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第1章 2節 戦い
光明
しおりを挟む「おじゃましま~す。」
「・・・こっち。」
促されてリビングに入る。
俺達以外、他には誰もいないようだ。
「親は夜まで帰って来ないよ。
でも、変な期待はしないでよね。」
「!」
キョロキョロしてたのがバレていたようだ。
とはいえ、女子の家に、しかも2人きりなんて動揺しない訳がない。
「ところで、何でそう思ったの?」
「へ?」
すっとんきょうな返事を返してしまった。
呆れた様子で天音が続ける。
「玄関で言ったでしょ?
イジメられてるの?って。」
そうだった。その為に来たんだ。
今さらになって、ここに来た主旨を
思い出した。
「この間、女子トイレから逃げて来て、
俺にぶつかっただろ?そん時、髪、
グッショリ濡れてた。後から出てきた
ギャルっぽいのが言ってたことも、
合わせて考えるとそうなった。」
そこまで聞いて天音は諦めの表情を見せた。
「・・・先生とかに言ってないよね?」
「言ってどうにかなるとは思わないから、
言ってない。」
そう聞いて天音は、少し安心したように
ため息をついた。
「で、家に来たのは?・・・私の親にも、
話すつもりだった?」
「俺は天音を助けたい!!必要なら
天音の親にも相談するつもり
だったけど・・・」
髪をくしゃくしゃと掻き乱しながら、
天音は言ってきた。
「助けたい?どうやって?アンタが私を
守ってくれるって言うの?
どうせアンタみたいな弱っちぃのじゃ、
一緒になってイジメられるだけ!
バッカじゃないの!?」
次々と捲し立てる天音に圧倒され、
何も言い返せなかった。
実際、何も策はない。
あるのはただの覚悟だけだった。
「もう帰って。」
何も言ってこない俺にしびれを切らし、
天音はそう言った。
帰り道、俺は不甲斐ない自分に
ひたすら腹をたてていた。
天音の言う通りだ!俺は何もできない!!
悔しくて、悔しくて悔しくて
涙が出そうだった。
でも、天音はもっとツラいはずだ。
その気持ちを考えると、
泣きたくても泣けなかった。
「ただいま~。」
「お帰り。どうしたの?元気ないじゃない?」
「何でもない。」
(タンッ、タンッ、タンッ、・・バタンッ)
「おかしな子。」
部屋に戻ったら、何だか今日は
とても疲れていたのか、いつの間にか
寝ていたらしい。
ひとまず、暗くなっているのに気付いて、
一階に降りた。
「あら、やっと起きてきたわね!」
「・・・・・」
今は何も興味をもてなかった。
(ハァ~)
母さんのため息が聞こえる。
(私、イジメられてたんですよ~)
「!!」
その言葉にバッと振り返り、
テレビに釘付けになる。
「何?アンタ、どうしたの?
今日、やたらおかしいわよ?」
「うっさい、黙ってて!!」
母さんはムスッとして、
「ハイハイ、あ~そうですか。」
と、退散していった。
そんなことはお構い無しにテレビを見る。
やっと光明を見つけられたかもしれない!!
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