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第八章.みんな可愛い私の弟妹
94.舞踏会
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またみんなで、お出掛けをすることになった。
毎日欠かさず充電してたので、電池切れは多分ないだろうし、あれは村の副業だ。そんなにストイックに機械を動かす予定はない。ガンガン仕事をしたところで、多分、卸す先こそ決まっていない。少々止まっても差し支えない。だから、仕事から逃げてきた訳ではない。博士の魔法教室から逃げてきたのだ。
毎日毎日終わりなく積み上げられる呪文のメモ書きに、嫌気がさしたのだ。風魔法と大地魔法は、無詠唱で発動ができるのだ。その2つなら、いくら教えてくれても構わないが、水魔法と無属性魔法を覚えるのが、ツラい。飲み水を出せる水魔法は、覚える気になったが、水の力で物を切り刻む魔法とか、むしろ怖いから覚えたくない。攻撃するにしても、もう少し穏便な物にして欲しい。物騒なのは、カマイタチだけで充分だ。
「さあ、ドレスに着替えたよ。闘技場は、どこだね?」
お母様関連の何かと言えば、ドレスが鉄板だ。また緑のドレスかと思っていたが、今日は、白だった。白いロココ調のドレスだ。真っ白のアントワネットだ。ゴスロリ王子がいいと言ったのが、いけなかったのかな。レースとリボンが満載で、可愛いと言うより、重くて仕方ない。十二単に比べれば軽いかもしれないが、重い物は重い。運動不足で怠け者な私には、向いていないドレスだ。着替えて即、ジョエルに運んでもらおうかと思ったくらいだ。
「折角めかしこんだのに、何言ってんだ。闘技場で何するつもりだ」
「そろそろ夜だよね。こんな暗くて見えるのかな?」
「だから、何の」
「シャルルは、お母さんの乱闘を楽しみにしている。武闘会は、夜には開かれないだろうにな」
「武闘会に、ドレスはいらないだろう」
「武闘会の観戦は貴族の嗜みだから、正装が必要なんだそうだ」
「なんでお前は、間違いに気付いてるのに、訂正してやらないんだよ」
「出かければ、散歩の時間がなくなるからな。魔法の特訓時間が伸びるだろう?」
「それが嫌で逃げて来てんだぞ、きっと」
「知っている。だが、逃がさない。兄として」
「そうか。頑張れ」
「舞踏会って何? 聞いてないよ!」
煌びやかな夜会の部屋に着いて、初めて知った衝撃の事実! こんなところに来て、何をしろって言うんだよ。
「言ったよ。やめた方がいいって、言ったよ」
「お前は、そこの兄の罠にかかったんだよ」
「お姉様、一緒に踊りましょうね」
「ごめんね、レクシー。私は、立ってるだけで限界なんだよ。歩いてるだけで、限界突破なんだよ。教えてもらっても踊れないよ」
「何しに来たんだろうな。魔法の特訓以外、何もできないな」
シュバルツの野郎! 本当に、最近、可愛くない。どこで育て間違ったのだろうか。無表情か、悪巧みしてる顔かの2択なんだよ。愛想がなくなった。
「タケルと一緒に壁の花になってるから、いいよ。みんなで踊ってきて。見てるから」
「タケルじゃダメだ。そいつは、大人になる気がない。俺といろ。どうせ俺は、踊りなど知らん」
服だけはお付き合いしてるのに、キーリーは私の仲間だったのか。何しに来てんだよ。
「お姉様は、あたしがご一緒します」
レクシーは、私とお揃いの黄色のドレスだ。姉妹っぽいよね。お母様、ありがとう!
「お前じゃ、ダメだ」
「なんでですか!」
「より一層、男が寄ってくる言い訳にしかならん。シャルルを甘く見るなよ?」
「それを言うなら、俺の方こそ適任じゃないか? クロに勝る美貌はない。足元にも及ばない輩は、全て排除してやろう。そのために、染めずに来たんだ」
そうか。村を出てきたら、誘拐対策が必要なのか。折角遊びに来たのに、皆様のお手を煩わせるのは、申し訳ないね。魔獣はダンスなんてしないと思うし、タケルだけいたら良いと思ってた。
「あのさ。私、今日、茶髪だよ? 誰にも声なんかかけられないよ」
うちの保護者は、皆過保護だ。私は、ただの役立たずであって、黒髪さえ失われれば、見るところのない一般人だ。放置しても問題ない。迷子にならないくらいの自制心はある。
「そんな訳ないだろう。ここは、ナンパ師の集まりみたいなもんだぞ?」
なんですと? 海だって、誰もそんなことは言ってなかった。
「え? みんな、ナンパに来たの?」
「ナンパに来たのはお前で、俺たちは全員、お前の保護者だ」
私が、ナンパ師だった! マジか。誰をナンパしたらいいんだろう。
折角来たので踊りが見てみたい、とお願いして、ジョエルとレクシーをダンスの輪に放り込んだ。私は、イスを借りて休憩だ。
2階席みたいなところに、座るところを発見したのだ。スタートから座ってる人なんて、私くらいしかいなかったが、1階で誰かに抱っこされてるよりは、目立たないだろう。
「すごいね。レクシー可愛い」
「お母さんは兎も角、パン屋が踊れるとは思わなかったな」
ジョエル王子の先導があってこそなのかもしれないが、笑顔でくるくる踊っているレクシーは、とてもキュートだ。この会場で一番可愛いのは、レクシーだ。異論は認めない。
「街で人気の習い事だ、って言ってたよ」
ふわふわした気持ちでレクシーを眺めていたら、人が近付いてきた。
「是非、私にともに踊る栄誉を下さい」
うわぁ、流石、ナンパのメッカ。変な人が、やってきた。私に向かって、手を差し出して、かしずいている。何コレ。どうやって断ったらいいの? こんなことが起きるなら、断りの常套文句を聞いておけば良かった。
「これは、俺の妻だ。気安く声をかけないでもらおうか」
黒髪シュバルツが表に立ってくれたが、役に立ちそうになかった。
「それは都合がいい。是非、仲良くしていただきたい」
だよねー。男に囲まれて座ってる私に、わざわざ声をかけてくるんだもんね。彼氏だろうと、旦那だろうと、今更気にしないような強心臓の変な人しか来ないよね。一夫一妻制ならまだしも、多夫多妻制だもんね。いるよね、そういう人も。
シュバルツは、驚愕の表情だが、いい人生経験になったに違いない。博士の知らない世界が見つかって、良かったね。
「この娘は、先程足を痛めて、休ませているところだ。今日は、踊れない。その上、人見知りも激しい。直接話しかけるな。話があるなら、俺を通してもらおうか」
「あなたは?」
「父親だ」
キーリーは、少し離れた席に男を連れて行った。
「すごいね。キーリーが、男にモテモテだよ」
キーリーの周りに、どんどん男が増えていく。そろそろキーリーが見えなくなりそうだった。
「お母さんといい、男にモテる男だな」
「そうだね」
舞踏会は、飲み物しかないというガッカリ情報を聞いたので、飲み物をもらって、持参のお菓子をこっそりかじりながら、キーリーを見ていた。
一階では、ジョエルが誰かとケンカを始めたので、レクシーのお迎えにタケルを派遣した。今は、それが戻ってくるのを待っているところだ。舞踏会って、もっと優雅な世界だと思ってた。私の知らない謎の世界だった。
「レクシーが戻ってきたら、もう部屋に引き上げてもいいかなぁ。お腹減ったよー」
「部屋に戻って携帯食料をかじるよりは、食堂に行く方がいいだろう」
「そうかもしれないけど、ドレスを脱ぎたいんだよ」
「それなら、王子とやらになってくれば、いいんじゃないか? 男装すれば、男に声をかけられることも減るだろう」
「そうかなぁ? あの服って、男装の内に入るのかなぁ?」
ともあれ、一度部屋に戻ることにした。シュバルツに抱えられて移動する。
歩くのがダルいからではない。足をくじいて歩けない設定だからだ。もうこんな重いドレスは嫌だ。なんで同じドレスで、レクシーは踊れるんだろう。
毎日欠かさず充電してたので、電池切れは多分ないだろうし、あれは村の副業だ。そんなにストイックに機械を動かす予定はない。ガンガン仕事をしたところで、多分、卸す先こそ決まっていない。少々止まっても差し支えない。だから、仕事から逃げてきた訳ではない。博士の魔法教室から逃げてきたのだ。
毎日毎日終わりなく積み上げられる呪文のメモ書きに、嫌気がさしたのだ。風魔法と大地魔法は、無詠唱で発動ができるのだ。その2つなら、いくら教えてくれても構わないが、水魔法と無属性魔法を覚えるのが、ツラい。飲み水を出せる水魔法は、覚える気になったが、水の力で物を切り刻む魔法とか、むしろ怖いから覚えたくない。攻撃するにしても、もう少し穏便な物にして欲しい。物騒なのは、カマイタチだけで充分だ。
「さあ、ドレスに着替えたよ。闘技場は、どこだね?」
お母様関連の何かと言えば、ドレスが鉄板だ。また緑のドレスかと思っていたが、今日は、白だった。白いロココ調のドレスだ。真っ白のアントワネットだ。ゴスロリ王子がいいと言ったのが、いけなかったのかな。レースとリボンが満載で、可愛いと言うより、重くて仕方ない。十二単に比べれば軽いかもしれないが、重い物は重い。運動不足で怠け者な私には、向いていないドレスだ。着替えて即、ジョエルに運んでもらおうかと思ったくらいだ。
「折角めかしこんだのに、何言ってんだ。闘技場で何するつもりだ」
「そろそろ夜だよね。こんな暗くて見えるのかな?」
「だから、何の」
「シャルルは、お母さんの乱闘を楽しみにしている。武闘会は、夜には開かれないだろうにな」
「武闘会に、ドレスはいらないだろう」
「武闘会の観戦は貴族の嗜みだから、正装が必要なんだそうだ」
「なんでお前は、間違いに気付いてるのに、訂正してやらないんだよ」
「出かければ、散歩の時間がなくなるからな。魔法の特訓時間が伸びるだろう?」
「それが嫌で逃げて来てんだぞ、きっと」
「知っている。だが、逃がさない。兄として」
「そうか。頑張れ」
「舞踏会って何? 聞いてないよ!」
煌びやかな夜会の部屋に着いて、初めて知った衝撃の事実! こんなところに来て、何をしろって言うんだよ。
「言ったよ。やめた方がいいって、言ったよ」
「お前は、そこの兄の罠にかかったんだよ」
「お姉様、一緒に踊りましょうね」
「ごめんね、レクシー。私は、立ってるだけで限界なんだよ。歩いてるだけで、限界突破なんだよ。教えてもらっても踊れないよ」
「何しに来たんだろうな。魔法の特訓以外、何もできないな」
シュバルツの野郎! 本当に、最近、可愛くない。どこで育て間違ったのだろうか。無表情か、悪巧みしてる顔かの2択なんだよ。愛想がなくなった。
「タケルと一緒に壁の花になってるから、いいよ。みんなで踊ってきて。見てるから」
「タケルじゃダメだ。そいつは、大人になる気がない。俺といろ。どうせ俺は、踊りなど知らん」
服だけはお付き合いしてるのに、キーリーは私の仲間だったのか。何しに来てんだよ。
「お姉様は、あたしがご一緒します」
レクシーは、私とお揃いの黄色のドレスだ。姉妹っぽいよね。お母様、ありがとう!
「お前じゃ、ダメだ」
「なんでですか!」
「より一層、男が寄ってくる言い訳にしかならん。シャルルを甘く見るなよ?」
「それを言うなら、俺の方こそ適任じゃないか? クロに勝る美貌はない。足元にも及ばない輩は、全て排除してやろう。そのために、染めずに来たんだ」
そうか。村を出てきたら、誘拐対策が必要なのか。折角遊びに来たのに、皆様のお手を煩わせるのは、申し訳ないね。魔獣はダンスなんてしないと思うし、タケルだけいたら良いと思ってた。
「あのさ。私、今日、茶髪だよ? 誰にも声なんかかけられないよ」
うちの保護者は、皆過保護だ。私は、ただの役立たずであって、黒髪さえ失われれば、見るところのない一般人だ。放置しても問題ない。迷子にならないくらいの自制心はある。
「そんな訳ないだろう。ここは、ナンパ師の集まりみたいなもんだぞ?」
なんですと? 海だって、誰もそんなことは言ってなかった。
「え? みんな、ナンパに来たの?」
「ナンパに来たのはお前で、俺たちは全員、お前の保護者だ」
私が、ナンパ師だった! マジか。誰をナンパしたらいいんだろう。
折角来たので踊りが見てみたい、とお願いして、ジョエルとレクシーをダンスの輪に放り込んだ。私は、イスを借りて休憩だ。
2階席みたいなところに、座るところを発見したのだ。スタートから座ってる人なんて、私くらいしかいなかったが、1階で誰かに抱っこされてるよりは、目立たないだろう。
「すごいね。レクシー可愛い」
「お母さんは兎も角、パン屋が踊れるとは思わなかったな」
ジョエル王子の先導があってこそなのかもしれないが、笑顔でくるくる踊っているレクシーは、とてもキュートだ。この会場で一番可愛いのは、レクシーだ。異論は認めない。
「街で人気の習い事だ、って言ってたよ」
ふわふわした気持ちでレクシーを眺めていたら、人が近付いてきた。
「是非、私にともに踊る栄誉を下さい」
うわぁ、流石、ナンパのメッカ。変な人が、やってきた。私に向かって、手を差し出して、かしずいている。何コレ。どうやって断ったらいいの? こんなことが起きるなら、断りの常套文句を聞いておけば良かった。
「これは、俺の妻だ。気安く声をかけないでもらおうか」
黒髪シュバルツが表に立ってくれたが、役に立ちそうになかった。
「それは都合がいい。是非、仲良くしていただきたい」
だよねー。男に囲まれて座ってる私に、わざわざ声をかけてくるんだもんね。彼氏だろうと、旦那だろうと、今更気にしないような強心臓の変な人しか来ないよね。一夫一妻制ならまだしも、多夫多妻制だもんね。いるよね、そういう人も。
シュバルツは、驚愕の表情だが、いい人生経験になったに違いない。博士の知らない世界が見つかって、良かったね。
「この娘は、先程足を痛めて、休ませているところだ。今日は、踊れない。その上、人見知りも激しい。直接話しかけるな。話があるなら、俺を通してもらおうか」
「あなたは?」
「父親だ」
キーリーは、少し離れた席に男を連れて行った。
「すごいね。キーリーが、男にモテモテだよ」
キーリーの周りに、どんどん男が増えていく。そろそろキーリーが見えなくなりそうだった。
「お母さんといい、男にモテる男だな」
「そうだね」
舞踏会は、飲み物しかないというガッカリ情報を聞いたので、飲み物をもらって、持参のお菓子をこっそりかじりながら、キーリーを見ていた。
一階では、ジョエルが誰かとケンカを始めたので、レクシーのお迎えにタケルを派遣した。今は、それが戻ってくるのを待っているところだ。舞踏会って、もっと優雅な世界だと思ってた。私の知らない謎の世界だった。
「レクシーが戻ってきたら、もう部屋に引き上げてもいいかなぁ。お腹減ったよー」
「部屋に戻って携帯食料をかじるよりは、食堂に行く方がいいだろう」
「そうかもしれないけど、ドレスを脱ぎたいんだよ」
「それなら、王子とやらになってくれば、いいんじゃないか? 男装すれば、男に声をかけられることも減るだろう」
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