175 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
戦線復帰……?
しおりを挟む
遡る事約1時間前。
未だ歩き続けていた、白とカーオ、アテナの3人はと言うと。
◆◇◆◇◆◇◆◇
********
「……で、こっちで合ってんのか?……歩き始めて何時間だ……?」
「残念ね白ちゃん、まだ15分しか歩いてないのよ」
「あぁっ?!……嘘だろ、たった15分でこんだけ疲れるなんて……」
そうだ、俺自身数時間歩いたと思えるぐらい疲弊している、足も腕も、どこかしこ全てパンパンだ。
それに、数時間歩いたって思えるぐらいの証拠はもう1つあった。
「……いや、だって……空……見てみろよ、もう夕方だぜ……?」
青空のみが広がっているのではないかと、ふと見上げたその空は、既に日が落ちる寸前だったのだから。
既に落ちゆく暁、それに比例して伸びてゆくオリュンポス外壁の影が、少しの瓦礫以外消し炭と化した荒野へと落ちゆく。
その影と瓦礫を踏み分けて歩く白たち3人。
……が、それに近づく、不穏な人影。
「あわわわわわぁっ!……ぶつかる、ぶつかります、避けてマスターっ!」
「会いに来たぜぇ、人斬りっ!」
……は?
俺の眼前を覆い尽くしたのは、2つの人影だった。
それも、1つはとても巨大で、もう1つは———それの腕にくっついてきたようなものだが。
「んうっ!」
すぐさま神威を振り上げ、もう1つの人影に当たらないように、その振り下ろされた巨腕を食い止める。
「よぉ、昨日ぶりだなぁ……白さんよぉ」
「貴ぃ様かっ、クラッシャー!…………で、横の……何?」
「あうううう……」
……で。
「なあ、コック。なんでお前———クラッシャーの腕にくっついてた?」
そう、その『もう1つの人影』はコックだった。
……いやいや、これまた何がどうなっている?
「はうううう……まさか、まさかまさか、この機巧天使コックver.2ともあろうものが、こんな下等生物に、あっさりと……捕らえられてしまうとは!
我が生涯において1番……いや3番目か4番目を争うぐらいの屈辱……許すまじ!」
「……まあ、コックはおいといて……クラッシャー、お前は今まで何をしていた?……てっきり俺はお前がセンと同行しているものかと———」
「俺が何をしていた、かあ?……テメェらが取り逃した、『機神アフロディーテ』の討伐作業に決まってんだろ。……コイツもそれ関連だ」
心底ダルそうに、クラッシャーが左手で指した指の先には、未だに文句を垂れているコック……ver.2が。いや、冷静に考えたらver.2って何だよ。
「……とりあえず、機神討伐に関しては……ありがとう。そこに関して何か言っても仕方ないしな、いくらお前が気に入らない奴とは言えど、だ」
「利害の一致があっただけさぁ。近いうち、テメェもそれを痛感させられるだろうからなあ……!」
……意味深だな、でも今はそれを気にしている場合じゃない。
「———で、お前らはどこに行く予定だったんだよ?」
「どこか、だってえ?……βポイント、それが俺たちが行くべき場所なんだよ……」
クラッシャーが言ったその場所———おそらく、そこが……!
「って事は、お前ら———どこでみんなが戦ってるのか知ってるのか?!」
「ええ、ええ、そうですとも! このコックver.2には、魔力探知で人物位置座標特定なぞ昼飯前なのですから!」
朝飯前ってわけでもないのね。
「……よし、ならばβポイントに出発だ!……いいよな、みんな?」
完全に沈黙を貫いていたカーオとアテナの方に振り向いてそう告げる。
「返事がない……って事はいいってことだよな?」
未だ歩き続けていた、白とカーオ、アテナの3人はと言うと。
◆◇◆◇◆◇◆◇
********
「……で、こっちで合ってんのか?……歩き始めて何時間だ……?」
「残念ね白ちゃん、まだ15分しか歩いてないのよ」
「あぁっ?!……嘘だろ、たった15分でこんだけ疲れるなんて……」
そうだ、俺自身数時間歩いたと思えるぐらい疲弊している、足も腕も、どこかしこ全てパンパンだ。
それに、数時間歩いたって思えるぐらいの証拠はもう1つあった。
「……いや、だって……空……見てみろよ、もう夕方だぜ……?」
青空のみが広がっているのではないかと、ふと見上げたその空は、既に日が落ちる寸前だったのだから。
既に落ちゆく暁、それに比例して伸びてゆくオリュンポス外壁の影が、少しの瓦礫以外消し炭と化した荒野へと落ちゆく。
その影と瓦礫を踏み分けて歩く白たち3人。
……が、それに近づく、不穏な人影。
「あわわわわわぁっ!……ぶつかる、ぶつかります、避けてマスターっ!」
「会いに来たぜぇ、人斬りっ!」
……は?
俺の眼前を覆い尽くしたのは、2つの人影だった。
それも、1つはとても巨大で、もう1つは———それの腕にくっついてきたようなものだが。
「んうっ!」
すぐさま神威を振り上げ、もう1つの人影に当たらないように、その振り下ろされた巨腕を食い止める。
「よぉ、昨日ぶりだなぁ……白さんよぉ」
「貴ぃ様かっ、クラッシャー!…………で、横の……何?」
「あうううう……」
……で。
「なあ、コック。なんでお前———クラッシャーの腕にくっついてた?」
そう、その『もう1つの人影』はコックだった。
……いやいや、これまた何がどうなっている?
「はうううう……まさか、まさかまさか、この機巧天使コックver.2ともあろうものが、こんな下等生物に、あっさりと……捕らえられてしまうとは!
我が生涯において1番……いや3番目か4番目を争うぐらいの屈辱……許すまじ!」
「……まあ、コックはおいといて……クラッシャー、お前は今まで何をしていた?……てっきり俺はお前がセンと同行しているものかと———」
「俺が何をしていた、かあ?……テメェらが取り逃した、『機神アフロディーテ』の討伐作業に決まってんだろ。……コイツもそれ関連だ」
心底ダルそうに、クラッシャーが左手で指した指の先には、未だに文句を垂れているコック……ver.2が。いや、冷静に考えたらver.2って何だよ。
「……とりあえず、機神討伐に関しては……ありがとう。そこに関して何か言っても仕方ないしな、いくらお前が気に入らない奴とは言えど、だ」
「利害の一致があっただけさぁ。近いうち、テメェもそれを痛感させられるだろうからなあ……!」
……意味深だな、でも今はそれを気にしている場合じゃない。
「———で、お前らはどこに行く予定だったんだよ?」
「どこか、だってえ?……βポイント、それが俺たちが行くべき場所なんだよ……」
クラッシャーが言ったその場所———おそらく、そこが……!
「って事は、お前ら———どこでみんなが戦ってるのか知ってるのか?!」
「ええ、ええ、そうですとも! このコックver.2には、魔力探知で人物位置座標特定なぞ昼飯前なのですから!」
朝飯前ってわけでもないのね。
「……よし、ならばβポイントに出発だ!……いいよな、みんな?」
完全に沈黙を貫いていたカーオとアテナの方に振り向いてそう告げる。
「返事がない……って事はいいってことだよな?」
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる