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ニッキーとジャニス2
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結局ニッキーの魂の真相は分からずじまいだった。
けれど、私の中にニッキーがいるのは変わりない。私は手を上げて発言した。
「いいですか? フロー様は私の体をニッキーに渡そうとはしていなかったのですよね?」
「もちろんだよ」
「でしたら、ニッキーの魂はこのまま預かっていてもいいです」
「え」
「は?」
私がそう言うとみんなの視線が集まった。
「これまでニッキーの魂が私を害することは一度もありませんでした。フロー様が望むなら私はニッキーと共に暮らしても構いません」
ポカンとした顔でフロー様が私を見ていた。色々考えたが、それでもいいかと思ったのだ。
「……ジャニスは、それでいいの?」
「いいです。私はフロー様の心の支えになるならそれでいいです」
「……とっても魅力的なお誘いだけど、それは断るよ」
「? どうしてですか?」
「ニッキーは天国で幸せになるべきだ。それにきっと母が待ってるから」
フロー様がそう言って、私の心は沈んだ。思ったよりもその言葉に私にショックを受けたようだ。いつの間にかニッキーが自分の中に居ることで、フロー様を繋ぎ止めておけると思っていたようだ。
「そう……ですね」
「ジャニス」
「はい」
「愛してる」
「え?」
急に告白してきたフロー様に目が丸くなった。それは私だけでなく、ポルト様もリッツィ姉さんもだった。
「記憶玉をつけてきたときにジャニスがニッキーの存在に気づいてしまったのが分かったよ。それからポルト様を頼って魂の浄化をし始めたと知った。黙っていたのは怖かったからだよ。ニッキーが君の中からいなくなったら、ジャニスは僕の元を去ってしまうかもしれないから」
「……」
それをいうなら私もだった。ニッキーが居なくなったら、フロー様が離れていくと思って、このまま魂と共存しようと持ちかけたのだから。
「でも君が僕を助けにきてくれたとき、そうじゃないってわかったんだ」
「そうじゃない?」
「ニッキーは僕にジャニスを連れてきてくれたけれど、ジャニスを捕まえておかないといけないのは僕なんだ。いつまでもニッキーに頼ってちゃいけない。世界一、大切にするよ。ジャニス。ずっと側にいて欲しいんだ」
「私で、いいのですか? ニッキーがいなくなっても?」
「ジャニスがいいんだ。僕はカッコよくて、飾らない、不器用な君が好きなんだ。君の方こそ、僕でいいかな?」
「はい。寂しがり屋で、甘えん坊なフロー様が好きです」
私たちが互いに手を握り合うとゴホン、と咳払いが聞こえた。
「では、納まるところに収まったな」
「ポルト様、浄化はこのまま、お願いします」
「まかせなさい」
私の代わりにフロー様がポルト様に頼んでくれた。
そのまま三回目の浄化を行い、私たちは解散した。帰り際、ポルト様とリッツィ姉さんが改めて私たちの婚約を祝ってくれた。
「フロー様、ニッキーをお風呂に入れて散々な目にあわれてましたね」
二人になると私はフロー様にそう告げた。
「え?」
「浄化を行うと、ニッキーの記憶が私の頭に流れてくるんです」
「参ったな、ジャニスにカッコつけられない」
「甘えてください、フロー様」
「うーん……でも僕は甘やかす方が好きなんだ」
「ふふふ、ではニッキー流で甘えます」
フロー様の胸にぐりぐりと頭を押し付けるとその手が優しく撫でてくれる。
「ジャニス……」
「はい」
「君が騎士であることに誇りを持っていることも、正義感が強いことも知っている。だから、約束して欲しいんだ」
「約束?」
「僕より、先に死なないでほしい」
「……」
「僕はきっと、もう愛する人に先立たれるのは耐えられないから」
懇願するようにいうフロー様を見ていたら涙がこぼれた。
こんなお願いをしてくるなんて、フロー様のお母様が心配するのも無理はない。
私はごしごしと乱暴に目を擦ると、明るい声でそれに答えた。
「私はフロー様より年下ですよ? しかも女の人の方が寿命は長いと言われてます。それに、フロー様が側で守って下さればいいんです。こないだみたいに、ね?」
「……いつだって、君を守るよ」
どちらともなくぎゅっと抱きしめ合った。
フロー、大好きよ。
心の中で声が聞こえる。それはきっとニッキーとグローリア様の気持ちも含まれていると思った。
けれど、私の中にニッキーがいるのは変わりない。私は手を上げて発言した。
「いいですか? フロー様は私の体をニッキーに渡そうとはしていなかったのですよね?」
「もちろんだよ」
「でしたら、ニッキーの魂はこのまま預かっていてもいいです」
「え」
「は?」
私がそう言うとみんなの視線が集まった。
「これまでニッキーの魂が私を害することは一度もありませんでした。フロー様が望むなら私はニッキーと共に暮らしても構いません」
ポカンとした顔でフロー様が私を見ていた。色々考えたが、それでもいいかと思ったのだ。
「……ジャニスは、それでいいの?」
「いいです。私はフロー様の心の支えになるならそれでいいです」
「……とっても魅力的なお誘いだけど、それは断るよ」
「? どうしてですか?」
「ニッキーは天国で幸せになるべきだ。それにきっと母が待ってるから」
フロー様がそう言って、私の心は沈んだ。思ったよりもその言葉に私にショックを受けたようだ。いつの間にかニッキーが自分の中に居ることで、フロー様を繋ぎ止めておけると思っていたようだ。
「そう……ですね」
「ジャニス」
「はい」
「愛してる」
「え?」
急に告白してきたフロー様に目が丸くなった。それは私だけでなく、ポルト様もリッツィ姉さんもだった。
「記憶玉をつけてきたときにジャニスがニッキーの存在に気づいてしまったのが分かったよ。それからポルト様を頼って魂の浄化をし始めたと知った。黙っていたのは怖かったからだよ。ニッキーが君の中からいなくなったら、ジャニスは僕の元を去ってしまうかもしれないから」
「……」
それをいうなら私もだった。ニッキーが居なくなったら、フロー様が離れていくと思って、このまま魂と共存しようと持ちかけたのだから。
「でも君が僕を助けにきてくれたとき、そうじゃないってわかったんだ」
「そうじゃない?」
「ニッキーは僕にジャニスを連れてきてくれたけれど、ジャニスを捕まえておかないといけないのは僕なんだ。いつまでもニッキーに頼ってちゃいけない。世界一、大切にするよ。ジャニス。ずっと側にいて欲しいんだ」
「私で、いいのですか? ニッキーがいなくなっても?」
「ジャニスがいいんだ。僕はカッコよくて、飾らない、不器用な君が好きなんだ。君の方こそ、僕でいいかな?」
「はい。寂しがり屋で、甘えん坊なフロー様が好きです」
私たちが互いに手を握り合うとゴホン、と咳払いが聞こえた。
「では、納まるところに収まったな」
「ポルト様、浄化はこのまま、お願いします」
「まかせなさい」
私の代わりにフロー様がポルト様に頼んでくれた。
そのまま三回目の浄化を行い、私たちは解散した。帰り際、ポルト様とリッツィ姉さんが改めて私たちの婚約を祝ってくれた。
「フロー様、ニッキーをお風呂に入れて散々な目にあわれてましたね」
二人になると私はフロー様にそう告げた。
「え?」
「浄化を行うと、ニッキーの記憶が私の頭に流れてくるんです」
「参ったな、ジャニスにカッコつけられない」
「甘えてください、フロー様」
「うーん……でも僕は甘やかす方が好きなんだ」
「ふふふ、ではニッキー流で甘えます」
フロー様の胸にぐりぐりと頭を押し付けるとその手が優しく撫でてくれる。
「ジャニス……」
「はい」
「君が騎士であることに誇りを持っていることも、正義感が強いことも知っている。だから、約束して欲しいんだ」
「約束?」
「僕より、先に死なないでほしい」
「……」
「僕はきっと、もう愛する人に先立たれるのは耐えられないから」
懇願するようにいうフロー様を見ていたら涙がこぼれた。
こんなお願いをしてくるなんて、フロー様のお母様が心配するのも無理はない。
私はごしごしと乱暴に目を擦ると、明るい声でそれに答えた。
「私はフロー様より年下ですよ? しかも女の人の方が寿命は長いと言われてます。それに、フロー様が側で守って下さればいいんです。こないだみたいに、ね?」
「……いつだって、君を守るよ」
どちらともなくぎゅっと抱きしめ合った。
フロー、大好きよ。
心の中で声が聞こえる。それはきっとニッキーとグローリア様の気持ちも含まれていると思った。
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