棘バラの口付け

おかだ。

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past1(ローランド)

episode20

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「ッ・・・あッ?!」

「あはは、面白いなあフィル。ここに触れて、少し囁くだけでお前は容易く獣になる」

ローランドの掌がフィリップの股間のふくらみを鷲掴み、もう片方の手を男の口内に侵入させる。

「ろー、らんろ様っ、あ?!」

「マヌケな顔だな」

フィリップがバランスを崩し天地が逆転する。美しい男の得意げな顔が、フィリップの眼前に広がった。ローランドの柔らかい金髪が揺れ、長いまつ毛から覗く勝気な赤い瞳は隠しきれない興奮で潤んでいた。

フィリップの上に跨ったまま、両手を首の後ろにまわして金のチョーカーを外す。ローランドが薄く唇を開き、熱い吐息を漏らした。

ギシギシとカウチが軋む度に、期待に満ちたフィリップの喉がなり鼓動が早まる。

ローランドがゆっくりと首元からボタンを外していき、胸元まで手が伸びたその時だった。

「フィリップ理事長!フィリップ理事長いらっしゃいますか!」

騒がしい声とドアを執拗にノックする音に、ローランドがドアの方向をちらりと見た。

「・・・っクソ」

小さく舌打ちをしたフィリップがバスローブを羽織り、半裸状態のローランドにブランケットを掛ける。

「放っておけばいいだろう?」

「・・・そこに居て下さい」

部屋の入口に背を向けたカウチは、寝転んでいれば人が居ることを感じさせることは無い。

ローランドの手を握り、透き通るブロンドを掻き揚げ額にキスを落とす。

「フィリップ理事長!」

「ああ!今開ける!」

重い扉を開ける音がして、革靴が床を叩く音が聞こえた。声からして先程出会ったカルヴィンであろう。

二人の会話をカウチから盗み聴きながらローランドが気だるげに欠伸をする。リンクスの毛皮で作られたブランケットに体を埋め、微睡みに体を任せた。
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