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愛を掴み取れ<その後のオマケ話:ロイ視点>
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スウの悩み事。
突っ込んで聞きたかったがその後スウが降りてきたので店番を交代して聞けなかった。何のことだろうか。もしや私に不満なことが……。といってもだまし討ちみたいにして無理やり結婚に持って行ったからかなりの罪悪感はある。うむむむむ。
最近スウが変わったことといえば、鍛練の後に変な踊りを踊るようになったくらいで。しかしアレは鍛練の一環……。あとは夜が激しくなったかも……といってもこれは単に休日に盛り上がってしまってるだけだろうし
心配するほどのことではないのではないだろう。
夫婦生活の先輩からのありがたい助言を流してそんな風に考えていた私は馬鹿に違いない。
***
「最近、この野菜料理多いですね」
「え!? そ、そうかな??」
「スウも知ってるかと思いますがこの野菜はちょっと体を興奮させる効果があるので夜食べるのは良くないですよ。眠れなくなりますから」
「ああ…うん。そ、その……ごめん」
球根の根である野菜料理が今日も並ぶ。市場で安売りだったのか、割と高値の筈なんだが。最近はこの野菜料理のオンパレード。スウの作る料理はもちろんおいしいけれど、毎日はちょっと。
「私は食べませんがスウは肉料理も食べてくださいね。こないだのウサギはもう無くなりましたか?必要なら狩ってきますから」
「ううん。まだ取ってあるよ。欲しかったら俺も狩に出るし……明日はシチューにするよ」
「ええ、楽しみです」
エルフは基本肉はあまり食べない。煮込み料理に入っていたりするのは平気だが敢えては食べることはしないし、栄養的にも問題ない。でも私の食事に合わしていればスウには物足りないだろう。ああ、だからこの野菜だったのかな。
「あのさ、ロイ、テルの丘って知ってる?」
「テルの丘ですか。聞いたことありませんね」
「ふ、二人でさ、行ってみない?」
「スウが行きたいならいいですよ。どこにあるんですか?」
「二つ隣町のぺルンだって。花が咲き誇ってて綺麗なんだってさ」
「……。ぺルン……」
「あ……。やっぱ、嫌か」
「いえ……」
「ルンは都会だからな。ロイは嫌かもな。……ごめん、やっぱ、いいわ」
「スウ? 別に平気ですよ?」
「いや、いいんだ。すごく行きたいわけじゃないし!」
「そうですか?」
「うん、今言ったことは忘れて? な?」
「……ええ」
少し引っ掛かりがあったものの、スウが引いたのでそれ以上は話さなかった。この町は私たちのことが知れているし、居心地がいいけれど、他の町で人ごみに晒されるのは正直辛い。物珍しいエルフはどこへ行ってもトラブルの元だ。
何となく落ち込んだスウが気になりながら明日の用意をする。以前スウと魔獣狩りに向かった峠の後処理を時々手伝っているのだ。魔獣の有無を確認して峠に道をつける予定でもう半分ほど出来上がっている。最初はスウも行っていたが、店番があるのと、魔獣も出ない見張り役なので視力の良い私の方が適任だった。
一応磨いた矢を筒に入れて部屋に立てかけるとスウが後ろから抱き付いてきた。
フワフワした胸の感触に理性が飛びそうになる。でも、ダメだ。明日は政府の役人と仕事だから。
「おやすみなさい、スウ」
ちゅっと唇をあいさつ程度に触れ合わせて寝床に潜る。これ以上はダメ。スウが可愛すぎて止まらない自信がある。
「おやすみ、ロイ」
スウの益々落ち込んだ声も、毛布をかぶって煩悩を飛ばしていた私には届いていなかった。
突っ込んで聞きたかったがその後スウが降りてきたので店番を交代して聞けなかった。何のことだろうか。もしや私に不満なことが……。といってもだまし討ちみたいにして無理やり結婚に持って行ったからかなりの罪悪感はある。うむむむむ。
最近スウが変わったことといえば、鍛練の後に変な踊りを踊るようになったくらいで。しかしアレは鍛練の一環……。あとは夜が激しくなったかも……といってもこれは単に休日に盛り上がってしまってるだけだろうし
心配するほどのことではないのではないだろう。
夫婦生活の先輩からのありがたい助言を流してそんな風に考えていた私は馬鹿に違いない。
***
「最近、この野菜料理多いですね」
「え!? そ、そうかな??」
「スウも知ってるかと思いますがこの野菜はちょっと体を興奮させる効果があるので夜食べるのは良くないですよ。眠れなくなりますから」
「ああ…うん。そ、その……ごめん」
球根の根である野菜料理が今日も並ぶ。市場で安売りだったのか、割と高値の筈なんだが。最近はこの野菜料理のオンパレード。スウの作る料理はもちろんおいしいけれど、毎日はちょっと。
「私は食べませんがスウは肉料理も食べてくださいね。こないだのウサギはもう無くなりましたか?必要なら狩ってきますから」
「ううん。まだ取ってあるよ。欲しかったら俺も狩に出るし……明日はシチューにするよ」
「ええ、楽しみです」
エルフは基本肉はあまり食べない。煮込み料理に入っていたりするのは平気だが敢えては食べることはしないし、栄養的にも問題ない。でも私の食事に合わしていればスウには物足りないだろう。ああ、だからこの野菜だったのかな。
「あのさ、ロイ、テルの丘って知ってる?」
「テルの丘ですか。聞いたことありませんね」
「ふ、二人でさ、行ってみない?」
「スウが行きたいならいいですよ。どこにあるんですか?」
「二つ隣町のぺルンだって。花が咲き誇ってて綺麗なんだってさ」
「……。ぺルン……」
「あ……。やっぱ、嫌か」
「いえ……」
「ルンは都会だからな。ロイは嫌かもな。……ごめん、やっぱ、いいわ」
「スウ? 別に平気ですよ?」
「いや、いいんだ。すごく行きたいわけじゃないし!」
「そうですか?」
「うん、今言ったことは忘れて? な?」
「……ええ」
少し引っ掛かりがあったものの、スウが引いたのでそれ以上は話さなかった。この町は私たちのことが知れているし、居心地がいいけれど、他の町で人ごみに晒されるのは正直辛い。物珍しいエルフはどこへ行ってもトラブルの元だ。
何となく落ち込んだスウが気になりながら明日の用意をする。以前スウと魔獣狩りに向かった峠の後処理を時々手伝っているのだ。魔獣の有無を確認して峠に道をつける予定でもう半分ほど出来上がっている。最初はスウも行っていたが、店番があるのと、魔獣も出ない見張り役なので視力の良い私の方が適任だった。
一応磨いた矢を筒に入れて部屋に立てかけるとスウが後ろから抱き付いてきた。
フワフワした胸の感触に理性が飛びそうになる。でも、ダメだ。明日は政府の役人と仕事だから。
「おやすみなさい、スウ」
ちゅっと唇をあいさつ程度に触れ合わせて寝床に潜る。これ以上はダメ。スウが可愛すぎて止まらない自信がある。
「おやすみ、ロイ」
スウの益々落ち込んだ声も、毛布をかぶって煩悩を飛ばしていた私には届いていなかった。
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