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Ⅳ奸悪の根に涙雨
奸悪の根に涙雨
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王の盾が閨番に登城した日を狙って、ソロはエレジーを伴いある屋敷を訪れていた。
以前より随分と侍従の数は減り、そのせいで屋敷内に手が回っていない現状が如実に現れている。あれほど美しかった庭も手入れが行き届いていないばかりか、美しく磨き抜かれていた窓や床にも汚れが目立つ。どうにか四律将の体面は保っているが、それすらいつまで持つか分からない。そんな悲壮感が、この屋敷からは伝わってきていた。
通されたのは広い応接室ではなく、主の私室。屋敷に残る侍従統括の話では、最近は特に部屋から出てこなくなったらしい。
椅子に腰掛けたまま、ぼんやりと外を眺めて動かない蟄居中の男。事件を起こす前までは華美ともいえる風貌であったが、ひどくやつれて覇気がない。
「久しいな、フエテ」
室内にあるソファへ堂々と腰掛け、ソロが意識をどこかへやっている同僚へと声をかけた。
フエテフォルツァ。奏人をソロの許しなく連れ去り、自死寸前まで追い詰めた男である。この一件がソロの逆鱗に触れ、律王より蟄居を命じられていた。とはいっても、もはや律王には政への興味がない。ソロの言う通りに動いただけだ。律王の発言はソロの発言であり、もはや律界の政務はソロの仕事になっている。それを貴族たちも一同に認め、律王に関しては辛抱強く崩御の時を待っている状況だった。
また、ここにきて同じ四律将のエレジーがソロについたと、そんな噂が上層区全体に広がっていた。当人にその気はなくとも、実際奏人と勝負するためによく屋敷へ足を運んでいる。奏人が手作りした双六すごろくやトランプで遊ぶのが楽しいようで、勝負にしてはいささか和やかなことこの上なく、実に和気あいあいとしていた。
ソロもエレジー自身が短種であることと、何より当の奏人がとても楽しそうなのでエレジーの訪問をとやかく言うことはない。エレジーが勝者用にと持ってくる菓子は奏人の口に少量なら入れても構わないもので、手に入れ難いこともあって重宝すらしていた。
「……ソ、ロ」
ぼんやりしていたフエテフォルツァの表情が強張る。この場にエレジーまでいることに動揺し、青ざめた。
今、フエテフォルツァが最も恐れているのは地位のはく奪だ。四律将の地位を追われることになれば、この屋敷を手放すことになる。貴族でありながら次期律王に逆らった男としての烙印は生涯付きまとい、上に行くこともできなければ下の貴族連中にすら嘲笑される屈辱が待っている。
四律将の地位は特殊だ。非常に特別なものでもある。そのため、あらゆる権限はすべて律王が有していた。律王の決定がなければ動かすことができない。しかし今はソロが律王へ打診すればそれで全てが決まる。今日までソロが何も手を出さなかったのは、単にソロが時期を待っていたからに他ならない。
貴族の中には、ソロが我が物顔で政務に勤しむことが許せない者も一定数存在する。ソロ生誕の際はあれだけ喜んでおきながら、自分たちより賢く手に余ると分かった途端に手のひらを返した。到底太刀打ちできない相手であるのに、口だけは達者なのだ。
しかし数は力だ。次期律王と約束されてはいるが、戴冠にはまだ至っていない。ソロは誰よりプライドが高く不遜的ではあるが、馬鹿ではない。自分を不利に追い込むような真似はしないし、その辺の計算は誰より早い男であった。だからこそ、誰も彼には手出しができない。弱点がないからだ。無理もなかった。
「私のカナトが何時ぞやは世話になったな」
「……っ」
カタカタと震えるフエテフォルツァに、エレジーが呆れた顔をしてソロを見た。
「そう虐めてやるな。時間も無駄だぞ」
「事実だ。が、まぁいい。今日は貴様に一つ、提案を持ってきた」
「提案……? 僕に、ですか?」
予想外だったのか、フエテフォルツァは侍従統括の手を借りてよろよろと立ち上がり、ソロやエレジーが腰掛けるソファの真向かいに腰を下ろした。テーブルを挟んで現四律将が三人。侍従統括は空気を読んで、茶を用意してくると断り退室する。
「貴様にとっては大変残念なことに、私が貴様の地位をはく奪することは案外と容易だ。律王の崩御を待たず強行することも無理ではない」
「っ、では……僕は、もう……」
「残りたいか?」
「え……?」
「このまま四律将としてありたいか、と訊いている」
ソファのアームに頬杖をついて、どこまでも不遜な態度のソロ。しかしその姿は次期律王としての威厳と貫禄さを伺わせ、フエテフォルツァは小さく膝の上で拳を握った。
当初よりソロに逆らう気など更々ない。そんな力は、どこにもない。状況と行動を見誤っただけだ。それが酷く大きく響き、フエテフォルツァに重くのしかかっていた。
奏人は確かに人間であるが、彼にだけは手を出すべきではなかった。後悔している。時を戻せる律力があるのなら、当時の自分を全力で押さえつけてでもやめさせるのにと、何度叶わぬことを思い描いただろう。それほどまでにフエテフォルツァの後悔は強く、失意の日々を過ごしていた。
「の、残れる……ものなら、……もちろん」
「では、提案は一つだ。この場にて、貴様の真名木をもらい受ける」
「み、ミステリオーソをッ?」
創生樹の枝とも呼ばれるそれは、律界人が生命球から生まれ出た際に共に出てくるものだ。人間でいうところのへその緒に近い。
普通はそのまま消え失せるが、四律将になれるほどの律界人の真名木は消失しない。消失しない真名木を所有することは力の誇示に繋がる。それ以上に保有者が真名木を大事にする理由として、生命球に入った際に中で行われる再生構築の構造図が全て組み込まれているからだ。ようは保有者の強味や弱味、律力の限界値や寿命に至るまでの情報が詰まっている。これを渡すことは、すなわち魂を預けることに近い。
ソロが奏人にかけた術、八重の吐息もこれを情報源として媒介し、両者の魂を繋げていた。ひどく繊細なため、保有者当人ですら迂闊には触れない。下手をすれば自らの魂を傷つけることになるからだ。
「僕に、何をさせるつもりですか」
「貴様の力は有用だ。新しく四律将候補を上げて推挙するのも構わないが、異界まで飛べる能力保有者はそうそういない」
「真名木を渡したとして、その先は……どうなるのですか」
「四律将にこのまま在位することを認める。また、蟄居も解こう」
「目的を、訊いても?」
「それは貴様の答えを聞いてからだ」
沈黙が落ちる。だが、さほど長くはない。フエテフォルツァは笑った。小さく「馬鹿馬鹿しい」と呟いた。ソロとエレジーはそんなフエテフォルツァの様子を静かに見つめたまま、男の目に力が戻る様を眺めていた。
「分かりました。お預けしましょう」
「即決だな」
「貴方は次期律王となる存在。僕の方が先に寿命も尽きると分かっていて、何を迷います? 屈服したからといってなんだというのです、プライドを後生大事にしていても何にもなりません。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。僕は……、貴方に魂を売ってでも返り咲きたい」
それは、ソロたちがよく知るフエテフォルツァの顔だった。フエテフォルツァは立ち上がると部屋の奥に向かい、そこから木箱を一つ手に戻って来た。赤い布に包まれたそれは、まさに真名木。驚くほどアッサリとソロへ手渡したため、念のためにエレジーが確認したが、やはり本物の真名木だった。
「言ったでしょう? それは僕の本音の証ですよ」
「いっそ見事な執着心よ。我にはできぬ」
「エレジーも、僕の立場になってみれば分かります」
「我はこいつに真名木を渡すくらいなら、中層区に下って薬師にでもなるわ」
「貴方らしいですね。羨ましいです」
ソロは箱から取り出した真名木を布に包んで懐に仕舞い、不要となった箱をフエテフォルツァに返した。フエテフォルツァはそれを躊躇することなく焼失させ、窓を開けて空気を入れ替えると不敵な笑みを浮かべた。
そこへ侍従統括がお茶を運んでくる。彼は主の表情の明るいことに気付いたが、その場は何も言わずに即座に下がった。
ソロは淹れたてのお茶を一口含み、部屋の周囲に自ら結界を張る。それだけのことを話すのだと、フエテフォルツァは興味深そうにソロを見た。
「貴様には、人間界へ飛んでもらう。そこで、シキ・タクトという人間の情報を持ち帰れ。可能なら顔が分かるものもだ」
「人間界へ? それに、シキとは……。また、恐ろしい名を持ち出しますね」
予想が過ぎたのか、フエテフォルツァが眉根を寄せる。貴族たちにとって忌まわしいその名は、彼が死んだあとも語り継がれていた。今現在ある、人間に関する文献の多くは彼をもとにしているものが多い。律王が崩御したのち焼却する予定であったが、奏人を得たソロがこれを棄却。大半をエレジーが屋敷に持ち帰り、それを分かりやすくシンやその部下に教え伝えていた。
「生きているらしいぞ? 恐ろしいことだ」
「馬鹿な!」
「だが、それならば私の目が戻らないのも説明がつく」
「で、ですが、それはシキの肉体を保存するためだと律王ご自身から説明があったのでは? 自らが崩御するまでの辛抱だと」
「あぁ。そうだな。だとしても、力は多少なりとも戻るはずだ。それが一つも戻らず、その気配もない。律王が離宮に籠り、出てこないことも気にかかる」
「そんな……。ですが、そうなると律王ご自身が我々を……その」
「謀っていることになるのぅ」
悲しいことだ、とエレジーが一切悲哀の様子もなく言い捨てた。茶を啜りながらのそれは、律王に対しての敬意などこれっぽっちもない。無理もなかった。まだ若い彼は、名君と呼ばれた当時の律王を知らない。見知る律王の姿は、威厳とは無縁の愚かしいものばかりだ。
以前より随分と侍従の数は減り、そのせいで屋敷内に手が回っていない現状が如実に現れている。あれほど美しかった庭も手入れが行き届いていないばかりか、美しく磨き抜かれていた窓や床にも汚れが目立つ。どうにか四律将の体面は保っているが、それすらいつまで持つか分からない。そんな悲壮感が、この屋敷からは伝わってきていた。
通されたのは広い応接室ではなく、主の私室。屋敷に残る侍従統括の話では、最近は特に部屋から出てこなくなったらしい。
椅子に腰掛けたまま、ぼんやりと外を眺めて動かない蟄居中の男。事件を起こす前までは華美ともいえる風貌であったが、ひどくやつれて覇気がない。
「久しいな、フエテ」
室内にあるソファへ堂々と腰掛け、ソロが意識をどこかへやっている同僚へと声をかけた。
フエテフォルツァ。奏人をソロの許しなく連れ去り、自死寸前まで追い詰めた男である。この一件がソロの逆鱗に触れ、律王より蟄居を命じられていた。とはいっても、もはや律王には政への興味がない。ソロの言う通りに動いただけだ。律王の発言はソロの発言であり、もはや律界の政務はソロの仕事になっている。それを貴族たちも一同に認め、律王に関しては辛抱強く崩御の時を待っている状況だった。
また、ここにきて同じ四律将のエレジーがソロについたと、そんな噂が上層区全体に広がっていた。当人にその気はなくとも、実際奏人と勝負するためによく屋敷へ足を運んでいる。奏人が手作りした双六すごろくやトランプで遊ぶのが楽しいようで、勝負にしてはいささか和やかなことこの上なく、実に和気あいあいとしていた。
ソロもエレジー自身が短種であることと、何より当の奏人がとても楽しそうなのでエレジーの訪問をとやかく言うことはない。エレジーが勝者用にと持ってくる菓子は奏人の口に少量なら入れても構わないもので、手に入れ難いこともあって重宝すらしていた。
「……ソ、ロ」
ぼんやりしていたフエテフォルツァの表情が強張る。この場にエレジーまでいることに動揺し、青ざめた。
今、フエテフォルツァが最も恐れているのは地位のはく奪だ。四律将の地位を追われることになれば、この屋敷を手放すことになる。貴族でありながら次期律王に逆らった男としての烙印は生涯付きまとい、上に行くこともできなければ下の貴族連中にすら嘲笑される屈辱が待っている。
四律将の地位は特殊だ。非常に特別なものでもある。そのため、あらゆる権限はすべて律王が有していた。律王の決定がなければ動かすことができない。しかし今はソロが律王へ打診すればそれで全てが決まる。今日までソロが何も手を出さなかったのは、単にソロが時期を待っていたからに他ならない。
貴族の中には、ソロが我が物顔で政務に勤しむことが許せない者も一定数存在する。ソロ生誕の際はあれだけ喜んでおきながら、自分たちより賢く手に余ると分かった途端に手のひらを返した。到底太刀打ちできない相手であるのに、口だけは達者なのだ。
しかし数は力だ。次期律王と約束されてはいるが、戴冠にはまだ至っていない。ソロは誰よりプライドが高く不遜的ではあるが、馬鹿ではない。自分を不利に追い込むような真似はしないし、その辺の計算は誰より早い男であった。だからこそ、誰も彼には手出しができない。弱点がないからだ。無理もなかった。
「私のカナトが何時ぞやは世話になったな」
「……っ」
カタカタと震えるフエテフォルツァに、エレジーが呆れた顔をしてソロを見た。
「そう虐めてやるな。時間も無駄だぞ」
「事実だ。が、まぁいい。今日は貴様に一つ、提案を持ってきた」
「提案……? 僕に、ですか?」
予想外だったのか、フエテフォルツァは侍従統括の手を借りてよろよろと立ち上がり、ソロやエレジーが腰掛けるソファの真向かいに腰を下ろした。テーブルを挟んで現四律将が三人。侍従統括は空気を読んで、茶を用意してくると断り退室する。
「貴様にとっては大変残念なことに、私が貴様の地位をはく奪することは案外と容易だ。律王の崩御を待たず強行することも無理ではない」
「っ、では……僕は、もう……」
「残りたいか?」
「え……?」
「このまま四律将としてありたいか、と訊いている」
ソファのアームに頬杖をついて、どこまでも不遜な態度のソロ。しかしその姿は次期律王としての威厳と貫禄さを伺わせ、フエテフォルツァは小さく膝の上で拳を握った。
当初よりソロに逆らう気など更々ない。そんな力は、どこにもない。状況と行動を見誤っただけだ。それが酷く大きく響き、フエテフォルツァに重くのしかかっていた。
奏人は確かに人間であるが、彼にだけは手を出すべきではなかった。後悔している。時を戻せる律力があるのなら、当時の自分を全力で押さえつけてでもやめさせるのにと、何度叶わぬことを思い描いただろう。それほどまでにフエテフォルツァの後悔は強く、失意の日々を過ごしていた。
「の、残れる……ものなら、……もちろん」
「では、提案は一つだ。この場にて、貴様の真名木をもらい受ける」
「み、ミステリオーソをッ?」
創生樹の枝とも呼ばれるそれは、律界人が生命球から生まれ出た際に共に出てくるものだ。人間でいうところのへその緒に近い。
普通はそのまま消え失せるが、四律将になれるほどの律界人の真名木は消失しない。消失しない真名木を所有することは力の誇示に繋がる。それ以上に保有者が真名木を大事にする理由として、生命球に入った際に中で行われる再生構築の構造図が全て組み込まれているからだ。ようは保有者の強味や弱味、律力の限界値や寿命に至るまでの情報が詰まっている。これを渡すことは、すなわち魂を預けることに近い。
ソロが奏人にかけた術、八重の吐息もこれを情報源として媒介し、両者の魂を繋げていた。ひどく繊細なため、保有者当人ですら迂闊には触れない。下手をすれば自らの魂を傷つけることになるからだ。
「僕に、何をさせるつもりですか」
「貴様の力は有用だ。新しく四律将候補を上げて推挙するのも構わないが、異界まで飛べる能力保有者はそうそういない」
「真名木を渡したとして、その先は……どうなるのですか」
「四律将にこのまま在位することを認める。また、蟄居も解こう」
「目的を、訊いても?」
「それは貴様の答えを聞いてからだ」
沈黙が落ちる。だが、さほど長くはない。フエテフォルツァは笑った。小さく「馬鹿馬鹿しい」と呟いた。ソロとエレジーはそんなフエテフォルツァの様子を静かに見つめたまま、男の目に力が戻る様を眺めていた。
「分かりました。お預けしましょう」
「即決だな」
「貴方は次期律王となる存在。僕の方が先に寿命も尽きると分かっていて、何を迷います? 屈服したからといってなんだというのです、プライドを後生大事にしていても何にもなりません。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。僕は……、貴方に魂を売ってでも返り咲きたい」
それは、ソロたちがよく知るフエテフォルツァの顔だった。フエテフォルツァは立ち上がると部屋の奥に向かい、そこから木箱を一つ手に戻って来た。赤い布に包まれたそれは、まさに真名木。驚くほどアッサリとソロへ手渡したため、念のためにエレジーが確認したが、やはり本物の真名木だった。
「言ったでしょう? それは僕の本音の証ですよ」
「いっそ見事な執着心よ。我にはできぬ」
「エレジーも、僕の立場になってみれば分かります」
「我はこいつに真名木を渡すくらいなら、中層区に下って薬師にでもなるわ」
「貴方らしいですね。羨ましいです」
ソロは箱から取り出した真名木を布に包んで懐に仕舞い、不要となった箱をフエテフォルツァに返した。フエテフォルツァはそれを躊躇することなく焼失させ、窓を開けて空気を入れ替えると不敵な笑みを浮かべた。
そこへ侍従統括がお茶を運んでくる。彼は主の表情の明るいことに気付いたが、その場は何も言わずに即座に下がった。
ソロは淹れたてのお茶を一口含み、部屋の周囲に自ら結界を張る。それだけのことを話すのだと、フエテフォルツァは興味深そうにソロを見た。
「貴様には、人間界へ飛んでもらう。そこで、シキ・タクトという人間の情報を持ち帰れ。可能なら顔が分かるものもだ」
「人間界へ? それに、シキとは……。また、恐ろしい名を持ち出しますね」
予想が過ぎたのか、フエテフォルツァが眉根を寄せる。貴族たちにとって忌まわしいその名は、彼が死んだあとも語り継がれていた。今現在ある、人間に関する文献の多くは彼をもとにしているものが多い。律王が崩御したのち焼却する予定であったが、奏人を得たソロがこれを棄却。大半をエレジーが屋敷に持ち帰り、それを分かりやすくシンやその部下に教え伝えていた。
「生きているらしいぞ? 恐ろしいことだ」
「馬鹿な!」
「だが、それならば私の目が戻らないのも説明がつく」
「で、ですが、それはシキの肉体を保存するためだと律王ご自身から説明があったのでは? 自らが崩御するまでの辛抱だと」
「あぁ。そうだな。だとしても、力は多少なりとも戻るはずだ。それが一つも戻らず、その気配もない。律王が離宮に籠り、出てこないことも気にかかる」
「そんな……。ですが、そうなると律王ご自身が我々を……その」
「謀っていることになるのぅ」
悲しいことだ、とエレジーが一切悲哀の様子もなく言い捨てた。茶を啜りながらのそれは、律王に対しての敬意などこれっぽっちもない。無理もなかった。まだ若い彼は、名君と呼ばれた当時の律王を知らない。見知る律王の姿は、威厳とは無縁の愚かしいものばかりだ。
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