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第247死 機械天使vs丘梨栄枯

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 天空の橋渡る銃撃戦。

 銀翼の機械天使は舞い飛び、黒と黄の長身は疾走しながら振り切れない小隊を迎え撃つ。

 罪人を徹底的に追う天使たち、丘梨栄枯が構えた指先は鋭くその翼を穴開け撃ち抜いていった。

 銀色の弾丸とエメラルドの閃光交わる────。

「地を這う人間のくせにィィィィ」

「どうせ死んじゃう人間が何故私たちの邪魔をするうううう」

 突撃銃と腕に内蔵した小型ガトリングを乱射しながら左右から2体の天使は仕掛けてきた。

 狂気のスピードに乗るこれらに対して橋から隆起させた巨手のパーで進路を塞いだ。驚き迫る天使たちの電磁タケ槍はその巨手の障害に刺さり。慌てて上昇した2体を──乱れる10のエメラルドの閃光が天を眩く貫き、ラッキーにも撃墜。

 2つのパーは盾であり砲台の役割を果たし──その直後。

 真正面から難なく担ぐバズーカをかまし────、更にそのイチゲキを受けて後退した丘梨栄枯を追い討ち、電磁レイピアを抜き仕掛けてきた。

「人間の女がそのようなチカラを出すナァァァ死ねェェ」

 重い一刺をブラックな刃は受け止め衝撃で橋の外へと──チンキスブレードのチカラを行使。背にした刃から推力を得て橋へと舞い戻った。

 更に続く連続突きと鋭い切り払い。舞い降り地に脚つけた機械天使のレイピアとブラックな包丁が打ち合った火花咲かせる八合のやり取り。

「ごたくを並べる機械天使のようですがッパーツを取り換えれば死なないとでもおっしゃいたいのですかッ! ええッ!」

「そういう変革の無い高く聳えた傲慢さがこういう悪天の事態を招いてるんだろォォニンゲンの女! MOTHERの忠告を散々無視して!」

「ナニかとてつもない勘違いをしているようですが私は何もッあなたのことを知りませんよっ! ふふ、はじめまして丘梨栄枯ですチンキスッ!」

 地を鳴らし踊る4本の脚、幾度も激しく打ち合い自己紹介もなしに互いの刃を通して馴染んでいったスキル、チンキス。

 銀色の機械天使は死電子のチカラにその身を拘束されて、突き刺そうとしたレイピアを右手にしたままギリギリと力を込めて抵抗する。

「なんだこれは電磁兵器!?」

「チンキスですチンキス!」

「動けなッ!?」

 プラチナロールのポニーテール、個性的な髪型をした美しい造形は言われなければ機械天使とは分からない程の────、そんな強張る強気の表情のガーネットの瞳を丘梨栄枯は星色の瞳で見つめて。

 くすりとワラい左脚に力を込めて踏ん張った。

「歯ではなく腹筋を食いしばってください! 機械でもおそらくべらぼぅに痛いですよ!」

「なにをおおおおふぐっ!? ────」

 真っ直ぐ────橋を越えた向かいの円形ポールへと突き刺さった。


 しなり鮮やかに躍動した長い右足の一刺を鉄の腹筋にもらってしまった、その美形機械天使。

 轟音は遠く鳴り響き、粉塵に浮かぶ両翼を閉じたシルエット。

 やがて────。よろよろと起き上がりエラーの無い事を確認して飛翔した。

 やはり予想通り向かって来るその強気の鳥の影を、橋の中途で佇み目で追う丘梨栄枯は、

「第二ラウンドはお断りですよ、喋れるモンスターさんとの喧嘩はさっきで私の勝ちの終わりです、ええ、できればこの訳の分からない戦闘経緯と状況を説明してください、ふふ、可愛らしい腹筋はご無事なようで」

「だれがモンスターだこの地球にとって自由意志の冒涜を続けるモンスターはノロマな歴史だけを誇る我々への対応を先延ばしにしてきた貴様たちだ」

「どういうことですか? 全くあなたはおかしな事をおっしゃるのが得意なようで、たかがイチ人間のダンジョンに迷い込んだだけの私に対して何故そうも血気盛んに襲い掛かってくるのです、ええ」

 宙に待機して対峙するプラチナ髪の機械天使。見上げるお喋りと見下げるお喋りがつづき、表情を歪ませる天使はレイピアを払い丘梨栄枯の要領を得ない雑言を斬り払った。


「ッナニも知らないのか! 馬鹿なヤツ、いくら新兵器を造ろうが大義の無いマザーレジスタンスなど無駄な足掻きだ、せいの指導者MOTHER・Eはいつも正しく我々の方を味方した! お前たちは機人から権利を奪いつづけあげくはMOTHERにまで干渉し都合の悪い決定を捻じ曲げようとしたッ、既に悪行の記録は世界に公開されもはやレッドカードでは済まない淘汰されるべき悪性種のお前たちに一つとて逃げ場はない愚かな旧人類! ッ……これで知れたかッ! このデータは持ち帰らせてもらう! 私はマザーアーミー直属EX部隊第2小隊長のダブルエリザベス永遠湖、その少ないメモリーで正しくインプットし覚えていろッ次はこの手で討つ、オカナシエイコ!」

 おもむろに宙をすべらせて向けたレイピアの切っ先はその不思議な星色の瞳に向けて。

 味わうように振り払い、プラチナの豊かな髪揺らす機械天使は丘梨栄枯の頭上を抜けて飛び去っていった────。

「────ダブルエリザベスとわこ……? ふふ、なんなんですその覚えやすい芸名は…………ええ」

 これ以上考える事はあるが、青い空を追う手段もなく。

 その目で消えるまで見送る銀の鳥人間。

 そして────。その天使の撤退と合わせたかのようにタイミング良く、橋の先のポールに黒い戸が現れていることに気付いた。

 丘梨栄枯は唐突な出会いと戦闘と色々と自分なりに意味を考えようとしたがそのインパクトのある名前に邪魔されながら……反芻しながら……向こうのポールのエレベーターを目指してその脚は立ち止まらずに進んでいく。
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