転生しました。(異世界転生はいいが、自重しろ)

如月優

文字の大きさ
13 / 15
はじめてのおつかい

綺麗な人外には謎がある

しおりを挟む
 俺はあの綺麗な男に頭を下げて謝った。それはもう、思いっきり腰が折れてしまうのではないかと言うほど。

 大人がやると少し見苦しいこの行為も、まだ子供である僕がすると、とても可愛らしく見えるから不思議だね。

 ………何自分で言ってんだ俺。

「……­­ふっ」

 上から微かに、しかし明らかな吹き出す音がして俺は頭をあげる。

 今でもクククッと、笑いを押し殺した声が聞こえる。

 おい?と思いながら少し頭をあげて見ると、そこにはやはり、あの美しい男がいた。

 ただやはり、何処か違和感があった。

この男はこんなに感情を露にするような男だったか?今までこの男と話した時のことを思い出しても、そんなことはなかった気が…


『これからすぐ分かることになる。嫌でもな。』

 …………あー。


『誰ひとりとして、ユウジンを傷つける奴は、許さない。』


 ………あー、うん。勘違いだったかも。結構感情出してるところ見てたや…。
 
 あーいや!でも、なんか違う!!さっき言ったのとかは取り敢えずどっかの棚に置いといて、というか、思いっきり投げ捨てといて。
 本当にこの美しい男は、こんな男だっただろうか…。いや、そんなはずはないはずだ。…多分だけど。

 ちらっと、男の顔を覗いてみる。
 笑い過ぎたせいだろうか、瞳には涙の膜が浮かび、顔は少し赤く火照っている。

 ふと、男はこちらに気づくと、尋ねるかのように首を軽く傾げた。

 その瞬間俺はグリンっと首を逸らした。

 やっぱり違う。絶対に違う。こんな感じじゃなかった。もっと、むっとしていた…というのとは違うけど。

 前の誘拐事件の時、その時は、なんというか、人間味のない…例えば能面のような、はたまた、仮面のような顔をのっぺりと貼り付けたような顔だったのだ。

 心情が、感情が、雰囲気が、周りに伝わることはあっても、それが己の顔にまで出てくることは1度もなかったのだ。

 いつもクールなポーカーフェイスで、淡々としていて、俺のよく知る人間味のないあの美しい男では無いようだった。

 今までのあの男は、例えるならばくらい夜の街に街の建物、喧騒、人の心さえもまるで自分の知るところではないように月や、星のみに見守られ威風堂々と飛び、舞う美しい蝶のような人だった。…そう、だったはずなのだ。

 その印象と、今のこの人はまるで違った。

 例えるとするならば、たくさんの花に囲まれて、たくさんの日の光を浴び体に貯めて、まるでそれを勝てとしたように悠々自適に飛び回る蝶のようだと思った。


 同じ美しい蝶であってもそのふたつの蝶は、明らかに違う。違和感がある。
 

 それが例え、全く同じ色で、同じように飛ぶ全く同じような蝶だとしてもだ。


 その違和感が、今まさに目の前の男にあるのだ。


 とうの男は今でも変わらずににこにことこちらを見ている。

 やはり違う。

 この男は、一体誰だ。何者なのだ。

 ………謎だな。

✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄

こんにちは。お久しぶりです!!
長い間、更新しておらず、ま申し訳ありませんでした。
これからものんびりペースで頑張るのでよろしくお願いしますペコリ((。´・ω・)。´_ _))
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜

小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。 死因は癌だった。 癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。 そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。 死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。 それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。 啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。 挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。 インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。 そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。 これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...