転生しました。(異世界転生はいいが、自重しろ)

如月優

文字の大きさ
12 / 15
はじめてのおつかい

おつかいだ~♪

しおりを挟む
 てーてててててーてててー♪

 てーてててーててれってー♪

わかる人はいるだろうか。

 前世の時によく見て癒されていた、あのお使いのBGMがうろおぼえのぼやぼやながらに頭の中で鳴り響いている。


ちなみに、絶対に間違えている。


まあ、気を取り直して…

あはは~。


おつかいだ~。


わーいわーい。 

 

 どこかで持たされたかごを片手に鼻歌交じりでスキップしながらるんるん気分に…………

………………………………………


……って

「なるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

­­ 
­­かごを持っていた右手を思いっきり振りかぶり、地面にかごを叩きつける。

    俺の大声と、叩きつけられたかごの壊れる音に、周りにいた人々の殆どが振り向いた気がするがそんなことは重要ではない。




 ………ごめんなさい。嘘です。怖いです。


 ああ、周りの目が冷たい………。

 いたたまれなくなった俺は比較的人の少ない路地裏に逃げ込んだ。

「と言うか、ここはどこなの…。俺、今絶賛迷子中なんだけど?子供ひとりで、街の中にポツーンとか、何考えてんの。いや、まじなに考えてんの?あの神様たち。何なの?馬鹿なの?」

 なんて悪態をつきながら、そっと路地裏から顔を出し、キョロキョロと周りを見渡す。

 ほんと、ここどこなんだろう。本探しなら、図書館とかにしてくださいよ。思いっきり、街中に落としてくれるとか何してくれちゃってんの?しかも、言葉通り、本当に『落された』し。

 空の上から、ドスンッて落とされるなんて全く想像してなかったものでね!
 すっごく痛かったんだからね!泣くよ??もう俺泣くよ?
 周りが気づいてないのが奇跡だからね??
 何なの?これも魔法なの?凄いな、魔法。万能だな。しかもよく見れば怪我もないし…。


 何だか、さっきまで悪態ついてたのが申し訳なくなってきた………。


 ごめん。神様……。

 うん。なんだか、心が痛いよ……。

 い、いや、今はまずこの迷子状態を何とかしなくちゃ!

 そんなことを思っていた矢先の出来事だった。

後ろから知らない男とぶつかった。

と、言うか相手からぶつかられた。

 相手は、俺が会ったことのある人たちの中でも群を抜いて大柄で、俺は吹っ飛ばされてしまった。

 あーあ、折角路地裏から出ようと思ったらこれですか…。

 相手は俺との身長差では俺とぶつかるはずのない腕を抑えて「いってぇ…。」なんて言ってるけど…

「(それを言いたいのはこっちだよ!!!)」

 そんなことを考えながら相手を睨む。
 「いってぇ」とか言っても、嘘なことなんか丸わかりなんだそ!むしろこっちが痛いわ!全身がほんとにいってぇ…って感じだわ!!!
 ………何言ってんだ、俺。

 今はまぁ、とりあえず。こいつをどうするか…だよな。いや、どうするも何も俺みたいなただの子供がこんな大柄な男に叶うはずないのだか…。

 さぁ、俺の頭の中にはゲームでありがちな選択肢が浮かんでいる。

《チンピラ風の大柄の男Aに捕まった!!
 さあ、どうする?》

▽戦う
▽仲間にする
▽逃げる  ←


 ここは……逃げるが勝ちだ!!

 ガシッと首根っこを掴まれた感じがする。

「逃がすわけねーだろうが」

《チンピラ風の大柄の男Aに捕まった!!
 さあ、どうする?》

▽戦う
▽仲間にする
▽逃げ……逃げられない!!!←

「もう逃げられねぇなぁ、ボウズ。さあ、大人しくついてこい。お前ならきっと気に入ってもらえるさ。何たってこんな綺麗なもんを好きなようにできる、またとない機会なんだからよぉ。変態たちがこぞってほしがるだろうよ。俺も金をがっぽり儲けられるし、今日はいい日だな」

 俺にとっては、とんだ厄日だよ!!
チンピラ風の大柄の男Aは未だに俺の方を見てニヤニヤしてるし!!
 つか、首根っこつかむのやめてよ!結構苦しいんだよ!?あと、なにげに手を拘束するな!目隠しすんな!怖いんだよ?!

 ねぇ、神様…。俺、さっき神様に起こったこと反省したけど、やっぱり怒る。
 よくこんなやつのいるところに落としてくれたな!!、今すぐ助けろくださいいいいいいいい神様たちのばかぁぁぁぁぁ!!!

「おい、そこのクズ。その汚い手を離せ」

 低くて、よく耳に残るのに、透明感のある声。どこか現実離れまでしていて、特徴的だけど、全く耳障りにならない不思議な声。

 何処ぞのチンピラは、この声の持ち主に怖気っいて逃げてしまった。

 そして、この声の持ち主に俺は心当たりがあった。
 目隠しをされるから、目は見えないけどそれでも分かる。
 ただ、こんなに感情を露にするような人だったか。それが引っ掛かりはしたけど。


 あの時の、俺を助けて神様たちのところまで強制連行した美人さん………だよね?
 なんでここにいるの?

「私は、最初からいましたよ。ユウジン。あなた、私がいるのに気づいていなかったでしょう?」

 横の方からそんな誰かの声が聞こえた。

 さっきとはまた違った低いけど、まだどこか、幼さが残るような、透き通った綺麗な声。


 やはり聞き覚えのある声だった。


 目隠しを外された瞬間さっと顔を横に向けて、声の主を見つけてつい少し笑ってしまった。

 そこにあるのはやはり、見覚えのあるとても美しい男…。

「先ほどぶりですね、ユウジン。私の事を覚えていらっしゃいますか?」

 その男が期待に満ち溢れた顔でこちらを見る。

 その顔や声を聞いて、俺はどこか呆けたような顔をしてしまった。

 何だか、俺の記憶してる人物とはイメージが違いすぎて、信じられないというか………。

 「あら?………もしかして先ほどのドタバタもありますし、……私のことをもうお忘れになってしまいましたか?」

 その美しい男は、期待に満ち溢れたにこにこにこにこ……と、嬉しそうな顔からしゅんとした顔に変わる。

 ああぁぁぁ!!そんな顔しないでくれ、頼むから!ほんとに申し訳なくなるから!!いたたまれないから!ほんとに!!!!!


と言うか!!


「忘れてないよ!ただ、最初にあった時と随分印象が違ったから慌てちゃって………。それで、ショック受けちゃったなら、ごめんなさい…。


俺は、その美しい男向かって頭を深く下げて謝った。

    ✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄

おはようございます!!こんにちは!!こんばんは!!

遅くなってしまいすみません!!

試験も終わり、少し安定してきたところでまた書いていこうと思います!!

ですが、これから学校、仕事、習い事、舞台と忙しくなるため更新は今までどうりゆっくりです。その点はほんとにごめんなさい。

本日はリハーサル前に少し時間が出来ましたのでこれを書き上げました。 

なので変なところがあったらビシバシ指摘してください!!

これからも、ゆっくりですが更新していくのでよろしくお願いしますm(_ _)m
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜

小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。 死因は癌だった。 癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。 そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。 死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。 それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。 啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。 挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。 インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。 そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。 これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...