4 / 7
第1章 2節 戦い
地味子の戦い
しおりを挟むあれから天音は、以前にも増して
真剣に歌と向き合っていた。
俺は、楽しく歌っていた頃も好きだが、
最近の天音はますます上手くなってるのが
素人にも分かる程、成長していた。
だから、ファン1号として応援していた。
この頃の俺は、昼休みが待ち遠しい
ほどだった。それだけ、天音の歌に
魅了されていた。
しかし、そんな楽しい日々は長くは
続かなかった。
ある日を境に天音が屋上に来なくなった。
1日、2日のことなら、体調でも
崩したのだろう、と考えもしたが、
3日経っても、4日経っても、天音は来ない。
これはおかしいと思い、天音のクラスに
向かった。しかし、天音は見当たらない。
(どうしたんだ?)
色々な邪推が浮かんでくる。
そんなことを考えながら自分のクラスに
戻って行く途中、女子トイレから走って
出てきた子とぶつかった。
「あっ、ごめん。」
その子は謝ることもなく、そのまま走り去って行った。ただ、俺は違和感を感じた。
その子の髪がグッショリと濡れていたのだ。
「チッ、逃げられちまった。」
その子を追うようにして出てきたのは、
ギャルっぽい子だった。
「何、見てんだよっ!!」
そう言われてビビってしまった俺は、
すぐにその場を立ち去った。
ただ、後ろから聞こえてくる声に
愕然としながら。
「天音のヤツ、地味子の癖に・・・」
自分のクラスに着いた俺は頭を整理していた。
髪がグッショリ濡れた女の子
追うようにして出てきたギャル
そのギャルの発言
その全てが、とんでもないことを
示唆していた。
(天音がイジメられてる?そんな・・・)
俺はどうしていいか分からなくなった。
天音を助ける?
いや、助けられるのか?
先生に相談して・・・
でも、絶対はぐらかされる。
俺は一人、悶々と自問自答を繰り返した。
やっと答えが出たのは、その日の
下校時間だった。
俺は天音を探し、その後を追った。
この日は何事もなく家まで帰れたようだ。
俺は意を決して、指を伸ばす。
(ピンポーン)
「はーい」
元気のない声で返事がして、少しすると
インターホン越しに天音の声がした。
「ちょっと何してるの?まさかアンタ・・・」
怯える天音に、俺は直球で言った。
「天音、お前イジメられてるのか?」
インターホン越しに天音の動揺が伝わる。
少しするとドアが開き、天音が出てきた。
「入って。」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる