕は、貴方に頼りがちだったけど。

 それでも、もう俯かない理由はできた、いいや




 再燃だ、再点火だ。
 命の炎は再び燃え上がる。
 何者にも邪魔されず。
 何事にも拒まれず。
 少年は再起する。
 期待と、不安と、恐れと、絶望と、戦慄と、怒りと、意志を背負って。



「………………やります、僕……やってみせます、もう思い留まりません、もう迷いません、最後まで走りきって、そして———」





 紅く、染まった。


「うわあああああああああああああああっ!!!!!!」

 いいや、紅く染まったのは———視界の真ん中だけだ。

 じゃあ、いや、なんで紅く染まった?


 恐る恐る下へと目をやる。
 現れていたのは、僕の身体をまるで両断するように縦に伸びた血の跡。
 でも、僕は何も———外傷はないんだ。

 見たくなかった。
 僕が、僕自身が。
 ようやく決意を固めて、ようやく奮起したのに、それが崩れてしまうのが嫌だったから。


「ああああああああああああっ!!!!……あああ、あああぅ……ああぁっ!!!!」
 
 目の前で———果物のようにばっくりと、2つに割れゆく身体を両手で支える。
 それらをゆっくり左手に寄せ、自らの身体に飛び散った肉片を右手で掴み取る。
 
 一瞬にして流れるように落ちていった腸の破片を集めて、それらを凝視しながら。

「あああああ……ぅ……あああ……」

 そんなことしたって、どうにもならない事こそ———僕が1番知ってるっていうのに。



 そんな簡単に立ち直らせてくれるわけがないだろう。

 僕にあそこまでの受難を浴びせてきた現実が、そんな簡単に再起のチャンスをくれるわけ、なかったんだ。

 どうせさっきのだって、もう一度完膚なきまで叩きのめされれば、その想いは挫かれていたんだ。

 だって、僕は、弱いから。



 でも、今回は、今回ばかりは許されなかった。

 もう今回は、戻ってこない。
 前のように、身体を共有させていたから生きていた、だなんて甘い現実は微塵も存在しないんだ。

 だから。


 だから、僕は、許さない。
 




 絶対に。


「終わらせよう、ロストとなって生き地獄を味わせる事も、その首を差し出すことすらできそうにはないがな」


「…………本っっっっっ当に、どこまでも」

 煮えくり返ってたまらない。

「やってくれたな…………レインっ!!!!!!」
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