リトルアルト

まぁさとう

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懐かしい旋律

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 とても広い部屋だった。
 広い床には一面に、鮮やかな赤と深い紫、そして白を基調とした美しい絨毯が敷かれている。
 天井も高く、7、8メートル程もある。
 天井から1.5メートルほどの高さには人間と同じくらいの大きさの天使のような像が8体、等間隔で壁から身を乗り出している。
 そして部屋の最奥には、玉座と卓が置いてある。玉座には男が腰をかけていた。

「陛下、これを」
 そう言ってひざまずいている男もその華美な装飾の施された服装から見て、相当高貴であることは間違いない。しかし相手が国王ならばひざまずくのも不自然ではない。
「これは?」
 尋ねた国王の背は低く、肥満している。醜いといってもいいだろう。しかしその声からは威厳のようなものが感じられた。
「はっ!こちらは国営ギルドマギド支部からにございます」
「そうか」
 国王は封を開け、手紙を取り出す。そしてしばらく眺めた後で、
「もう下がっていいぞ」
 と低く言う。
「はっ!」
 ひざまずいていた男は立ち上がり、深く頭を下げてから部屋を出た。その直後、男は部屋から、ドンという大きな音がするのを聞いた。



 アルトは宿で目を覚ました。
 昨晩、バルカスとカナと酒場に行ったあと、家に帰ろうと思い、バルカスに道を聞いた。しかし、アルト、バルカス、リーダーの3人の家はこの街マギドではなく、王都の方にあるらしい。ダッシュだけはこの街にも屋敷をもっているそうだ。仕方がないので3人は宿に泊まることにしたのだった。



 アルトは街で1人、ある歌に聞き入っていた。歌っているのは冴えない感じの青年で、聞いているのはこの人通りの多い通りでアルト1人だけだ。決して上手いわけではないが、どこか懐かしく、心地よい旋律だった。

「おいアルト。こんなとこで何突っ立ってんだ?」
 大荷物を抱えたバルカスが声をかけてくる。後ろには、カナとマリーの姿もある。
「彼の歌を聴いていたんだ。なんか懐かしくってね。僕は記憶をなくす前も歌が好きだったのかな?」
「ん?そんなこと言ってだ覚えはねぇけどな」
 バルカスは首を傾げる。
「アルトさんもこの歌が好きだったんですね!私も好きなんです!」
 マリーにはカナから記憶喪失について話してもらった。
 それを聞いたマリーはすぐに俺に会いたいといって、宿でギルドに行く準備をしているところにカナと共に突撃してきたのだった。マリーについてはその時に、顔と大体の性格くらいは思い出した。
 それで4人は街に買い物にきているというわけだ。
「買い物は終わったわ。荷物持ちがいると楽ね」
「お?言ってくれんじゃねぇか、カナさんよぉ」
 バルカスは一見カナに対抗しているようだったが、荷物を持っている時点で敗北している気もする。
「じゃあ次はランチね。こっちよ。いい店しってるの」
 カナはバルカスを無視して僕たちを先導する。こんな穏やかな時間は久しぶりに感じた。
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