『桜魂の継承者』-BLOOM OF ETERNAL BONEDS-

第39話「静かな図書館の午前」

市立図書館の静かな空間。
朋広は小説のネタ探しに足を運んでいた。
雨上がりの街を抜け、傘をたたみながら館内に入ると、空気のひんやりとした香りが心地よい。

図書室の一角で桐生さくらが本をめくる。
制服姿で控えめながらも存在感がある。
朋広の視界に自然と入るその姿に、なんとなく目が向いてしまう。
「……あ、えっと……すみません、道……」
小声でつぶやく朋広に、さくらは軽く微笑み、そっと道を譲る。
読者には「この子も後で重要キャラかも」と匂わせる程度。

茶室コーナーでは花房るりがおっとりした表情で読書中。
朋広は席に腰を下ろし、彼女の静かな気配に気づきながらも特別な意識はしない。
天然鈍感な彼の性格が、キャラクターたちの自然な存在感を引き立てる。

ピアノ室横のラウンジでは葵月すみれがノートを広げ、静かに創作に没頭している。
朋広が横を通ると、ちらりと視線が交わる程度。
「……おお、集中しとるな」
軽くつぶやく彼の一言は、自然に日常の空気に溶け込む。


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■監視者パート

館内の天井裏から、淡く揺れる影が全体を監視する。
「対象：福田朋広。
　日常接点拡大。
　核潜在状態持続。
　20才姿兆候なし。
　観測継続」

核や20才姿はまだ少しだけしか発現せず、主人公だけが永遠に気づかない状態が続く。