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past2(ローランド)
episode29
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豪奢で艶かしい調度品に囲まれた部屋。その中央の大きなソファがギシギシと音を立てる。
だらりと力なく垂れた少年の腕と足が、軋むソファで跳ねてコツコツと床を叩く。
「あぁ、この感覚・・・思い出すなぁ。柔らかくキメの細かい肌、未成熟な身体」
「・・・」
「頬と胸と太腿に打たれた痕がある・・・。痛むでしょう、私がすこしでも癒して差し上げましょう。ふふ」
柔らかい唇に口付けた後、シャツをたくし上げズボンをずり下ろす。
反応を示さない少年の手に男が指を絡ませると、あらわになった胸の飾りをねっとりと舐め上げた。
「ん・・・」
「今からここに私のモノが──」
ズキズキと痛むほどに膨らんだ自らの欲望を少年の太腿に擦り付け、ニヤけた表情を浮かべてベルトに手をかけた。
「・・・貴様、一体そこで何をしている?」
背後で聴こえた低く唸るような声に、アルマに覆い被さっていた中年の男の大きな体がピタリと動きをとめた。
「貴様ッ、聞こえないのか。そこで何をしている」
「・・・ッあ、ああ!ローランド殿下、お久しぶりですな。御高名はこの私もかねがね!ご立派になられて」
ゆっくりと振り返った中年の男と目が合い、ローランドの表情が心底不快そうに歪んだ。
「ジョージ・ロペス名誉会長殿。・・・名誉という名が正しいか疑わしいがな」
挙動不審に視線をさ迷わせる大柄な男を赤い瞳がじっと見つめる。
「また摘み食いか?よもや俺が作らせた部屋を使うとは、随分偉くなったものだ。・・・で?お前の後ろにいるのは誰だ」
この男の学園での浮名は相当なものだった。
成績や学費。言葉巧みに生徒の弱みを握っては脅し、その身体を条件に欲望を発散する気色の悪い男だ。
ましてやローランドは目の前の男にレイプされた過去がある為犯されている学生に興味はなかったが、男に好きにさせるつもりはない。
いい機会だ。
フィリップの手前公には出来ないが、今回の事件を弱みとして握り、学園への出入りの一切を禁じてやろう。
心の底でほくそ笑み、今回の被害者に目を向ける。
ローランドに現場を見られて余程驚いたのか、はたまた恥ずかしいのか名前を問うてもなかなか返事をしようとしない。
「チッ、今更寝たフリを──」
オレンジ色の柔らかい明かりのみの室内は、壁沿いは明るいが部屋の中心部は薄暗い。
眉間に皺を寄せたままローランドが目を細める。
まるで隠すかのようにソファに座る男の背からは、見覚えのあるローズ寮生の制服が覗く。
ダークブラウンのローファーを履いた脚がダラりと垂れ、ソファの上の右手中指には見覚えのある指輪が光っていた。
「アルマ・・・」
「ッ、アルマ様が傷だらけのお姿で倒れていらっしゃったので偶然扉が開いていたこの部屋へ!私は別に何もッ!」
必死に釈明をするのも無理はないだろう。
王族に手を出したと知れればタダでは済まない。
ローランドの時とは違いはっきりと目撃した人物、それも時期国王になる被害者の兄、ローランドが証人となれば疑うものも揉み消す事も出来ないだろう。
「どけ」
「は・・・?」
赤い瞳に圧倒され息を飲む。
男が気圧されるままソファから立ち上がると、男の体で隠れていたアルマの姿がローランドの視界に入る。
たくし上げられたシャツから覗く薄ピンクの胸の飾りは緩く主張し、膝辺りまでずり降ろされたズボンは秘部を隠すこと無く白い肌を晒していた。
「・・・起きろ」
ソファに倒れ込んでいるアルマの上半身を抱き上げたローランドが、無感情のまま少年の裸体を見つめ頬を鋭く叩いた。
「・・・ぐっ?!ぅ、、ぁ?」
生理的に流れた涙が頬を伝い、まだ虚ろな瞳がローランドを見上げる。
「あに、うえ?」
「・・・」
微かに開いたアルマの唇にローランドの唇が重なる。
「ンっ、ふぅ・・・!ん、んぁっ、っはぁ・・・ぁにう──」
「ッ、身なりを正せ。兄に恥をかかせる気か」
「??・・・ッあ、」
離れた唇がジワジワと暖かい。
訳も分からないままに兄の顔を見上げれば、吸い込まれそうな赤い瞳にじっと見詰め返される。
「・・・邪魔だ。今度こそ俺の前からさっさと消えろ」
耳元で聴こえた低い声に慌てて床に落ちていたローブをアルマが手繰り寄せ、唖然としたままのジョージの横をすり抜けて部屋を出ていった。
だらりと力なく垂れた少年の腕と足が、軋むソファで跳ねてコツコツと床を叩く。
「あぁ、この感覚・・・思い出すなぁ。柔らかくキメの細かい肌、未成熟な身体」
「・・・」
「頬と胸と太腿に打たれた痕がある・・・。痛むでしょう、私がすこしでも癒して差し上げましょう。ふふ」
柔らかい唇に口付けた後、シャツをたくし上げズボンをずり下ろす。
反応を示さない少年の手に男が指を絡ませると、あらわになった胸の飾りをねっとりと舐め上げた。
「ん・・・」
「今からここに私のモノが──」
ズキズキと痛むほどに膨らんだ自らの欲望を少年の太腿に擦り付け、ニヤけた表情を浮かべてベルトに手をかけた。
「・・・貴様、一体そこで何をしている?」
背後で聴こえた低く唸るような声に、アルマに覆い被さっていた中年の男の大きな体がピタリと動きをとめた。
「貴様ッ、聞こえないのか。そこで何をしている」
「・・・ッあ、ああ!ローランド殿下、お久しぶりですな。御高名はこの私もかねがね!ご立派になられて」
ゆっくりと振り返った中年の男と目が合い、ローランドの表情が心底不快そうに歪んだ。
「ジョージ・ロペス名誉会長殿。・・・名誉という名が正しいか疑わしいがな」
挙動不審に視線をさ迷わせる大柄な男を赤い瞳がじっと見つめる。
「また摘み食いか?よもや俺が作らせた部屋を使うとは、随分偉くなったものだ。・・・で?お前の後ろにいるのは誰だ」
この男の学園での浮名は相当なものだった。
成績や学費。言葉巧みに生徒の弱みを握っては脅し、その身体を条件に欲望を発散する気色の悪い男だ。
ましてやローランドは目の前の男にレイプされた過去がある為犯されている学生に興味はなかったが、男に好きにさせるつもりはない。
いい機会だ。
フィリップの手前公には出来ないが、今回の事件を弱みとして握り、学園への出入りの一切を禁じてやろう。
心の底でほくそ笑み、今回の被害者に目を向ける。
ローランドに現場を見られて余程驚いたのか、はたまた恥ずかしいのか名前を問うてもなかなか返事をしようとしない。
「チッ、今更寝たフリを──」
オレンジ色の柔らかい明かりのみの室内は、壁沿いは明るいが部屋の中心部は薄暗い。
眉間に皺を寄せたままローランドが目を細める。
まるで隠すかのようにソファに座る男の背からは、見覚えのあるローズ寮生の制服が覗く。
ダークブラウンのローファーを履いた脚がダラりと垂れ、ソファの上の右手中指には見覚えのある指輪が光っていた。
「アルマ・・・」
「ッ、アルマ様が傷だらけのお姿で倒れていらっしゃったので偶然扉が開いていたこの部屋へ!私は別に何もッ!」
必死に釈明をするのも無理はないだろう。
王族に手を出したと知れればタダでは済まない。
ローランドの時とは違いはっきりと目撃した人物、それも時期国王になる被害者の兄、ローランドが証人となれば疑うものも揉み消す事も出来ないだろう。
「どけ」
「は・・・?」
赤い瞳に圧倒され息を飲む。
男が気圧されるままソファから立ち上がると、男の体で隠れていたアルマの姿がローランドの視界に入る。
たくし上げられたシャツから覗く薄ピンクの胸の飾りは緩く主張し、膝辺りまでずり降ろされたズボンは秘部を隠すこと無く白い肌を晒していた。
「・・・起きろ」
ソファに倒れ込んでいるアルマの上半身を抱き上げたローランドが、無感情のまま少年の裸体を見つめ頬を鋭く叩いた。
「・・・ぐっ?!ぅ、、ぁ?」
生理的に流れた涙が頬を伝い、まだ虚ろな瞳がローランドを見上げる。
「あに、うえ?」
「・・・」
微かに開いたアルマの唇にローランドの唇が重なる。
「ンっ、ふぅ・・・!ん、んぁっ、っはぁ・・・ぁにう──」
「ッ、身なりを正せ。兄に恥をかかせる気か」
「??・・・ッあ、」
離れた唇がジワジワと暖かい。
訳も分からないままに兄の顔を見上げれば、吸い込まれそうな赤い瞳にじっと見詰め返される。
「・・・邪魔だ。今度こそ俺の前からさっさと消えろ」
耳元で聴こえた低い声に慌てて床に落ちていたローブをアルマが手繰り寄せ、唖然としたままのジョージの横をすり抜けて部屋を出ていった。
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