リトルアルト

まぁさとう

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カナの正体

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 日に日に気温が上がってきている。
 そろそろ日中鎧を着て依頼に行くのは限界であるため、ギルドには、普段は賑わっているはずの朝なのに、全くと言ってもいい程人が来ない。
 そのためカナは1人で受け付けを任されている。しかしギルドの中にいるのはカナ1人ではない。一見1人なのだが、カナは自分を監視するもう1人の存在を知っている。

「出てきなさいよ。なんか隠れて監視されるのって気持ち悪いわ」
 カナは受け付けから正面を向いて、監視しているだろう女に声をかける。
「はっ」
 後ろから声が聞こえる。
ーそっちかよ。
 振り向くとひざまずく1人の少女の姿があった。黒の短パンと紺のシャツを身につけた、小柄で地味な少女である。短い髪は後ろで適当に結ばれている。歳はカナより1つか2つ下だろう。
「姫様がご不快に思われていることは重々承知しております。しかしながら、これは王命であり、、、」
「あー、わかったわかった」
ーあのクソ王め。
「ところで姫様はいつお城に戻られるのですか?ご存知の通り、来年には次の国王を決定する会議も行われます。王位継承権第1位の姫様が出席されないのは少々問題でございます」
ーめんどくさいな、この子。なんか王室は息がつまるんだよなー。絶対王位とか継承したくないわ。
 それでカナは城を飛び出し、ギルド職員をやっているのだ。身分を隠しているのは、王の命令である。
「あー、そういうのはパスで。私興味ないし」
 カナは少女を振り返らず、受け付けの机にもたれかかって言った。
「しかし、国王様が、、、」
「そんなつまんない話よりさぁ、前から気になってたんだ。あんたのその奇妙な魔法。その話をしてちょーだいよ。もしかして『透明人間になる』魔法とか?」
「い、いえ。私の魔法はそんな便利なものではございません。私の魔法は『人に幻覚を見せる』魔法です。その魔法で私がいるところに、誰もいない、という幻覚を見せてるのです」
 少女は少し落ち込み気味な声で答える。
「へぇ。でもなんでその魔法が透明人間以下なの?」
 幻覚を見せれるなら、自分の姿以外も消したり、逆に見せたりできるはずだ。これはかなり強力なのでは?と思う。
「実は、この魔法、コントロールが非常に難しいのです。頑張っても同時に5人程度にしか発動できませんし、動いていても発動できません。さらには自分の体以外となると、りんご程度の大きさのものを見せたり消すのがやっとですし、見せたものをを動かしたり、動いているものを消すこともできません」
「ふーん。そうなのね。たしかに不便そうね。それじゃ戦闘もできなそうだし」
「はい。ですから私の任務はあくまで監視です。いざという時に姫様を守ることはできません」
ーべつに殺しはしないが、死ぬんなら勝手に死んでくれってことか。監視の目的は私が王女であることを喋らないか見張ってるってとこかしら。
 王は自分の娘が城を飛び出してしまったことを恥じているらしく、カナは城の自室に閉じこもっているということにしている。カナはどっちもどっちだろうと思っているが、王はこだわりが強いらしい。
 ギルドに向かう足音が聞こえた。
「それでは、人が来たようなので失礼します」
 監視の少女はスッと姿を消す。
 来たのはアルト達のパーティーだった。
 
「よう、カナ。依頼受けに来たぜ」
 バルカスは手を上げていう。
「それにしても、すっからかんだね」
 アルトは周りを見渡していう。
「そうなのよ。まぁこの暑さじゃしょうがないわね。それにしても、よくあんた達は毎日のように依頼に行ってられるわね」
「ふふっ。それは僕のおかげだよ。僕の『手から水を発射する』魔法を使って水をかけてあげれば、涼めるからね」
 確かにそうである。ダッシュの魔法なしでは依頼などできそうもない。それ程日中鎧を身につけて日にあたるのは厳しいのだ。
「あらそう。で?あんた達はいつまでマギドにいるつもり?」
 カナはダッシュの魔法にはあまり興味がないようだ。
 アルト達が任務から帰ってきて1ヶ月がすぎていた。
「それなんだが、この前アルトのせいで任務失敗したろ?それで王さんに怒られんのもめんどくせーし、しばらくここにいようとおもってんだ」
「あとアルトには君やマリーみたいな友人が他にいないしね」
「ふーん。そうなの」
 どうでも良さそうに答えるカナだったが、内心かなり嬉しかった。
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