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君との距離

59.

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??」

だれだろう。


『さくらは精霊王のおひいさんだよ!』

「ソレの?」

あのイケメンのお姫様とか……どんな美少女。




『いつかさくらにヤナも会えるよ!』

『会える会える!』

ヤナはくすっと笑った。

そうだね。会えるといいな。

「ヤナー。」

遠くでお兄ちゃんが俺を呼ぶ声が聞こえる。

「はーい。」

こちらも大きな声で反応する。

「行ってくるね!」

『行ってらっしゃい~。』

精霊たちに別れを告げてイオのところまで行く。

「ヤナ、いい子にしてた?」

「うん!」

ヤナが笑うのを見て、イオはほっとする。

そして、ヤナの頭に手をおいてぐわぐわと撫でる。意外とヤナも気に入ってるようで「きゃー!」とか言いながら笑ってる。

「フレディ様には?」

「今日は上から水かけられた。」

ついでに逐一されたことはチクる。黙ってやる理由がないからだ。


ふーんとイオは考える素振りをする。

「だんだんエスカレートしてきたね。まぁ、ヤナが学院に通い始めるまでもう2ヶ月くらいだし。魔法は俺が教えた方がいい。
ただでさえ入学に1年遅れてんだ。

入学試験ではヤナのために少し難しい問題を出してくれるって。上手く行けば2年からのスタートだぞ。」

「お兄ちゃんは3年で卒業したんだよね?」


「うん?そうだけど。」

ヤナはニヤッと笑う。

「じゃあ俺も早く飛び級して、お兄ちゃんの役に経つ仕事に就く!」

ヤナの言葉にイオはじんわりと胸が熱くなる。

「無理しなくていいよ。」

そう言いながら期待はしてしまう。


やっぱり弟はいいなぁ。








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