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【7】夏の巣作り / オメガバース
しおりを挟む「おい、ハルマ! 大丈夫か!! しっかりしろ!!」
愛しい人の声に僕は目を開けた。
気合を入れて作った愛の巣は、汗でぐっしょりと濡れていた。
「あ……カネヒコさん、おかえひなはひ……」
身体を起こして挨拶したつもりだったけれど、僕はカネヒコさんの服に埋もれてたままだったし、呂律も怪しかった。
だけど、カネヒコさんからとってもいい香りがしている。
僕が作った巣を見て、欲情してくれたのだろうか。
早くセックスがしたい。
そう思ったけれど、僕の身体は鉛のように重くて腕を持ち上げることすらできなかった。
「夏の巣作りのときは、絶対にクーラーをつけろと何度も言ってるだろう!」
せっかく作った僕の巣から、コートにセーター、マフラー、手袋なんかが掘り出され、ポイポイと投げ捨てられていく。
「ああ……」
冬物のほうが生地が分厚いから、少ない材料で立派な巣ができるのに!
しかも、せっかくの力作を破壊されるなんて! これは、脱ぎたてホカホカのパンツでも貰わないと割に合わないと思う。
「なんてことしてくれるんですか。せっかく作った巣をこんなボロボロにしてしまうなんて……責任取って、着ているものを今ここで全部脱いでくださいねっ」
そして、早く僕を抱いてください。
そう言おうとしたけれど、鬼の形相のカネヒコさんは、僕にその言葉を言わせてくれなかった。
「てめー、ふざけんな。脱水症状起こしてんだろーが! 次の巣作りをする前に、まずは水分補給をしろ!」
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