リトルアルト

まぁさとう

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イノシシの魔法

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 アルト達は炎天下の中を歩いていた。目的地はマギドから出て、日が沈む方角に5、6時間ほど歩いたところにある割と大きな村である。
 その村は米の特産地で、住人のほとんどが米の栽培で生計を立てている。米は都市でも需要が高く、住人の生活は豊かだった。
 しかし最近、村にはイノシシの群れが出て、田んぼを荒らすようになったとのことだ。
 村の猟師達はその群れを狩ろうとしたそうだが、イノシシ達の動きは完璧なまでに統率がとれていて、猟師達は返り討ちにあい、皆例外なく大怪我を負ったらしい。
 これは手に負えないと国に討伐の要請を出したとのことだった。

「イノシシの群れってどんぐらいの数なの?」
 アルトは2人の方を見て質問する。
「5、6匹ってとこだな。まぁ多くても10匹くらいだと思うぜ。てかあっちぃな。おーい、ダッシュ。水くれ、水」
 ダッシュは上に手を掲げ、水を発射する。雨のように水が降り注ぎとても涼しい。ダッシュはそのまま歩いた。

「でさ、猟師達が10匹程度のイノシシ相手に返り討ちって変じゃない?」
 アルトは質問を続ける。
「まぁ、普通ならそうだろうね。彼らだってプロだ。イノシシに負けてるようじゃ仕事にならないからね。考えられるとすれば、強いリーダーの出現とかじゃないかな」
「強いって言ったってイノシシでしょ?」
「そいつが、魔法を使えるとしたら?」
ーあぁ、それでダッシュはこの依頼を受けたがったのか。つまり俺達は、こいつの魔法好きに付き合わされてこんな長いこと歩いているというわけだ。憂鬱だなぁ。
 だが受けてしまったものは仕方がない。達成するためには情報が必要だ。
「で?どんな魔法使うか分かるの?」
 僕は嫌々ダッシュに訊く。
「んー、はっきりしたことはわからないが、予想はつく。まず、僕はイノシシの使う魔法はドラゴン達と同じ類いのものだと思う。理由は、ドラゴンとイノシシの魔法の取得方法が類似しているからだ。ドラゴンは何千年と生きることによって魔法を習得する。しかし、ドラゴンの寿命はせいぜい150年から200年くらいなんだ。これはかつてドラゴンとともに生きた人間による証言なので間違いない。つまり、ドラゴンにはたまに、不自然なまでに長生きする個体がいるんだ。そしてそういう個体はイノシシの中にも発見されている。まぁそのイノシシは、研究のために捕まって、ストレスで死んでしまったんだけどね。きっとその個体は魔法を覚えている途中だったんだ。それでドラゴンの魔法についてだけど、、、」
ーちょっと喋りすぎだろ!そろそろうっせぇよ。
「細かいことは知ったこっちゃねぇよ。結局イノシシはどんな魔法を使うんだよ?」
ーナイスバルカス!いいとこあるじゃん。
「僕が今喋ってる途中だろ?邪魔しないでくないかい?アルトだって迷惑そうじゃないか。なぁ、アルト?」
「別に迷惑じゃないというか、なんというか、、、」
 アルトは言葉を濁す。
 その瞬間雨が止んだ。
「すまんって、ダッシュ!聞きたい!俺はお前の話超聞きたいぜ!だから頼むって!こんなとこで野垂れ死にたくねぇよ!」
 バルカスは必死な様子でダッシュに頼む。村まではまだ距離がある。街まで戻るにしてもだ。ダッシュが魔法で出せるため、アルト達は水を持ち歩いていない。水がないのは死活問題である。
「ふんっ。そんな風に話を聞かれても僕が惨めなだけじゃないか。まぁしょうがない。結局のところ、イノシシの使う魔法は、おそらく群れ全体を強化するものだろう。統率がとれてたってことは知能の強化か意思疎通能力の付与ってとこじゃないかな。まぁ魔法が使えるかどうかも、まだわからないんだけどね」
「ふぅん」
 アルトはそう言いながら、イノシシを狩る方法を考え始めた。
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