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本編
【7】初めてのCommand
しおりを挟む熱い。熱のようなGlareに身体が包まれる。こんなにも心地の良いGlareを感じたのは初めてだ。
今までだと、相手が出す糸のように細いGlareを、神経を研ぎ澄ませて感じ取らなければならなかったのに。
何もせずとも身を委ねられる程Glare。理性を溶かすそれにオレは一瞬で意識をさらわれた。
「有坂さん、有坂さん。大丈夫ですか?」
声を掛けられて、オレはぼんやりと声の方を見上げた。首が痛くなるくらい見上げて、ようやく視界に久我の顔が入る。
オレはさっきソファに腰掛けたはずなんだが。思ったより久我の顔が近くて高い所にある。
「オレのGlareに蕩ける有坂さんとっても可愛いです。でも、ここだと座り心地が悪そうなので、ちょっと移動しますね」
座り心地?
不思議に思いながら目線を下に向けると、オレは部屋の入口に立った久我の足元に座り込んでいた。
久我のGlareを浴びただけで、オレは無意識に再び部屋の入口まで移動してKneelをしてしまったのだろうか。
相性が良い相手なら、CommamndがなくてもGlareを浴びるだけで気持ちよくなれると聞いたことがあったけれど、そんなのは都市伝説だと思っていた。少なくとも、Glare不感症のオレには関係のない話だと。
長冨とのプレイですら、オレは長冨のGlareを意識を集中させて探って、Commandに注意深く耳を澄まさないと成り立たないのに。
今、首に巻いている首輪は、服従姿勢をとるためのおまじないのようなものだ。学生のときに雑貨店で自分で買った安物のアクセサリー。それを首に嵌めて、自分はDomに服従するSubなんだと言い聞かせていた。
だけど、今までの苦労が馬鹿馬鹿しくなるほどの圧倒的なGlareに、軽い興奮と酩酊感を覚える。気が付いたら、オレと入れ替わったように久我がソファに座っていた。
「座るならそんな固いところじゃなくて、こっちのフワフワなところにしてください。あと、もう少しGlare出しても大丈夫ですか?」
ソファの足元には、毛足の長い白いラグが敷かれている。ニコニコと微笑む久我をぼんやりと眺めながら頷いたら、またGlareに包まれた。
心地良さにふらふらと、発生源を求めてオレも移動してしまう。
「Command出してないのに、KneelとCrawlしてくれたんですね。嬉しいです。Good Boy。有坂さん、何がしたいですか? 有坂さんのしたいこと、なんでもしていいです。上手にできたら、また褒めてあげますよ」
久我が何を言っているのかよく理解できない。
でも、何をしてもいいって言われたのはわかった。理性が溶けて、本能のままに欲を求め身体が動く。
オレは這い寄ったまま、久我の足元に跪いた。
頭を下げて久我の足に擦り寄る。ピカピカに磨かれた革靴のつま先に、唇でそっと触れた。
目の前の男に服従したくてたまらない。こんな感覚、初めてだった。
「とっても可愛いです。有坂さんは、いい子ですね。今日はオレから撫で撫でできなくてごめんなさい。有坂さんは自分で気持ちよくなれるように、好きに動いていいですからね」
頭を撫でてもらえないと聞いて、拗ねたい気分になる。自分で、触れるなという制約を設けたことすら頭から抜け落ちていた。
一番気持ちいいところはどころだろう?
足元から膝、太ももと下のほうから順番に、身体全体を使って擦り寄って探していく。
顔を股間に寄せて、美味しそうなものを見つけた。これが欲しい。でも、この布……服が邪魔だなと思った。
「有坂さん、Stop」
久我のスラックスのベルトに手を掛けたところで、初めてのCommandが飛んできた。
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